259 / 641
連載
325 閑話 ヴァンと愉快な仲間達 1
※うらのトトロ様のリクエストです。ありがとうございます。
ノアとアークの発情期中に暇になったヴァンが、ギギルル兄弟と神聖な霊山に下りて行った。
そこで宿に一泊したあと、夕方まで迷宮を周回するらしい。
久しぶりにセイクリッド・リョーゼンの門の前に並んだヴァンとギギルル兄弟。
冒険者用の門に並んでいるときにふと思い出した。
「ねえ、ヴァンってさアークの従魔なんだよね?」
『そうだな、不本意ながら』
「不本意って・・・いや、従魔が単独で入街出来るのかと思ってさ。今更なんだけど」
『・・・それは・・・考えてなかった。ぇ、我、せっかく来たのに入れんのか? 嘘だろう・・・?』
さっきまで耳をピンと立てて尻尾をぶんぶんさせていたのに一気に萎れて、耳は伏せって尻尾も力無くだらんと垂れてしまった。
コレには周りで遠巻きに見ていた冒険者達も動揺した。
急に現れた大型の従魔らしき狼種に驚愕していたのに、一緒にいた兄弟らしき冒険者と何やら会話をしたあと、今度は突然意気消沈したのだ。
一体何があったと思うのは当然だった。
そのしょぼんとするフェンリルを見ていた門衛の者が、以前のヴァルハラ大公家の騒ぎの関係者だと気付いたようで、順番が回って来たときに声をかけられた。
「セイクリッド・リョーゼンへようこそ、ギルドタグを拝見致します。あの、そちらはアルカンシエル様の従魔のフェンリル殿ですよね?」
最初にそう言ってきた門衛にホッとするギギ達。
「ああ、今日は俺達と行動してるから単独なんだが、入れるか?」
『我も入れてくれるか?!』
思わずぴんっと立った耳に微笑ましい顔をする門衛。
「ええ、街中で問題行動を起こさずキチンとしていれば大丈夫です。今回はどうしたんですか?」
「アーク達がちょっと竜王国から離れられないので暇潰しを兼ねて迷宮に・・・」
『良い運動になるんじゃ!』
「・・・アレを、良い運動・・・さすがです。ではどうぞ、お気をつけて」
「「ありがとう」」
『ありがとうの!』
門を潜っていくヴァンの尻尾がはち切れんばかりに振られていて、門衛のみならず、周りの人皆がほっこりするのだった。
「・・・どう見ても幻獣じゃ無いよな」
「それな」
取りあえず無事に街に入ったヴァンとギギ達は、最初に宿を取る。
以前泊まった宿よりはランクが下だが、空いていたので、迷わずとった。
そもそも以前は貴族向けの高級宿だったから、そこから比べれば何処もランクは下なのだが、ギギ達は肩が凝りそうで普通の宿にしたのだった。
どうせ一泊だけだし。
「ヴァン、料理は屋台が良いか? それとも何処か店に入る?」
『美味ければ何処でも良いぞ』
「うーん、ヴァンは大食いだからなあ。屋台練り歩くの面倒だから店に入って注文しようぜ」
『それで良いぞ』
そういうわけで料理屋に仔狼姿で入り、食べたいだけ注文して目一杯食べた。
店の主人はよく食べるねえ、と豪快に笑っていたが。
『満足!』
「良かったねえ。・・・鼻の頭にくっついてるよ」
『んなっ! 取ってくれ!』
「ヴァン、本当にフェンリル?」
「・・・イッヌ」
『幻獣じゃ!』
「「はっはっは!」」
笑いながら宿に戻り、明日に備えて早めの就寝。
「明日は周回コース・・・」
「・・・ヴァンの気が済むまで、な」
「ボスは全部ヴァンに任せよう」
「喜んで瞬殺してくれるよね」
「「何回殺るのかな・・・」」
ちょっとうんざりしつつも楽しみにしているギギルル兄弟だった。
※次話、迷宮周回の予定。
ノアとアークの発情期中に暇になったヴァンが、ギギルル兄弟と神聖な霊山に下りて行った。
そこで宿に一泊したあと、夕方まで迷宮を周回するらしい。
久しぶりにセイクリッド・リョーゼンの門の前に並んだヴァンとギギルル兄弟。
冒険者用の門に並んでいるときにふと思い出した。
「ねえ、ヴァンってさアークの従魔なんだよね?」
『そうだな、不本意ながら』
「不本意って・・・いや、従魔が単独で入街出来るのかと思ってさ。今更なんだけど」
『・・・それは・・・考えてなかった。ぇ、我、せっかく来たのに入れんのか? 嘘だろう・・・?』
さっきまで耳をピンと立てて尻尾をぶんぶんさせていたのに一気に萎れて、耳は伏せって尻尾も力無くだらんと垂れてしまった。
コレには周りで遠巻きに見ていた冒険者達も動揺した。
急に現れた大型の従魔らしき狼種に驚愕していたのに、一緒にいた兄弟らしき冒険者と何やら会話をしたあと、今度は突然意気消沈したのだ。
一体何があったと思うのは当然だった。
そのしょぼんとするフェンリルを見ていた門衛の者が、以前のヴァルハラ大公家の騒ぎの関係者だと気付いたようで、順番が回って来たときに声をかけられた。
「セイクリッド・リョーゼンへようこそ、ギルドタグを拝見致します。あの、そちらはアルカンシエル様の従魔のフェンリル殿ですよね?」
最初にそう言ってきた門衛にホッとするギギ達。
「ああ、今日は俺達と行動してるから単独なんだが、入れるか?」
『我も入れてくれるか?!』
思わずぴんっと立った耳に微笑ましい顔をする門衛。
「ええ、街中で問題行動を起こさずキチンとしていれば大丈夫です。今回はどうしたんですか?」
「アーク達がちょっと竜王国から離れられないので暇潰しを兼ねて迷宮に・・・」
『良い運動になるんじゃ!』
「・・・アレを、良い運動・・・さすがです。ではどうぞ、お気をつけて」
「「ありがとう」」
『ありがとうの!』
門を潜っていくヴァンの尻尾がはち切れんばかりに振られていて、門衛のみならず、周りの人皆がほっこりするのだった。
「・・・どう見ても幻獣じゃ無いよな」
「それな」
取りあえず無事に街に入ったヴァンとギギ達は、最初に宿を取る。
以前泊まった宿よりはランクが下だが、空いていたので、迷わずとった。
そもそも以前は貴族向けの高級宿だったから、そこから比べれば何処もランクは下なのだが、ギギ達は肩が凝りそうで普通の宿にしたのだった。
どうせ一泊だけだし。
「ヴァン、料理は屋台が良いか? それとも何処か店に入る?」
『美味ければ何処でも良いぞ』
「うーん、ヴァンは大食いだからなあ。屋台練り歩くの面倒だから店に入って注文しようぜ」
『それで良いぞ』
そういうわけで料理屋に仔狼姿で入り、食べたいだけ注文して目一杯食べた。
店の主人はよく食べるねえ、と豪快に笑っていたが。
『満足!』
「良かったねえ。・・・鼻の頭にくっついてるよ」
『んなっ! 取ってくれ!』
「ヴァン、本当にフェンリル?」
「・・・イッヌ」
『幻獣じゃ!』
「「はっはっは!」」
笑いながら宿に戻り、明日に備えて早めの就寝。
「明日は周回コース・・・」
「・・・ヴァンの気が済むまで、な」
「ボスは全部ヴァンに任せよう」
「喜んで瞬殺してくれるよね」
「「何回殺るのかな・・・」」
ちょっとうんざりしつつも楽しみにしているギギルル兄弟だった。
※次話、迷宮周回の予定。
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい
八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。
ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。
これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
「存じ上げませんが、どちら様ですか?」——忘れることが、最も残酷な復讐になった
歩人
ファンタジー
伯爵令嬢フィーネは婚約破棄のショックで過去の記憶を全て失った。名前も、家族も、婚約者も——何もかも。保護してくれた辺境の薬師に弟子入りし、「フィー」と名乗る少女として穏やかに暮らし始めた。朝は薬草を摘み、昼は薬を調合し、夕方は師匠の息子——無口だが優しい青年ルカスと一緒に夕焼けを見る。「私、前の自分より今の自分が好きです」。五年後。辺境に一人の貴族が現れた。やつれた顔で「フィーネ、迎えに来た」と。彼女は首を傾げた。「存じ上げませんが、どちら様ですか?」——嘘ではなく、本当に覚えていない。忘れることが、最も残酷な復讐になった。