拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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218 王宮内は大騒ぎ 1


とある日、ヴァルハラ大公家三男アルカンシエル様とその好一対番いが陛下に謁見するという情報が駆け巡った。


つい先日、竜王国の門の詰め所で出迎えを受けていたことは広く知られていた。
その後数日は大公家でゆっくり過ごしたり冒険者ギルドにも顔を出したようだが。

番い報告の為にとうとう大公閣下と一緒に謁見となったようだと、王宮内は大騒ぎになった。

まず大公家の謁見の為に、事前に予定されていた他の謁見は全てキャンセルし、陛下の執務も前倒し出来るものは全て前倒しして終わらせた。

とにかく、数時間どころで無く、1日時間を空ける勢いでスケジュールが組まれた。

その為、王宮内では密かに『何か重要な事があるのでは』と憶測が飛び交い、現場は噂で溢れかえった。

---噂。

アルカンシエル様がお帰りになる前から広がっていた噂。

曰く番いを得た。
曰く番いは天涯孤独で竜人と兎人の混血ミックスらしい。
曰くその番いの見た目は細くて、しかしアルカンシエル様と同じSランク冒険者で強いらしい。

幾つもある噂で一番有り得ないのが、その混血の番いがだということだった。

下界から上がってきた情報だが、信憑性にかける。
事実、竜王国に来てからはまだ一度も、誰もその片鱗を見ていないのだから。

そして迎えた謁見当日。

普段いないはずの場所にさり気なさを装い集まる使用人や騎士達、何処ぞの貴族や文官達など王城勤めの輩がわんさかと。

そんな衆目を集める中、ヴァルハラ大公閣下と共に馬車から降り立つアルカンシエル様と番い様。

大公閣下とアルカンシエル様はフード無しのコートを纏っていたが、番い様は目深にフードを被っていてよく見えない。

しかし案内人の従者と近衛騎士に挨拶をするときに下ろしたフードの下は・・・。

皆が一瞬ぽーっと見蕩れるほどの儚げな美人だった。

金メッシュの入った艶やかな黒髪は後ろでやや高い位置に一つに結ばれていて、銀の木の葉の透かし彫りに金の魔石が幾つか填め込まれた髪留めを付けていた。

ほっそりした白いうなじにはガッツリ咬み痕が残っている。

『あんなに痕が残るほど咬んだんだ、アルカンシエル様・・・』
『愛する運命の番いには本能のままに噛み付くから、痕が酷く残ると聞いたことがあるけど本当なんだな』
『兎人の混血って聞いたんだけど、見た目は普通だよね』
『あんなに細くて冒険者Sランクって、嘘だろう』
『でも綺麗な人・・・』

ヒソヒソと使用人達が話す中、歩き出す。

アルカンシエル様が番い様の手を恋人繋ぎでエスコートし、蕩けるような笑みで見つめている。
そして少しでも疚しい視線を送った者にはめちゃくちゃ威嚇しているし。

彼等が行く先々で見られるこの光景に、皆が唖然呆然としている。

今までのアルカンシエル様からは想像も出来ない変貌ぶりに、嘆く者、驚く者多数。
番い至上主義の既婚者はうんうん頷いている。

『番いには誰でもああなるって』
『あー、私も番いに会いたくなった!』
『相手がどんな人でも番いが一番愛おしいものだ。アルカンシエル様の番い様は竜人と兎人の混血らしいが別に構わないだろう?』
『・・・でも頭のお堅い人は幾らでもいるもんさ』
『無駄に矜持が高くて純血主義の貴族とか』
『やれやれ、だな』
『番い様、こっち見ないかな? 綺麗だな。あっ、ちらっと見た! そっと手、振ってる。可愛い!』

好意的な声が聞こえて思わずノアが手を振ってる。
ハッとしてアークを見て、仄かに照れて頬が赤い。
その頬にアークがちゅっと口付けを・・・。

『『『---!!』』』

周りで見ていたヤツらが声にならない悲鳴を上げるがそれを気にせず、颯爽と歩いて行く。


やがて謁見の控えの間に消えると、王宮内の者がめいめいに興奮気味に話し出した。

今しがた自分が見たモノをそのまま好意的に話す者、自分主観で捻じ曲げて話す者。

その場にいなかった者はおおよそ二つに割れた噂に混乱した。

「帰りは見られるかな?」
「自分の目で見ないとね!」


しかしこの後、謁見で一騒動起こり、帰る前にあっと言う間にアルカンシエル様溺愛説の噂が広まるのだった。



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