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423 交渉 1
獅子王の様子を見つめながらクリカラは言った。
「ノアがポーションなら作製して送っても良いと言っておってな、今回使用した上級ポーションの効果を詳しく知りたいそうだ。・・・完治はせず症状の緩和だけと聞いておるが、使者が持ってきた情報では良く分からんらしい」
『---それは、確かに・・・。そもそも、こちらに来て頂く前提で送った使者だったもので、簡単な内容しかしたためませんでした・・・』
獅子王が再び意気消沈して静かに話す。
それを聞いて、やはり招喚できると踏んでいたのかと溜息を吐き、クリカラはウラノス達に視線を投げる。
その視線を受けて心得たようにウラノスが話し始めた。
「元々のメーレ王妃殿下の症状と上級ポーションで緩和された症状、後はどれくらいのインターバルで症状が戻ってしまうのか、というところをまず知りたいそうです。それによって配合や薬草の種類を変えると」
『その、ノア殿は薬師マイスターだが優秀な錬金術師でもあると窺っている。今回の上級ポーションも錬金術で錬成したものだと・・・。ただ、我が国には王都に唯一の錬金術師ギルドがあるが、彼等は矜持ばかり高くて、その、恥ずかしながら腕は全く・・・・・・薬師ギルドにも劣るモノだと』
ウラノスの言葉に獅子王が若干の疑念を持って聞いてきた。
要は信用できるのか、と。
その言葉に慌てたのは宰相オウランだった。
ウラノス達が眉間に皺を寄せて何かを言おうとした寸前、獅子王の口を塞いで画面外に押し倒したのだ。
ついで獅子王を叱責する声が・・・。
『貴方、なんてこと言うんですかっ?! 何度も鑑定で調べましたよね!! キチンとノア殿の錬金術で錬成されたポーションだと出てたでしょうが!! そもそも王妃の実子であるフィフス王子殿下がツテでもって必死で手に入れたポーションですよ?! 貴方、自分の息子の事も信じられないんですか?! アホですかああアホでしたね王妃溺愛が過ぎて盲目になってますもんね!!』
「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」
「「「「・・・・・・」」」」
「---っぶっ・・・・・・!」
宰相の声は荒げていて、ちっとも声を抑えていなかった為に通信魔導具から竜王国側にも筒抜けだった。
おかげで微妙な空気になった竜王陛下の応接室内・・・。
クリカラ達と近衛騎士達は無言だったが、その沈黙を破る、ルドヴィカの噴き出した声が・・・。
「・・・・・・ルドヴィカ」
「---っす、スミマセン・・・っだって・・・!」
「気持ちは分かるが、堪えろ。お前は今、壁だ。壁と仲良くなっていろと言ったろう」
「・・・はっ、申し訳ありません・・・くくっ」
ウラノスがルドヴィカにツッコミを入れると、他の(正式な)近衛騎士達はルドヴィカからそっと目を逸らした。
更にウラノスに言われてくるりと壁側を向いて笑いを堪えるルドヴィカに、クリカラ達は全員呆れた目を向けたのだった。
そうこうしているうちに獣人国側でも落ち着いたらしく、宰相が顔を出した。
「---我が国の王が失言致しまして、大変申し訳ございませんでした」
頭を深く下げ、誠心誠意の謝罪が見て取れたその姿の奥・・・。
その後方に、護衛らしきガタイの良い熊獣人の騎士達が獅子王を拘束しているのが見えて・・・。
---竜王国と似たような状況だな。
側近の方々の苦労が垣間見れて、若干同情するリュウギ達であった。
竜王陛下?
クリカラは気まずそうに顔を背けていましたが、何か?
---ともかく、コレでは先に進まないなと、宰相オウランの謝罪を受け入れるのだった。
「謝罪は受けましょう。ただ・・・申し訳無いですが、レナード王が口を挟むと話が進みませんので、口出しは最小限でお願い致します」
『もちろんでございます! もう獅子王には口出しさせませんので! 何とぞよろしくお願い致します!』
そう言い切った宰相は清々しい笑顔だった。
---良い加減、キレたのかもしれない。
なんにせよ、サッサと交渉事を終わらせられれば良いかと、ウラノスは話を続けるのだった。
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