拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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534 再調査と魔導具 7

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ウラノス義父様と影達の打ち合わせが終わったのを見計らって、俺達もお茶会をお開きにした。
俺とアークは、諸々の準備をするために古の森に戻る。

「忙しなくてごめんね、義母様、義兄様」

結局、ヴァルハラ大公家に滞在した時間はわずか。俺は別れ際、シュンとしてしまう。
それを見て義母様達は苦笑している。

「気にしなくていいって。少しでも顔が見られてよかった。ノアちゃん達も忙しいだろうけど、無理しないんだよ」
「そうそう。アークもちゃんとお世話してやれよ」

ここのところの忙しさを知っている義母様達に心配された。シル義兄様はアークに念押ししてるし。

「分かってる」

真面目な顔で頷くアーク。確かに最近は集中しすぎて、数え切れないほどアークに声がけされてたな。一人のときはそれでもある程度、自制できてたのに。
何でだろう?

「──あ、そっかぁ」
「ん、どうした、ノア?」

ちょっと考えて、ハッと気づいて思わず声を上げると、アークが声をかけてきた。
だからそのまま、思ったことを口にする。

「いつも作業に没頭してアークに声をかけられるでしょ。前はある程度すれば自力で止めてたの、何でかなって思ってたんだけど」
「うん? あれでも前はマシだったのか」

アークだけでなく、義母様達もちょっとギョッとしてる。え、そんなに驚くこと?

「そう。でね、今はアークがいるじゃん。無意識に甘えてて、アークがいるから大丈夫って思ってるから、自制が効かないんだなって──アーク?」

俺の言葉に、アークが手のひらで口を塞ぎ、堪えるように目を瞑って天を仰いだ。
義母様達は生温かい目で俺を見ている。俺は意味が分からず、首を傾げた。

「うんうん、よかったねぇ、アーク」
「愛されてるねぇ」
「そりゃあ、そうなるね」

義母様とシル義兄様、そこにウラノス義父様も加わってそう言った。側で控えているレーゲン達も、何なら影達すら訳知り顔で頷いている。

「あれが天然で無自覚の言動だからこそ、タチが悪い」
「アーク、暴走しないといいけどね」
「ああ言われて、自制しろって言うのが無理だろう。あー、予定をちょっと後ろ倒しにするかぁ。サン達、もう一回打ち合わせね」
「御意」

俺が意味が分からずにいる間に、他の皆は何やら納得済みらしい。
アークを見ると、いつの間にか顔は俺の方を向いていたが、どことなく顔が上気している。熱出たのかな、大丈夫?

「アーク、具合悪い? じゃあ、戻ろうか」
「ああいや、体調は万全だが、早く戻ろう。じゃあ父上、あとで連絡お願いします」
「うんうん。早く愛し合っておいで。野暮な真似はしないから、好きなだけどうぞ」
「愛し……はっ!?」
「もう腕輪の転移魔法で戻ろう。すぐ戻ろう」

アークを心配してそう言うと、何故かアークは俺をヒョイッと抱き上げて早く戻りたがった。不思議に思っていたが、ウラノス義父様の言葉でハッと気づく。
え、まさか、今から!?

何でそういうことになったのか、俺自身は気づかないまま。精霊王エレフが付与した腕輪の転移魔法であっという間に古の森に戻る。

「あ、お帰りなさい──あれ、どうかした?」

出迎えたメーレにそう言われて、俺は曖昧に笑う。だって何がどうしてこうなったのか、分かってないから。
そんな中、アークは意味深に笑ってメーレに言った。

「ちょっと篭もるから、何かあったらよろしく」

それで何やら察したメーレは、ちょっと呆れたような顔で応える。

「あー、はいはい。野暮なことはしないから、お好きにどうぞ」
「えっ!?」
「じゃあな」

俺の叫びをスルーしたアークは、サッサと俺達のテントに入って、奥の寝室に移動すると、俺をベッドに下ろして笑った。

「ア、アーク。本当に、これから──」
「うん、無自覚に煽った責任は取ってもらうな」

えええ!?

煽った記憶はこれっぽっちもないが、俺がこれからアークに愛されることは決定事項のようだ。





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