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連載
481 激震の獣人国王都 1(sideヴァン)
アークがウラノスと共にカガシ達を古の森に連れ帰る一時間ほど前のこと───。
我は例の薬草を発見した後はこれといった目的もなくなったので、暇潰しに古の森などを適当に彷徨いていた。
『・・・・・・そういえば獣人国王都の冒険者ギルドにアレから顔を出してなかったな。ちょっと行ってみるか』
アレとは、以前勝手に出かけて冒険者ギルドで厄介になっていたときに、メーレ王妃を攫うついでにノアに顔面鷲掴みで連れ帰られた件である。
『アレは恐ろしかった・・・・・・ステイはともかく飯が野菜だけっていうのがなんとも辛かった』
思い出しただけでも震える。
『むぅ、バレたらまた怒られるかの? 一言言ってから──いやいやバレなきゃいいんだ』
あんな目にあったというのに何故かその時の我は楽観視して、エレフに頼んで何時もの獣人国の近くの古の森に転移して貰い、ふらっと王都に向かったのだった。
───よく考えれば、エレフからノア達にバレるというのに。
空気が読めないエレフは悪気なくペロッと口に出すのだから。前回もそのせいで鷲掴みからの肉抜きステイだったのに、迂闊なエレフのことをすっかり忘れていたのだった。
そして例の如く認識阻害魔法で姿を誤魔化して王都に入ると、何やら騒々しい。
近くの建物の屋根に飛び乗ると、そこから更に高い建物に飛び移る。そして街並みを見回すとどうやら薬師ギルドと錬金術師ギルドの辺りが騒ぎの元のようだった。
『・・・・・・む? 何やら捕り物中のようだの』
見れば薬師ギルドで数名、王立騎士団と思われる騎士達に魔法で拘束されて連行されている。
その薬師ギルドからかなり離れた並びにある錬金術師ギルドの方は、更に騎士の人数も捕縛された人数も多い。
『・・・・・・アレか、毒の件がようやく進展したのか』
古の森に隔離したメーレ王妃が意識を取り戻した際に証言した内容をノア達はウラノスに報告していた。
その後も毒の元となった薬草など、関連性のある事柄は常に情報提供している。
───まあ、どうでもいい日常もしっかり報告していたようだが。それ、ウラノスが喜ぶだけだろう。
そこから確証を得て証拠となるモノも出たのかもしれない。そこら辺は我はタダの幻獣だから知らんけど。興味もないわ。
『・・・・・・彼奴、ココにいてもあの臭いがプンプンするわ。おそらくアレが主犯かの』
風に乗って届いたあの毒薬の臭い。精製されたモノを長期間扱っていたのだろう。浄化魔法でも深く身体に染みついた汚れが消えなかったのか、単に術者が魔法が下手なせいか・・・・・・。後者の方が有り得るな。
もっとも我だから気付いたくらい些細な臭いかもしれぬ。
『・・・・・・仕方ないの』
我は認識阻害の魔法をかけたまま錬金術師ギルドの方へと向かうと、騎士の一人に声をかけた。
『おい、あの一番偉そうなヤツから臭いニオイがプンプン漂っておるぞ。彼奴が主犯ではないか?』
「───っは!? フ、フェンリル様!?」
声をかけてから我は失敗を悟った。
そうだった、受け答えすると認識阻害の魔法は解けるんだった!
『ぅ、いや・・・・・・その、だな?』
「フェンリル様が!」
「何!? 本当だ!」
「うおおー!」
『お、お前ら、落ち着け』
認識阻害魔法が解けた途端、見事な体躯の幻獣フェンリルの姿が露わになり、周囲は阿鼻叫喚。
興奮する者、畏怖する者・・・・・・。しかしさすがと言うべきか、騎士達は興奮しつつも冷静に行動し、周りを宥めて場をおさめていった。
「フェンリル様、よろしければ我らと城にご同行願えませんか?」
『う、む。騒ぎの一端は我にも責がある。よかろう』
「ありがとうございます」
『それに、アレについても気になることがあるのでな・・・・・・』
そうして騎士達と一緒に王城に向かうことになったのだが、こっそり行動しようとしていたことをまるっと忘れた我は、速攻でノアにバレたことに気付いていなかった。
《ヴァン様、またやらかした?》
《コレはノアに報告、だよねえ》
《精霊王様がもうペロッと言っちゃってない?》
《いや、たぶん今は薬師ギルドの人達のことで忙しいから忘れてるんじゃない?》
《・・・・・・あー、有り得る》
遥か頭上の精霊達の会話は聞こえなかった。
※そろそろ獣人国でのフェンリルの立ち位置を書きたい。
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