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連載
147 鎮魂祭と雪祭り 1
体調不良を理由にギルドを後にしたくせに、ポーションとお酒でノアに盛ったアークはつやっつやのいい笑顔でノアに叱られていた。
・・・叱られてというか、愚痴られてというか・・・。
「昨日はおやつしか食べてないんだけど! 夕御飯、楽しみにしてたんだけど!」
「本当に悪かったってば」
珍しく声を荒げているノア。
そう、実は領主にこの宿はご飯が美味しいと聞いていたのだ。
ノアは旅に出るようになってから、その先々で人の作った料理を食べる楽しさを知った。
当然だ。
今まではあの街ですら外食なんて出来なかったのだから。
それどころか、食材も衣服だってほとんど売って貰えず、迷宮で手に入れたり畑で作ったり錬成してまかなっていたのだ。
街の住人は誰かからか買ったと思っていたようだが。
とにかく徹底して排除されていた。
飲食店はおろか、屋台での買い食いすらさせて貰えなかったのだ。
だから余所の街で泊まった宿で食べたり、買い食いも出来る事が嬉しいのだと。
嬉しそうに買い物をしていたノアを複雑な思いで見ていたアークだったが、内心は『アイツら全員殺す!』という気持ちだった。
そんなささやかな楽しみを意図せず奪われたノアはけっこうガチで怒っていた。
だって夕御飯のみならず、朝起きられなかったせいで宿の朝食も食べ損なっていたのだ。
ノアじゃなくたって、ご飯を二回も抜いて、更には夜通し激しい閨をしていれば空腹でイライラもしようもの。
「冒険者ギルドに素材売りに行く前にご飯食べるの!!」
「分かった。悪かった! じゃあ早く支度して屋台で色々食べよう。何でも好きなモノを好きなだけ、な?」
「---う、分かった。もうお腹が限界・・・」
宥めすかしてノアの支度をするアーク。
ノアはお腹が空きすぎて動けない模様。
怒るのも体力がいるのだ。
こうして宿を出たノアは、初めて見る一面の銀世界に驚嘆の声を上げた。
「ぅわあ・・・!! きっれー・・・」
「ああ、明け方に止んだようだな。けっこう積もってる」
「・・・真っ白。凄い。これが自然現象で起こるんだ・・・凄い」
ノアは凄いを連発した。
初めての雪景色で気分が高揚したようでひと安心のアークだった。
冒険者ギルドに行く間、先々の屋台でスープやサンドイッチのようなもの、串に刺さった肉などをペロリと完食してお腹が膨れたノアは御機嫌でギルドに入った。
昼近かった為に人が少なく、ノアはさほどぴるぴるもせずに買い取りカウンターへアークと向かって行く。
「すまないが、買い取りを頼む」
アークが声をかけると、ちょうど手隙だったのかのんびりとしていたカウンターの職員達が慌てて動き出した。
「---っはい! お、お待たせ致しました! では買い取るものを出して下さい」
「---あー、かなりあるんで、ここでは出し切れないかな?」
アークが苦笑して言うと、職員は少し先の解体場へと案内してくれた。
「ありがとう。ノア、ここで足りるか?」
「うん、まあ、一応ここに出せるだけ」
そういってマジックバッグと見せかけたインベントリから次々と取り出す。
買い取りカウンターの職員とその場にいた解体場の職員が唖然とする中、黙々と取り出すノアにアークがストップをかけた。
「ノア、さすがに多い。査定が大変だろう?」
「・・・あ、ごめんなさい」
「---はっ! いいいえ!! こんな、どれもこれも素晴らしい品質ですよ! 腕がなります!」
そういって総出で査定に入った。
それを見て、うっかりしてたと反省するノア。
「あの、いつでも良いので。慌てないで下さい」
「はい、ありがとうございます! 引き渡しの手形を渡しておきますので。明日には用意できます。手形を持ってこちらに来て下さい。あとは、ええと全て買い取りでよろしいですか?」
「うん、よろしくね」
解体場からクエストボードに移動して掲示されたモノを見るが、今のところSランクが受けるような依頼は無さそうだ。
「ノア、ゆっくり街中の観光をするか?」
「---賛成!」
『我は寝る』
いつの間にか定番となったアークのフードに小さく丸まって寝始めるヴァンにクスッと笑ってギルドをあとにした。
鎮魂祭と雪祭りの準備で街中が賑やかだった。
「やっぱり市場で食材見て、後は薬草屋とか素材屋もあったら見たいな」
「相変わらずだな。他には?」
「ここでしかないものが欲しい」
「ああ、そうだな。探そうか」
雲の切れ間から陽射しが差し込む。
雪がキラキラと反射して輝いていた。
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