拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
228 / 641
連載

294 魔人国と竜王国の協議会 1


何だか皆、午前中でぐったり疲れた気がする。
・・・主に気疲れだが。

せっかくだからと、あの後、精霊王にはお茶とお茶請けのお菓子をあげて、クリカラ達には軽食を出して渡した。

旅先で気軽に食べられるようにとお弁当のように容器に詰めたサンドイッチやおかず、そしてカップにスープを注いで配った。

彼等はそもそも早起きしてしっかり朝食を摂ったらしい。
のんびりしていたのはノアとアークくらいだった。


そうして時間を潰して、いざ協議会へと臨んだのだった。



会議場は、普段魔王陛下が臣下と打ち合わせに使う大きな円卓のある部屋だ。

華美な装飾など無く、柔らかいアイボリーのウッドカラーで統一されている。
何となく猫の逃げた魔王陛下の雰囲気だな、と思った。

間違っても他国侵略や大量虐殺を計画しそうな雰囲気では無い。

「昨夜は寛げましたか? 皆様、元気そうで・・・」

そう言ったセラフィムが不自然に言葉を切ったのを不思議に思っていると・・・。

「・・・・・・あの、そちらの方は・・・・・・?」
「・・・・・・ああ、精霊王です」
「・・・・・・・・・・・・精霊王・・・・・・精霊王?!」

セラフィムの叫びに、先に集まっていた魔人国の宰相ラヴィアや外交官達も驚愕してガン見した。

それを気にした風もなく、ほのほのと笑っている精霊王。

《今日からの処罰の話し合いなのだろう? 我もノアの関係者だからの。混ぜて貰うよ。それにを閉じ込めた檻は我にしかどうにも出来んのでな》
「ついさっき、昼前に前触れもなく現れたので連絡を忘れておった。儂らも動揺していてな、スマンの」

精霊王の後にクリカラが苦笑した。
精霊王を前に普段どおりなのはノア達冒険者組くらいだ。

「いえ、あの、その、だだだだ大丈夫っでしゅ・・・・・・ぅあ」

動揺して噛んだせいで真っ赤になったセラフィムを皆が注目する。

・・・・・・うん、魔王陛下の元に帰ってきていた猫数匹が再び旅立った模様。
もう誰もツッコまないので、諦めたんだろうな。

クリカラが笑いを堪えているのを横からバシッと叩くリュウギに魔人国の人がギョッとしたが、笑ってしれっと流す。

「コホン、では座っても?」
「あ、ああ失礼。では着席して始めよう」

そして漸く始まりを迎えた協議会。

処罰の優先度は竜王国が高いので、交渉にすらならないかもしれない会議が始まった。

まずはやはり今回の大まかな騒動の概要を話し、その中で問題となった第4王子殿下の行動とノアの拉致事件、犯人の過去の問題行動が焦点となった。

「では、まずは第4王子殿下の処罰をそちらがどうお考えかお聞かせ願います」

リュウギがどうやらこの場を取り仕切るようだ。

「時間は限られておりますゆえ、サクサクと進めましょう」

そう言ってにこりと笑う。
・・・ちょっと慇懃無礼な感じだが。

いくら予定を考えて日程を組んでいるとはいえ、竜王陛下であるクリカラはそんなに暇では無いのだ。
魔人国に来るだけでも片道一週間かかっている。そこに会議で最長一週間を見込んで予定を開けた。
そして帰国にまた片道一週間。

半月以上を不在にするのは、ひとえにダンダリアンの処罰の為。
---リンドヴルムとアリテシア、そしてノアの為なのだ。

「・・・こちらとしては第4王子の身分を剥奪、廃嫡して北の塔に幽閉を考えております。生涯をそこで過ごすことになります」

淡々と告げるラヴィアとは対称的に顔色の悪いセラフィム。
そりゃあそうなるよな。
自身の胎を痛めた可愛い我が子を、一生出られない塔に幽閉するんだものな。

「その辺りが妥当かの」

クリカラがそう言った直後、ノアが思わず口を挟んだ。

「あの、幽閉まではしなくていいんじゃないかな」
「・・・だが」
「身分を剥奪して王子じゃなくなれば、後はちょっと誓約で縛って、冒険者でいられるようにしたら良いと思う。俺は彼に特に酷い目に合わされてないし」
「・・・良いのか?」

ノアの提案にアークが困り顔で聞く。

「だって、魔王様と宰相様っていう両親がいて、お兄様達もいて、家族なんだよ? まあ、色々ヤンチャしちゃって今回は大事になったけど、反省はしてるんだよね?」
「---今までに無いくらい、落ち込んで塞ぎ込んでおります」

ラヴィアが息子王子の様子をそう告げる。
セラフィムも眉を下げてうんうんと頷いている。

「・・・・・・王族としての責任を問うなら、甘いことを言ってると思う。でも、生きているのに会えないっていうのは、凄く辛いよ」

せっかく側にいるのに。
会えないことの辛さは俺が一番分かってる。

そう言って儚く微笑んだノアに、誰が何を言えようか・・・。



静まり返った部屋で、ぼたぼたと涙を溢すセラフィムがゆっくりと頭を下げた。

「我が、言えた事では無いが・・・どうか・・・寛大な、処罰を・・・っ」

それに倣って、ラヴィア達も頭を下げる。

「---愛されてるんだね・・・良かった」

ノアが安心したように笑った。
それを合図に、部屋の空気も和やかになった。

「---では、誓約の内容は後で詰めるとして、王子の身分を剥奪、廃嫡でただの冒険者とする・・・でよろしいですね?」
「うむ、良かろう」
「---ありがとうございます」


こうして第4王子殿下の処罰が決まった。






※暫くと記載していたので名前を忘れて確認してしまったw



感想 1,589

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。