拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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498 これがノアの常識 1

「・・・・・・大賢者の養い子?」
「精霊王の義息子とは聞いていましたけど・・・・・・」
「あの───古竜って言いました?」
「・・・・・・へ?」

再び唖然としたリオラル達の言葉に俺はキョトンとした。アークが片手で顔を覆って天を仰いでいる。・・・・・・あれ?

「・・・・・・ノア、心の声がダダ漏れだったぞ」
「・・・・・・マジ?」
「マジ」

───うわぁ、ヤバい。古竜が父さんって秘密だったっけ!?
俺は慌ててアークを見た。アークはすぐに立ち直り、心得たように頷いて俺の代わりにリオラル達に説明してくれた。

「本人がうっかり暴露したから言うが、一応公式に発表されていなくてな。ここにいる全員に誓約魔法を使わせて貰う」
「・・・・・・それは決定事項なんだね。私は構わないよ。皆もいいね?」

リオラルが獣人国側の皆にそう言うと頷いてくれたので、俺は調薬室全体に更に防音魔法を重ねがけしてから誓約魔法を使った。

「ノアが精霊王の義息子なのは何人かは知っているようだが、一応俺も義息子になってる。まあそれは別にいいんだが」
「・・・・・・いいのか」
「ああ、それは些細なことだ。本題の方がヤバいからな」
「それは大賢者のことと金竜で古竜ってことですか」

アークの『別にいい発言』にリオラルがえっという顔で言い、オウランが神妙な顔でそう聞いてきた。

「そうだ。大賢者とはラグナロク・ニヴルヘイムのことを指す。言わずともここにいる者は分かるだろうが・・・・・・」
「伝説級の魔導師ウィザードだな。私も噂でしか知らないが、数多くの逸話が残っている」
「えっ? ラグ爺さん、そんなに凄かったの?」
「・・・・・・そんな方を『爺さん』呼ばわりということは、本当に・・・・・・?」

俺が思わずそう呟くと、リオラルが信じられないような目で見てきた。だって俺には偏屈で頑固だけど優しい爺さんだったから。
魔法も調薬も錬金術も凄い人だとは思ったけど、俺のたった一人の家族だった。それだけだ。

「その大賢者に育てられたから今なってる。・・・・・・常識は二の次だったらしい」
「・・・・・・なるほど。うん、それは確かにと言いたくなるな。分かった。それで?」

話を聞いたリオラル達は頭を抱えたり目を瞑って上を向いたりしている。皆、思い思いのポーズで情報を呑み込んでいるのだろう。
そんな中、リオラルがアークに続きを促す。

「それ以上にヤバいのが実の父親がってことだ」

アークが真剣な表情でそう言った。リオラル達も嘘ではないことを分かっているのだろう。真剣に聞いている。

「古竜って、存在したんだね。しかもって言ってなかった? 絶滅したって聞いてたけど・・・・・・」
「ああ、俺達竜人も今のところその古竜の父親とノアしか知らないな」
「・・・・・・ちょっと待って下さい。大賢者様って、当時は竜人の冒険者とパーティーを組んでいませんでしたか?」

ふと気付いたようにギンカがそう言って、リオラルもハッとした。ああ、うん、そこまで分かれば何となく気付くよね。

「まさかその竜人が古竜でノア殿の父親ってことか!? その繋がりで大賢者様が養い親になった?」
「・・・・・・正解」

俺が思わず苦笑するとアークも同じく苦笑して言った。

「それを知ったのがごく最近で、まあ色々と訳ありで詳しくは話せないんだが」
「それで誓約魔法って訳か。うん、私達はもとより口外する気はないし、誓約魔法を使ってくれてよかった」

情報が凄すぎて、正直聞きたくなかったと思ってるんだろうな。ごめんなさい、迂闊な俺のせいで。

「特製胃薬、あとでたくさんあげるね?」
「・・・・・・いや、うん、嬉しいが何とも言えない気持ちだな」

リオラルが苦笑した。
俺特製の胃薬は効果抜群らしいから、それで許して?
アークを見ると苦笑いで頷かれた。アークも本当にごめん。

「・・・・・・じゃあ、そういう訳でこの話はおしまいにして錬成していいかな?」
「ああ、そうだった。他が衝撃的すぎてうっかり忘れそうになってた。頼むよ」

そう言って笑いながら作業台の前に再び並ぶリオラル達を見て、俺は内心ホッとした。

だって、サラッとぶっちゃけたけどとんでもない内容だった訳で、普通はおそれたりよそよそしくなったりすると思うんだよね。
それなのに話をする前と全く変わらないでいてくれてる。

嬉しくて、何か泣きそうになって喉の奥がグッと鳴った。そのとき、俺の背をそっと撫ぜてポンポンとしてくれる、優しくて暖かくて大きな手のひらが───。

ハッとしてそっちを見ると、優しく微笑んだアークが目に入って・・・・・・

「よかったな」
「───うん」

そう言って頭を撫ぜてくれるアークに俺も微笑むと、それをリオラル達が見守るように見ていたのに気付いて気恥ずかしくなった。

「えっと、じゃあ、錬成やります!」

恥ずかしさを誤魔化すように俺は声を張り上げた。











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