【完結】猫になれ!

エウラ

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アトリウムside 2

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---早いもので高等科まで卒業して、今は魔塔に勤める初日。

お互い15歳になり俺は首席で卒業、リナリアは魔導具製作ではトップだったので一芸で(他は普通の成績だった)無事に飛び級で卒業して、二人とも魔塔に就職した。
(本来は18歳で卒業)

結局、在学中にはリナリアを堕とせなかった。
何故だ?!

7年も同じ相部屋でずっとクラスも一緒だったのに。

アイツは本当に色恋沙汰に無頓着で、全く関心が無い。
俺があんなにアピールしていたのにだ!
おかげで周りのヤツらからの同情と憐憫の眼差しが痛い。

今年魔塔に就職する同期は皆、俺の気持ちとリナリアの塩対応を知っている。
おそらく魔塔に勤める先輩達も噂を知っているのだろう。
同じ様な眼差しを受ける。

リナリア?
アイツは馬鹿だからそんなことに気付かない。


仕事始めですでに職場が分かれている。

俺は主に魔物の討伐を行う魔導師課でアイツは魔導具製作課。

これで顔を合わせる機会がかなり減ってしまった。

「---ようこそ、魔塔の魔導師課へ。課長のリーフレットだ、よろしく。首席だって? かなり強いそうじゃないか。期待してるよ」
「・・・ありがとうございます」

アトリウムはムスッとした顔をとりつくろいもしない。

「・・・ふふふ、不満そうだね。同期のリナリア君の事かな? 大丈夫、皆知ってるよ。協力するからなんでも言ってくれ。出来る限りのことはしよう」
「・・・何故とお聞きしても?」

リナリアとは面識が無いはず。
肩入れする理由は無いだろう。

「---そうだね。実は以前ここに彼の父親も勤めていて、彼の開発した魔導具に色々と救われた者も多いんだ。皆、尊敬していたんだよ。詳しく話を伺ったときにはクソはげデブ親父と腹が立ってねえ・・・。思えばあの頃世に出ていた魔導具は彼の父親のモノによく似ていた。早く気付くべきだったんだよ。皆、後悔してる。だからかな?」

そう言ったリーフレット課長は本当に悔やむ様子で・・・。
じゃあ、遠慮なく協力して貰いますと笑った。


それから更に5年。

アイツは色々な魔導具を発表し、めちゃくちゃ高い評価を得ていたが本人は相変わらず無関心でひたすら魔導具製作に精を出す日々。

俺は魔物の討伐で名を上げて、面倒臭い事に色んなヤツらから声をかけられてウザい日々だった。
おかげで『来る者拒まず去る者追わず』なんてヤリチンみたいな噂が流れた。

巫山戯るな。
こう見えても俺はリナリア一筋の童貞処女だ!


そんな噂が流れ、仕事中はアイツとの時間が持てず、学生時代よりも希薄な関係性になっていき、俺は焦っていた。

だからかな。
『ネコの日』なんてのに乗っかって、気付けばリナリアに言っていた。

「お前、明日、ネコになれ」


後で我に返ったが、勢いって大事だと職場のヤツらに揶揄われ、邸に戻って執事長のセスに事の次第を話し、明日、万が一リナリアが来たら何時でもイケる手筈を整えておくようにと告げて就寝。

次の朝、7時に来やがった馬鹿の対応に向かうと、何か頭に付いてる・・・。

話しながらも視線はリナリアの頭の上。
猫耳を凝視する。
何だあれ、何でピクピク動いてんの?!

セスに言って一旦応接室に通して貰うが・・・後ろ姿が・・・尻尾・・・尻尾?!
ゆらゆら揺れているんだが?!

「---ナニアレ、ヤベえ・・・」

口を掌で覆って天を仰いだ。


支度を整えて応接室に向かうと、微妙な空気が・・・。

セスも壁に控えながらリナリアの頭の上を凝視している。
その空気に堪えきれなかったのか、リナリアが困ったように・・・。

「にゃーん?」
「・・・・・・何やってる、バカリナリア」

思わずツッコんだ。

思わず猫耳を掴めば痛いって・・・?
いったいなんなんだ?
リナリアもよく分かってないようだった。

それにしても『ネコになれ』=『猫の仮装』って思考がなあ・・・。
ほんっとバカ。

そんな馬鹿なリナリアが悪いヤツに食われないように俺が今から食うから。

「セス、呼ぶまで来なくて良いから」
「手加減なさってくださいね」

---たぶん無理だな。


俺の寝室のベッドにぽすんとおろし、舌舐めずりをする。

「物理的にもネコになってくれたから、イタダキマス」
「みぎゃ---!!」


こうして漸く、晴れて俺達は結ばれ、おバカなリナリアは俺の嫁になった。

猫耳尻尾の魔導具やら猫神様やらはひとまず置いておく。

もう外れないようだし?

可愛いから良いよ。





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