拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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180 久しぶりのはとこ殿(sideリュカリオン)


面倒くさいお茶会という名の交流会を抜けて大公家に息抜きに来ていた私のところにその一報が届いたのは本当に偶然だった。

「旦那様! 麓の街にアルカンシエル様が到着なさったそうです。たった今、門衛から通信がありました」

執事長のアヴィールが通信魔導具を片手に虚空に声をかける。
それもさほど大声でもない声量で。
何時もながら、何故そんな事で伝わるのだと不思議に思っていると。

「---何っ?! やっと来たのか!! では急いで向かわねば!」
「行けません! 仕事中です!」

レーゲンが叫んでウラノスを掴まえる。

「「アルカンシエル来たって?!」」
「今すぐアークに会いに・・・!!」

上の兄弟二人とアンジェリクまで来た。

「何時もながら何処から湧いてくるんですか! 貴方方は黒い悪魔ですか?!」

手の空いている使用人や大公家の騎士達も集まってきてこの家の主達を抑えにかかる。

何時もながら凄いな・・・。

それならば、てんやわんやで騎士やら側近やら執事長やらに抑えられている今のうちに私が行ってこよう!

「案ずるな、私が様子を見てこよう!」

そう言い置いてさっさとテラスから翔び立った。

「---何?! 殿下、いけません!」
「「「狡い---!!」」」
「あああ---!! もう---!!」
【・・・あの、大丈夫ですか?】

詰め所の門衛がおずおずと声をかけてくるがそれどころではない。

「誰か魔法騎士団長のルドヴィカ・アルバトロス様に通信を!! 殿下をお止めするようにと!! ああ、すみません。ご連絡ありがとうございます。申し訳ありませんが取り込み中ですのでこれで失礼致します」

そう早口で断って通信を絶った。


その頃、すでに門衛の詰め所に着いたリュカリオンは周りが驚いているのに構わず、詰め所にノックもせずに入り、アルカンシエルがいるであろう控室に向かう。

隊長らしき者が着いてきていたが、部屋が見えてきたので断って向かっていく。

「久しぶりだな、アルカンシエル!」
「ぴえっ?!」

ぴえっ・・・?

---え?

誰かの悲鳴が聞こえた途端、リュカリオンにアルカンシエルが威圧と殺気を飛ばした。

---ヤバい、死ぬ。

そう一瞬で悟るくらいの殺気だった。

「---まままま待て! 話せば分かる!」
「---覚悟は良いな?」

私はこの瞬間、死を覚悟した。
だが救世主が現れて九死に一生を得たのだ。



王城に戻って私室に向かう廊下でルドヴィカと話をする。

「---すまなかった、ルドヴィカ」
「・・・コレに懲りたら自重して下さいね。番いのいる竜人には迂闊に近付かない事です。特にアルカンシエル様にはね。番いのノア様はもっとヤバいので。瞬殺ですよー」
「---は?」
「無詠唱でインフェルノとかアブソリュート・ゼロとか普通にガンガン放ってケロッとしてます。魔導師ウィザードかと思えば、片手間にバスタードソードや戦鎚ウォーハンマーを振り回して一刀両断、魔導銀ミスリルゴーレムも一撃で叩き潰すそうです」

ルドヴィカの軽い言い様に冗談かと思って見ると、口調とは裏腹に至極真面目な顔をしていた。

思わずゴクリと唾を呑み込む。

「---冗談、だよな?」

あんな、ぴるぴる震えていた儚げ美人が・・・?

「彼はアルカンシエル様と同じSランク冒険者ですよ。私が以前対応した要塞都市ライズのスタンピードの件。あの二人が殲滅して迷宮を踏破しました。我々はただ補佐と後処理にまわっていただけです」

報告書、読んでないんですか?
って、笑っていないぞ、目が!

「・・・読んだ。だがまさか、あのようなたおやかな人だとは思わなかったのでな・・・」

私に驚いて涙ぐむような人がまさかアルカンシエルより強いとは思わないだろう?

「そうですね。アルカンシエル様が番いだと公表すると一部の竜人が騒ぎそうですね・・・ふふ」
「・・・何故笑う」
「いやあ、面白いことになるな---って思って」
「・・・・・・お前な・・・」
「マジで楽しみ! 絶対に面白いから! 殿下も期待していて下さいね!!」

思わずグッと拳を握り締めるルドヴィカに呆れた視線を送ると私室に入った。

「ありがとう、ルドヴィカ」
「勿体なきお言葉です、リュカリオン殿下」

そう挨拶をして別れる。

・・・ルドヴィカの言葉がよもやフラグだったとはこの時のリュカリオンは夢にも思わなかった。


「それにしても、はにかんだ顔、可愛かったなあ」

いつかはきっと、自分にも・・・!

淡い期待を胸にして・・・。







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