拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
455 / 568
連載

517 カガシと薬師と錬金術師は混ぜるな危険 3

しおりを挟む
カガシとわいわい騒いでいたら、気になって覗いていた他の薬師達が我も我もと結界を抜けてやって来た。
防音の魔法は使っていないので声が漏れていたんだろう。

「ノア殿、カガシさん、何をしておいでで?」
「珍しくカガシが叫んでいたからどうしたのかと気になって」

薬師達が興奮した様子で聞いてきた。おそるおそるとかじゃなくて確実に面白いことだろうって確信しているような口調だ。

「ああ・・・・・・認識阻害魔法で発言内容はぼやけるけど音は抜けてるか。防音したほうがいいのかな、これ」
「したほうがいいですよ。たぶんこれだけの薬師が集まったら大騒ぎです。───色々な意味で」
「うん、そうだね。予防は大事」

頭が痛いとばかりに手で額を押さえたカガシがそう言ったので、それもそうかと納得して防音魔法も重ねて張った。
俺も集中すると色々やらかすし、昨日の獣人国の王宮専属薬師長みたいにここの薬師達も絶対に俺と同類だろう。

そういうわけで更に万全を期した結界の中にぎゅうぎゅう詰めの薬師達。何人いるんだ?

「ちょっと狭いね。結界の範囲を広げるから」

数えたら一五人+俺とカガシで総勢一七人だった。密過ぎる。俺は結界の範囲を倍に広げた。

「ヨシ、これでやりたい放題!」
「やっちゃ駄目でしょ」
「・・・・・・えへ?」

わくわくして思わずそう言えばすかさずカガシのツッコみが入って笑って誤魔化す。意外と真面目だなぁ。

「気を付けないとまたされますよ」

そう呆れた顔でカガシに言われてハッとした。
そうだった。俺はお仕置きされる側だった。うん、気を付けよう。

そんなわけでさっきのやり取りを他の薬師達に話す。それとこれを色々と検証したいことも。

最初の品質HGSではなく、カガシの指摘でさっき錬成した方の検証ね。こっちは品質がSだったから使えるよね?

「ちなみに好奇心もあるけど、ゆくゆくは閨事に困ってる人とか、子供欲しいけど夜の営みが今イチな人とかに使ってほしいなって」

だから分量とか持続時間とか感度の変化とか色々とたくさんの人で検証したい。

「マンネリ解消とか」
「あとはお仕事で春を売る人達とかが苦痛じゃなくなればいいですね。もちろん好きでなさってる方もおりますが」
「いわゆる娼館ですな」
「なるほど。行ったことないから全然気付かなかった。参考になるね」

そっか、娼館か。確かに事情があって仕方なく働く人もいるし、喜んで仕事している人だって体調とかで苦痛のときがあるかもしれない。

こういう意見が聞けるのも大勢の薬師達と出会えたからだもんね。

「ウラノス義父様に感謝だな。カガシ達を連れてきてくれてありがとうって今度行っておこう」
「・・・・・・何の話をしてるんだ、ノアは?」
「あ、アーク!」

いつの間にかそばに来ていたアークに驚く。全く気付かなかった。

「だから言ったろう? ノックをしても気付かないって」
「えへ」

その通りだったので素直に認めて笑っておいた。アークは苦笑したけど怒ってはいないみたいでよかった。

「───で? どうしたんだ? やたら盛り上がって」
「ああ、うん。例のヤツの劣化版をね、カガシのおかげで錬成できたから検証したいって話をしてるんだ」
「・・・・・・劣化版って言っても品質Sだろう? 大丈夫なのか?」
「うん、思い付きで入れてたミドガルズオルムの肝を抜いて錬成し直したから大丈夫!」

俺がそう言ったら、カガシ以外の全員が唖然としたあと叫んだ。

「思い付きでミドガルズオルムの肝なんか使ったのかよ!」

と、アーク。

「薬師バカだ、真性のバカがいる、いい意味で!」
「さすがはノア殿!」
「試したくなる気持ちは分かる!」
「色々混ぜてどうなるかって検証したいよな!」

などなど賛同してるのは薬師達。

「・・・・・・そりゃあ、俺も色々実験はしたいけども、さすがにアレはないな、と思いますよ」

どうみてもヤバい予感しかしないでしょ、とカガシは真顔でそう言った。

ええ? でも生きてたらラグ爺さんも鼻息荒く、率先して実験・検証してると思うけどなー。

ヘンなテンションで盛り上がっている結界の中で、アークとカガシだけが頭を抱えて溜め息を吐いていた。




※カガシは実はストッパー役でした。他の薬師達が暴走気味。

お待たせしてたのと書き上がったのでいつもの時間より早めに更新します。
猛暑や地震や台風諸々、皆様、お気をつけ下さい。

※起こって→怒って
誤字ってたのを訂正しました。
しおりを挟む
感想 1,414

あなたにおすすめの小説

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

難攻不落の異名を持つ乙女ゲーム攻略対象騎士が選んだのは、モブ医者転生者の俺でした。

一火
BL
――聖具は汝に託された。覚醒せよ、選ばれし者 その言葉と共に、俺の前世の記憶が蘇る。 あれ……これもしかして「転生したら乙女ゲームの中でした」ってやつじゃないか? よりにもよって、モブの町医者に。 「早く治癒魔法を施してくれ」 目の前にいるのは……「ゲームのバグ」とまで呼ばれた、攻略不可能の聖騎士イーサン!? 町医者に転生したものの、魔法の使いをすっかり忘れてしまった俺。 何故か隣にあった現代日本の医療器具を「これだ」と手に取る。 「すみません、今日は魔法が売り切れの為、物理で処置しますねー」 「……は!?」 何を隠そう、俺は前世でも医者だったんだ。物理治療なら任せてくれ。 これが後に、一世一代の大恋愛をする2人の出会いだった。 ひょんな事から、身体を重ねることになったイーサンとアオ。 イーサンにはヒロインと愛する結末があると分かっていながらもアオは、与えられる快楽と彼の人柄に惹かれていく。 「イーサンは僕のものなんだ。モブは在るべき姿に戻れよ」 そして現れる、ゲームの主人公。 ――……どうして主人公が男なんだ? 女子高生のはずだろう。 ゲーム内に存在し得ないものが次々と現れる謎現象、そして事件。この世界は、本当にあの乙女ゲームの世界なのだろうか? ……謎が謎を呼ぶ、物語の結末は。 ――「義務で抱くのは、もう止めてくれ……」 ――結局俺は……どう足掻いてもモブでしかない。 2人の愛は、どうなってしまうのか。 これは不器用な初恋同士と、彼らの愉快な仲間たちが織り成す、いちばん純粋な恋の物語。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。