拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
301 / 641
連載

365 Let’s 探索! 2


昼食の準備が終わる頃、ワッフワッフと足取り軽くヴァンが戻ってきた。

『おう、一通り駆けてきたがコレといった脅威になるモノは見当たらんな!』

褒めて褒めてと言わんばかりの尻尾の振りようにノアは笑った。

「そっか。楽しかった?」
『おう! それで良い匂いがしてきたから急いで戻ってきた! 早う食べるぞ!!』
「・・・相変わらず食いしん坊イッヌだな」
『なんとでも言え! 食えれば構ワン!!』
「ふふっ、ヴァン、可愛いなあ」

食いしん坊のヴァンに呆れ顔のアークに、楽しそうなノア。
のんびりとしたピクニックのように和やかな空気の中、ノアの料理に舌鼓を打ちながら昼食を終えると、ノアは辺りを鑑定しだした。

実は足を踏み入れたときから気になっていたのだ。
目に見える範囲の草原のあちこちに、薬草が群生しているのに気付いていたノアは、薬草の少なそうな場所を選んでテーブルを広げていたのだ。

「---うわ、見事だな・・・」

近くの草むらの鑑定で見えたモノは、ありきたりな薬草の群生が主だったが、手つかずのおかげか通常の倍以上の大きさで量もたくさんあった。

おもむろに一つ摘んで詳しく鑑定すると、薬草の品質が『A』ランク。他のもおおよそ同じで、低くても『C』だった。
地上では薬草畑で手間暇をかけて育てても精々が『B』だった事を考えると、ココは薬師にとっては天国だ。

「アーク、他も見てきて良い?」
「良いよ、ていうか俺も行くから、何でも言ってくれ」
「うん、ありがとう! じゃあじゃあ、あっち行きたい!」

そう言ってワクワクしながら木々が集まった林の方を指しながら歩き出した。

「---ふはっ! ノア、言うより先に足が動いてる。そんなにか!」
「え、だってだってめちゃくちゃ生えてるんだよ?! 珍しい薬草があるかもしれないしそれがワサワサあったらめちゃくちゃ嬉しいじゃん!!」

息継ぎもせずに言い切るノアの、常に無い興奮状態が知れた。
アークは笑いながら、鑑定でさりげなく薬草を避けて歩いてノアの後を着いて行く。
ノアも同じように避けて行ったので、それが正解だろう。


着いた林の辺りにも薬草が群生していた。
やはり『A』ランクが多い。
アークはそこまで薬草に詳しく無いので『へえ、凄いな』くらいの感想しか出てこないが、ノアはずっと興奮していた。

曰く、ココの薬草を使えば確実に高品質で高性能のポーションが作れるらしい。
イヤ貴方、今でも普通に品質『S』のポーション作れるでしょうよ、とツッコみたくなったアーク。

---お前が錬金術や普通の調薬で作ったら確実にもっと高品質になるよ。
---うん?
試しに調薬する?
うんうん、確認は必要だよな。もちろん良いぜ。

ノアはそれを聞いてぱあっと顔を綻ばせて、いそいそと薬草を摘み始めた。

「俺も手伝うぜ。駆け出しの頃にも薬草採取は散々やったからな」

・・・駆け出しって言ってもいきなりCランクからだったけど。
でも何事も経験だとFランクの依頼も受けまくったなあ・・・。

「ありがとう! 助かる」

ノアの役に立ってるから、結果オーライだ。


それから一通り見て回って必要数+予備で少し採取し、最初に昼食を摂った場所に戻ったのは夕方だった。

結果、この平原に生えていた薬草は初級クラスのポーション用に使うモノばかりだったが、平均して品質『A』だったので期待は出来そうだ。

「今日はココにテントを出して一泊しよう。試作は明日だ。良いな?」
「・・・・・・うう・・・早く試したいけど、我慢する」
「ヨシ。じゃあテント出して・・・、夕飯も外で食べるか?」
「せっかくだし、そうしよう。夕日が綺麗だ」
『賛成!!』
「・・・ヴァン、どこにいたの?」
『・・・・・・気持ち良くて、さっきまでココでずっと寝てた』

確かに、身体のあちこちに葉っぱが付いて、銀の毛並みが寝癖?っぽい感じに乱れている。

「・・・・・・動いてないのに食べられるの?」
『我は何時でも食べられるぞ!』
「やっぱり食いしん坊イッヌだな」
『幻獣!!』
「うん。食べ過ぎても太らないところは良いかもね」
『そこは我も感謝している。食べ放題!』
「「前言撤回。やっぱり食いしん坊イッヌ」」

ハハハッと楽しそうな笑い声が響き、テキパキと夕御飯の支度は進んでいくのだった。













感想 1,589

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

「存じ上げませんが、どちら様ですか?」——忘れることが、最も残酷な復讐になった

歩人
ファンタジー
伯爵令嬢フィーネは婚約破棄のショックで過去の記憶を全て失った。名前も、家族も、婚約者も——何もかも。保護してくれた辺境の薬師に弟子入りし、「フィー」と名乗る少女として穏やかに暮らし始めた。朝は薬草を摘み、昼は薬を調合し、夕方は師匠の息子——無口だが優しい青年ルカスと一緒に夕焼けを見る。「私、前の自分より今の自分が好きです」。五年後。辺境に一人の貴族が現れた。やつれた顔で「フィーネ、迎えに来た」と。彼女は首を傾げた。「存じ上げませんが、どちら様ですか?」——嘘ではなく、本当に覚えていない。忘れることが、最も残酷な復讐になった。