【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ

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12 海老で鯛を釣る? 2


そんな感じで合同訓練が始まったが、何度も訓練をしているので皆手慣れたモノで。

特に指示を出さずとも何時ものフォーメーションを組んで模擬戦が始まった。

───ちなみにこの合同訓練は対魔物討伐を想定して行うので、当然、魔物役が必要になる。そういう訳で魔物役はアディスとカーティス補佐官、あとエリアス団長とディート団長補佐官。
アルヴァは俺と同じで補佐官がいないし、何時も討伐任務の指揮官は、魔導師団は俺で騎士団はアルヴァだから当然討伐隊の方だ。

何時もは俺達のレベルを鑑みて、アディス達は小ボスから徐々にラスボスレベルまで多種多様な攻撃をしていくのだが・・・・・・。

「本日は最初からクライマックスでーす!!」

気の抜けるようなかけ声にそぐわない不穏な台詞に討伐隊側は戦慄した。

だっていきなりラスボスだよ!? それって今回のドラゴンクラスだよ!

「マージーでー!?」

俺はもうダスク公爵子息だとか副師団長の仮面なんかとっくに脱ぎ捨てて、すっかりで話していた。
だって構ってられないでしょ!
そうこうしてる間にドラゴンブレスっぽい火炎魔法を放ってきたアディスに悪態をつく。

「まさかずっとクライマックス!? 父様、巫山戯てる!?」
「まーさかー。終わりまでずっとクライマックスだけど巫山戯てないよ?」
「嘘つけー!」

もはや親子喧嘩のようなやり取りをしながら俺は味方に結界魔法を張り、全員に攻撃力・魔法威力向上、俊敏向上のバフをかける。

更に魔物役のアディス達にも攻撃力・魔力威力・防御力低下のデバフをかけるが、さすがにアディスとカーティス補佐官の魔法で弾かれた。

「『麻痺魔法パラライザ』! あーくそ、魔法耐性強すぎ! ちょっとくらい効きなよー! それともまさか状態異常無効のスキル持ってる!?」
「ソレは教えられねえなあ!」
「手札は隠さないとね」

俺がそう喚けばエリアス団長とディート補佐官がニヤリと笑いながらそう言う。分かってるけど!
だってアディス達や団長達レベル高すぎて『鑑定魔法アナライズ』弾かれちゃうんだもん。

鑑定魔法は当人が許可しないと自分より高レベルな人は弾いてしまってステータスを見ることが出来ない。
もちろん暗黙のルールで魔物やモノ以外は勝手に見てはいけないことになってる。そりゃあプライベート丸裸ってやだよね。

「いかなセラでも味方に広範囲の多重魔法使って更にこっちにも広範囲のデバフはキツいだろう?」
「チッ! ダメ元だから別にいい!」

さすがに俺だってこれだけの魔法を使いながらアディス達にデバフは無理と分かってるけど、討伐任務の時の癖で何時もやっちゃうんだよね。
でもあわよくばってのもあったし、のっけからクライマックスなら全力でヤれるから───。

「じゃあコッチもクライマックスでイかせて貰う」
「っセラ!」

あ? 何、ヘンな意味じゃないよ!?
だからアルヴァ、戦闘に集中して! 顔を赤くしてるんじゃない!

「『煉獄魔法インフェルノ』!」
「『絶対零度魔法アブソリュート・ゼロ』」

熱風と冷気が入り乱れてぶつかり合い掻き消されたので間髪入れず次を放つ。結界魔法でお互いとも防御してるから被害はない。・・・・・・地形は変わったが。

「『暴風雨魔法テンペスト』!!」
「『暴風雨魔法テンペスト』」

竜巻と豪雨を合わせたような大規模魔法をほぼ同時に放ち、やはり打ち消される。

次々くり出す俺の魔法に反対属性の魔法や同魔法で相殺してくるアディスにムッとする。そりゃあ俺の師匠だから読まれるのは分かるけど!

魔力量なら国一番の俺だが、魔法の腕はさすがにアディス父様が上だ。年季が違う。悔しい!

俺達が魔法戦メインでやり合っているときに残りの団員達は何時もの体制で団長や団長補佐官とヤりあっている。

あちらもバフがかかっているのだろうが、元々の身体能力が獣人の中でも高いから倍以上の威力が出てるっぽい。

・・・・・・ところで何か、アディスに攻撃が集中してない?
そもそも俺と対峙しながらアルヴァにも口撃&攻撃してるアディス・・・・・・マジか。そんな余裕あんのか、くそう。

「セラにあんまり近付くんじゃないよ、脳筋!」
「───っ嫉妬ですか!? ダスク師団長!」
「ったり前だろ! 今まであんな根も葉もない噂を鵜呑みにして避けてたくせに! 無垢だって知った途端コロッと掌返ししやがって!」
「ソレは、申し訳ないと思っておりますが! でも俺のなんだから親しくしてもいいでしょう!」
「あんな噂で距離置いてセラを悲しませてたことが許せないんだよ! だから一発殴らせろ!」
「・・・・・・は?」

アディスが身体強化魔法を自身にかけると目に見えないほどの速さでアルヴァに肉薄し、アルヴァの鳩尾をグーパンした。

「───っぐ!」
「やりぃ! クリティカルヒット───!!」
「アルヴァ!?」

ドゴッという鈍い音と共に訓練場の壁にめり込んだアルヴァ。いや訓練場にガッツリ強化した結界魔法張ってんだけどめり込むって何っ!?

その場にいた全員が唖然として固まってしまい、模擬戦闘は唐突に終わった。

「・・・・・・マジ?」

俺も呆然。何度も合同訓練してるけどこんなの初めて見た。
だっていくらアディスが鍛えてるっていっても相手は竜人だよ? 身体強化魔法で底上げしてもアディスは俺と同じ人族だよ?

「アチャー。ガチだった」
「・・・・・・相変わらずですね、ダスク師団長殿」
「なんでアイツは騎士団所属じゃないんだ?」
「魔導師としても優秀だから?」

エリアス団長とディート補佐官が呆れたようにぼやいている中、カーティス補佐官は微笑んでいて、アディスは勝ち誇った顔で指を立てるという公爵にあるまじき仕草をしながらドヤった。

「フン! セラが欲しかったら私を倒していけ!」
「・・・・・・いやそれ、どんな無理ゲー・・・・・・」

俺ですら魔法で勝てないのに、武力でも勝てないって・・・・・・。てか、鍛えてんのは知ってたけど、身体強化だけでステゴロで騎士団副団長を伸しちゃうって・・・・・・アディス凄過ぎん?

「とりあえず魔物役俺達の勝ちー! 次も暴れるぞー」
「ダスク副師団長、訓練場にリペア頼む。残りは15分休憩で次はバトルロイヤルをやるから準備しておけ」

正気に戻って辺りが騒然とする中、アディスの気の抜けた声とエリアス団長の次の予定を告げる声がよく響いて再び戦慄する団員達だった。






※次は二回戦。色っぽいところがなくてスミマセン。

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