拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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143 ノーザンクロス冒険者ギルマスとサブギルマス


「ギルドマスター、お連れしました」
「おう、ご苦労様。お茶出してくれ」

奥の執務机は書類の山で、何処もあんまり変わらないんだなとこれまでのギルマスの様子を思い浮かべていると、紙の山からヌッと顔が生えてノアはビクッとした。

アークが即座に威圧して、ギルマスは慌てて立ち上がった。

「スマンスマン、驚かせたか?!」

そう言いながら体に似合わない静けさですすっと近くまで来たギルマスがアークとノアに挨拶をした。

「私がノーザンクロスのギルドマスターでサルジュ・スネーウと言う。そしてこちらが・・・」
「初めまして。サブギルドマスターのアイレ・トゥールと申します」

いつの間にかいたサブギルマスにもビクッとするノア。
お茶出してくれ・・・という声はサブギルマスにかけたモノだったのだが。
アークとヴァンは気付いていたのだが、ノアはギルマスに気がいってて気付かなかったようだ。

---コレは前回のように体調不良の前兆かな。
どうも体調不良になるとぽやんとしがちだ。
早めに宿に戻って休ませるか。
雪も降ってきたことだし・・・。

アークは、以前のエイダンの街でノアが熱を出して倒れたことを思い出していた。
あの時はポーションですぐ直ったが、出来れば倒れる前に休ませたい。

「アルカンシエルとノアとヴァンだ」
「ノアです」
『・・・ヴァンだ』

そんなつもりは無かったが、皆、簡潔に名前だけ言って終わってしまった。
いやだって、顔見せに来ただけで用事は特になかったし。

ギルマスはそれに苦笑してソファを勧める。
サブギルマスがお茶を出してくれて、ノアは初めて見る飲み物に興味津々だ。

寒いところで良く飲まれるコーヒーだ。
上に生クリームをたっぷりとのせてある。
クリームが蓋の役割を果たして、覚めにくいのだ。

シナモンがかかっている。
ノアは香りを楽しんだ後、そっと口に含んで、ホッとした。

「美味しい」

そうぽそっと言ったら、見られていたようで視線を感じた。

何か?
そういう意味を込めて首を傾げる。

「・・・ふっ、付いてるぞ」

アークがそういってノアの口元に顔を寄せて、当然のようにチュッと口付けて唇のクリームを舐め取った。

「・・・・・・」

ノアは硬直、数秒後にぼぼぼっと顔を真っ赤にさせて涙目になった。
もはやお茶の味は分からなくなった。

「・・・・・・可哀想だから、その辺で止めといてやりなさいよ」

ギルマスが呆れた様子で言って、サブギルマスも苦笑して頷いた。

「もちろんそのつもりだ。・・・どうもノアの体調が不安なんで、帰って良いか?」
「え、それはいかん! もちろんだとも。宿は取ったのか?」
「ああ、領主に紹介されたところだ。『竜の尻尾亭』だな」
「あそこか。じゃあ何かあれば連絡しよう。ああそうだ、祭りは見ていくのだろう?」
「ああ、暫く滞在予定だから問題が起きたら手を貸す」
「ありがたい。じゃあ気を付けてな。ノア殿も、ゆっくりと休むといい」
「お、お邪魔しました・・・?」

今イチよく分かっていないノアに苦笑しつつ、抱き上げてノアの額を首筋に押し付けると、やはり体温が高い。

竜人の血が濃いとはいえ、やはり兎人の混血だからか純粋な竜人に比べると体調を崩しやすいな・・・。

元々暖かい地域で過ごしていたから慣れていないせいもあるだろうが・・・。

「ノア、外はおそらく雪景色だ。寒くないようにフードで覆って宿へ帰ろう。宿の部屋から外が見えるから、暖かくして過ごそうな」
「---ん、分かった」

そんな会話をしながらのんびりとギルド内を抜けて外へ出ると、アークの言うとおり、雪がたくさん降ってきていて、うっすらと白く積もっていた。

「・・・・・・うわあ・・・・・・」

興奮気味のノアを抱えたまま、足早に宿へ向かう。

熱が上がって辛くなるのはノアだ。
早く戻ろう。

「ノア、宿へ着いたらポーション飲もうな」
「・・・うん・・・・・・うん? 何故?」
「疲れが取れるように」
「・・・・・・良く分かんないけど、分かった・・・?」

変な言葉を言ってアークにしがみついたノアを抱き締め直してから、アークは速度をあげた。




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