拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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460 密会と外れた思惑 2

実はメーレ王妃に盛っていた毒は偶然の産物だった。

ペルルが休日にたまたま古の森の浅いところを冒険者の護衛付きで向かい薬草の採取をしていたところ、初めて見る未知の薬草を偶然発見して王宮内の自分の研究室に持ち帰った。

詳しく鑑定アナライズをしたところ、その薬草には猫系にだけ毒となる成分が入っていることが分かった。
草にある成分はごく微量で、蓄積されるタイプの毒だったが、猫系の獣人が一生涯で毎日口にしても致死量には全く達しないであろう、ごく微弱なものであった。

それよりも他の有用な薬効成分の方が勝り、ペルルはそちらに重きを置いて新薬の研究をしていた。
通常の薬師としての調薬ではソレは全く問題にならない事だった故に。

---ソレが崩れたのは、ペルルがマジックバッグに入れて持ち歩いていたその薬草を偶然、錬金術師ギルマスのロキが目に留めた時だった。

街のカフェのテラス席で一人、気分転換にとお茶を飲んでいたとき、ロキに声をかけられたのだ。

「---よう、ペルル。久しぶりだな」
「・・・・・・ご無沙汰しております。ロキ様」

不機嫌さを隠そうともせずに声をかけて来たロキに、立ち上がり顔には出さずに内心で溜息を吐きながら挨拶をするペルル。

お互いに休日だったのか私服だったため、今の二人はただの知り合いのように見えるが、ペルルの家は子爵家でロキは伯爵家。
そしてペルルの家はロキの家の子飼いの一つであったために、ロキには強く出られない。
何か言われれば従うしか無かった。

更には数年前に王宮専属副薬師長になる時に、ロキの提案で少々後ろ暗いことをしてしまったため、ペルルは完全に頭が上がらなくなっていた。

「珍しいなあ、こんなところで会うなんて。さぞかしお忙しいんだろうと思っていたが、何か悩み事か? ン? 俺に話してみろ、聞いてやるぜ?」

暗に、王宮専属副薬師長になって良い気になりやがって、といういう言葉を裏に乗せて皮肉るロキ。
錬金術師ギルドは閑古鳥だから仕方ない、とペルルは無表情に撤した。

「本日は休日ですので、特には何も」
「---へえ、それじゃあは何だ?」
「---っいえ、コレは・・・・・・」

ついお茶を飲みながら出していたあの薬草を見られた。

「---何だ? やましいことでもあんのか?」
「いえ、そんなことは・・・・・・」
「じゃあ俺が見ても良いよな?」
「・・・・・・はい」

ロキにそう言われて返事を返すが、かえって断る理由を無くしてしまった。

「コレ、まだあるんだろ? もう少しくれよ」
「・・・・・・生憎、ここに出ているだけです」
「---シケてんな。まあいいや。貰っていくわ」

そう言って自分のマジックバッグに薬草を突っ込むと何やら悪い顔をしながら去って行くロキを見送りながら、ペルルはイヤな予感が的中しないことを祈った。

案の定、ロキは持ち帰ったその薬草を鑑定し、そしてペルルの予感通り錬金術で毒の成分だけを抽出する事に成功してしまった。

---が最悪な運命の歯車を動かす鍵になる。

その毒の抽出レシピは偶然とはいえキチンと残っていたため材料があれば何時でも錬成出来た。
・・・・・・だがこの時、解毒薬はまだ作られていなかった。
しかしロキ達は毒が作れたのだから何時でも解毒薬は作れるだろうと慢心した結果、何をどうやっても解毒薬の錬成は成功せず・・・・・・。

既存の解毒薬を試しても、その毒が未知の薬草から偶然生まれたもの故に全く効果が無く。
新しく作ろうにも未知故に何をどうすれば良いのかも、配合や使う薬草の種類も分からず。

今更、毒の摂取を止めても蓄積されるタイプの毒故に、すでに手遅れ。

ロキを筆頭に錬金術師ギルドメンバーはお手上げ状態でほぞをかむ思いでいたのだった。

「---どうするのです? このままでは王妃殺害の・・・・・・!」
「・・・・・・何、もしこのままメーレ王妃が儚くなっても錬金術師ギルドに疑いの目が向けられることはない。上手く隠蔽されている。大丈夫だ、バレるものか」

不安げなギルドメンバーの声にもはや投げやりな口調でそう呟くロキだった。

ペルルは、この時すでに良心の呵責に堪えきれなくなっていた。



※すみません。もう少し続きます。

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