拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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258 アーク、後出し情報にブチ切れる


ノアが『箱庭の迷宮』に攫われてから2日経った。

その間、ギルマスのカフカを始めとする冒険者ギルドの職員総出でここ数ヶ月前からの異変の情報を洗い直し、冒険者活動の長い者からも過去の様子を聞いたりした。

---その結果、意外な事実が判明した。


「---え、何だって?」

アーク達全員が思わず聞き返したその内容は・・・。

「どうやら20年ほど前から少しづつ異変が起こっていたようなんです」

そう言って見せてくれた資料には、最初の頃、異変に気付かなかった20年ほど前の事柄が書いてあった。

「初めて異変があったと思われるこの時、とある冒険者が迷宮で行方不明になって3日後に迷宮の出入り口に倒れていました。特に怪我などは見当たらなかったけれど、記憶の混濁があったようです。回復したあと、彼は『夢を見ていたようだった』と証言しています」

カフカがわかりやすく説明してくれた。

「その時はそれ以降そういった事例は無く、単なる事故だと処理されて終わりました。しかし今回、総出で調べた結果、その後も年に数件、似たような事が起きていたんです。そしてここ半年ほどはグッと数が増えました」
「---それで?」
「・・・・・・行方不明者の身体的特徴が、過去の事例の冒険者達とも一致しました。やはり銀色の瞳の持ち主です」

---20年ほど前から始まり、そして急激に増えたのがここ半年ほど。
更に銀色の瞳。

「・・・・・・アーク?」

ルルが考え込んだアークに声をかける。
少ししてアークが言った。

「・・・ノアがラグ爺さんに引き取られて育てられ始めたのが21年前。俺と番って育った街を出たのがおよそ半年前・・・。そしてノアは銀色の瞳」

時期的にも条件にも合う。

「・・・やはり、最初からノアを標的にしてたんじゃ・・・」

ギギが呟く。

「十中八九、そうだろうな」

アークが確信を持って言った。
ふむ、とレオニードが考える。

「---じゃあ、ソイツはノアとは知り合いかな?」
「・・・・・・いや、ノアはあの街とあそこの迷宮以外に出歩かなかったそうだ。筋金入りの引き篭もりだったからな」

アークがその線を否定した。

「じゃあ、何か知らないところで恨みを買った?」
「ノアの性格上、知らないうちにやらかしてそうだが・・・あったとしても逆恨みな気はするな」
「「うんうん」」

ギギ達の言葉に皆が頷いた。

「そもそも、赤子のウチから目をつけてたんなら、途中のやらかしなんかは関係なさそうだし」
「問題は、何故ノアを狙ったか、だな」
「それもだけど、ダンジョンマスターがどんなヤツか分からないのもなあ・・・」
「それならば、アタリはつけてあります」
「何?!」
「本当か?!」

皆が一斉にカフカに注目した。

「誰、とはいきませんが、どんな種族かは恐らくコレだろうと思われるものですが・・・」
「それでも良い。それで少しは対策が出来るかもしれない!」

今はノアの為にも、少しでも情報が欲しい。

「---そうですね。私達の見立てでは、魔人族の一つで、夢魔がおります」
「夢魔?」
「ええ。そんなに数は多くないのですが、人の夢を操る能力があり、その・・・」

カフカが少し躊躇っているのを見かねたのか、ラミエルが淡々と続きを話した。

「夢を見せて操り、洗脳のような事をして相手をその気にさせて主に淫行をします」
「・・・・・・は?」
「受けか攻めかは夢魔の性癖によりますが、性交目的が多いです」
「・・・・・・それって、つまり・・・・・・」
「全ての夢魔がそうではありませんが、概ね貞操の危機ということですね」

ラミエルが世間話のように話しているが、冗談じゃない。
アークは自分の過去の遍歴を棚に上げて言った。

「---ノアが? 俺以外と・・・・・・?」

アークの背後がゴゴゴゴと重く暗い空気になってきている。
威圧も出て来た。
ヤバい!!

「まあ、ノア殿が抵抗して操られていなければ大丈夫でしょう。それにソイツが夢魔だったとして、淫行に耽るタイプかどうかは分かりませんしね」
「ラミエル、その辺で止めなさい! ギルドが消えてしまう!」
「アークも落ち着け!! ノアなら、絶対、大丈夫だって! お前が信じなくてどうすんだよ!!」

カフカがラミエルを止め、ギギがアークを宥めて何とか事なきを得る。

「---は---、マジ勘弁して・・・」
「ノア、早く助け出さないとコッチが保たねえわ・・・」
「「全くだ」」
『やれやれだの』

アークを押さえながら、皆して深い溜息を吐くのだった。








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