拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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398 キャットファイト?!


「アルジェント様にしがみ付く痴れ者め!! 顔を見せよっ!!」

前方からズカズカとやって来て開口一番がソレって。

「いやいや、どっちが痴れ者だよ」
「そうそう・・・ん?」
「だよなあ・・・ん?」

後ろから聞こえた声にノアとアークが同意したが、二人とも違和感を感じて振り返る。

「・・・私は、何も・・・」

向けられた視線の先にはランスロットが戸惑いがちに立っていて・・・。

その更に後ろを見やると、ソコに居たのはルドヴィカ。

「---何故、ココにいる?」
「気付かなかった、というか忘れてた」
「酷いなお前ら! 何にも言ってくれないから黙ってついてきてやったのに!」
「頼んでない。帰れ」
「魔法騎士団に帰った方が良いんじゃない?」
「アークが冷たい。でもってノアちゃんが無自覚に辛辣っ!!」

どうやら馬車を降りた時に放って置かれたため、勝手に後ろを付いてきてたらしい。

「暇なのか?」
「んなわけあるか!」
「じゃあ帰れよ」
「やだっ!!」
「あーもー!! 煩ーい!!」

アークとルドヴィカが言葉の応酬をしていると横からキンキン声が入った。

「「お前が煩い!!」」

アークとルドヴィカが即座に返す。

ソイツのお付きらしい者は後ろでずっとオロオロしていて役に立ちそうに無いし、キンキン叫んでいた貴族の子息らしきヤツは顔を真っ赤にしている。

「---っ何なのお前ら!! 他人は口出すなよ!!」
ねえ・・・。そう言うお前は何モンだよ?」

ルドヴィカが冷たい目で見下ろすが、ソイツは怒りで気付いていないようだった。

「ただの騎士のくせに僕に口を聞くなんておこがましいな! 仕方ないから教えてやろう! 獣人国のスーラ侯爵家次男、エレン様とは僕のことだ!」
「あー、少し前から滞在中のあのクソガキね」
「威張って言うほどの事か?」
「俺は知らないけど?」

鼻高々に自己紹介をするも、ルドヴィカにはクソガキ扱い、アークは呆れていて、ノアに至っては名前さえ知らないという。

「・・・でも獣人国・・・そう言われれば、耳が・・・」

ノアが気付いてよく見れば、いやよく見なくても頭にはふさふさしたネコっぽい耳があった。
ネコの獣人なのだろうか。

しかし、もふもふ好きのノアでも食指が動かないくらい実は嫌悪感でいっぱいだった。
生理的に受け付けない人種らしい。

「で? その獣人国の侯爵様の次男様が何の御用で? この御一行様が誰だか分かってて突っかかってるのか?」

ルドヴィカが鼻で笑ってそう言った。
カチンと来たらしいエレンは、鼻息荒く叫んだ。

「知ってるに決まってる! 竜王国のヴァルハラ大公家のアルジェント様だろう!! 馬鹿にしてんのか、お前!!」

その言葉に反応したのはパーシヴァルだった。
先ほどから黙って周りを確認しながらさり気なく盾になっていた。

「・・・馬鹿にしてるのは貴殿だ。我等は竜王陛下直属の近衛騎士。たった今、竜王陛下との謁見の為にを案内中なのだが? ソレを遮る無礼、分かっているのであろうな?」

さすがに怒りを顕わにして眉に皺が寄っている。
口調も一段と低い。
ランスロットも同様だ。

しかしエレンと名乗った獣人の子息は動じない。
逆に強気に出て来た。

「はっ!! 大公家の方々? アルジェント様以外は見たことも無いが? ただのお付きだろうが!!」
「---っぼ、坊ちゃまっ!! マズいですよ! 不敬ですよ! こちらにいらっしゃる方々、近衛騎士以外は全員、大公家の御身内様ですっ!!」

お付きがそう言って必死に止めようとするが、信じていないようだ。

「そんなわけ無いだろうが! あの煩い赤毛の騎士もだって言うのか?! そんなわけ---」
「俺か? 俺はココにいるアルジェント様やアルカンシエル様の従兄弟で魔法騎士団長のルドヴィカ・アルバトロスだが?」

食い気味にルドヴィカがスンッとした顔で自己紹介をする。
ソレに続けて、ウラノスが一歩前に出ると言った。

「ちなみに私はウラノス・D・ヴァルハラ。アルジェントとアルカンシエルは我が息子だし、こちらのノアはアルカンシエルの番いでアルジェントが抱いている子はアルジェントの番いだが? 二人とも立派な我が家の義息子だよ。・・・これでも違うと?」

にっこり笑いながら威圧してそう言うウラノスに、エレンはひっと小さく呟いてガクガク震えだしたのだった。



---その頃、レインはずっとアルジェントを見つめていた。

実はノア達が馬車を降りて王宮内を歩き出したときに、すでにレインに防音の魔法を張っていたのだ。
その為、ウラノス達の会話は聞こえていたが周りの音や声はレインには届いていなかった。

だから喚いている獣人の子息も気付いていないし、アルジェントはフードの上からちゅっちゅと口付けを落としてるしで、レインは言われた通り、アルジェントの顔を恥ずかしそうにずっと見つめていたのだった。


だから相手がいくらキャンキャン喚いていても、キャットファイトとはならないのだった。

















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