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王都までの道のり 1

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辺境伯領を出て一日目。

時たま魔獣が出るが、さすが騎士団の精鋭さん達。
いつもあっという間に倒してしまって、僕は怯える暇も無い。

今回、ヒューズとダグラスは僕の護衛兼身内ということで、騎馬ではなく馬車に同乗となった。
義父様も乗っているので、体の大きい人が三人。
---圧が凄い。
馬車、結構広いと思ったんだけどな。

セバスはもう一台のやや小ぶりな馬車にアイテムボックスなどと一緒に乗っている。
万が一誰かが怪我や病気などになった場合にはそちらで横になれるようになっているそうだ。

休むスペースがあってよかった。
僕のいた世界では考えられない交通事情だものね。
そもそも魔獣が襲ってくるなんて無いし。

「皆、怪我しないようにね?」

馬車の窓から声をかけると、騎乗している騎士さん達がビシッと背筋を伸ばして返事をした。

「っは! 十分気を付けます!」
「皆鍛えてるから心配ないぞ。この辺りに出る魔獣なぞ一撃だ」

ヒューズがなんて事ないように言う。

「一撃! 凄いね! 僕には絶対無理だ。ヒューズ、僕を護ってくれる?」
「とっ、当然だ。アルカエラ神にも誓ったんだぞ。絶対護るよ!」
「うん、ありがとう」

隣り合わせで座っていたが、ヒューズに腰を抱かれて上半身がぴったりくっ付く。

「あーあー、俺等はお邪魔かなあ?」

思わずという感じでダグラスがぼやいた。

「・・・・・・っ! ごめんなさい。うわ、恥ずかしい!」
「・・・・・・その調子で陛下達に見せつけてやればイイさ」
「砂糖吐きそう・・・」
「えええ? だっ大丈夫?!」

義父様が半目で遠くを見つめて、ダグラスがげんなりした顔をしていた。


後方の馬車ではそのやり取りを聞いていて・・・。

「・・・・・・何やら賑やかだなあ」
「ほっほっほ」

護衛の騎士達とセバスがほのぼのと笑っていた。

暫くして予定していた野営地に着き、ルカが馬車を降りる頃にはすでにある程度のテントや竈が組まれていた。

「うわ、凄い。皆、手慣れてるんだね。僕が手伝うこと、何もないね?」
「いやいや、手伝う気だったのか?」
「ルカには無理だろう。体格的にも育ち的にも。そもそも野営なんてやったことあるのか? 料理だって作ったことないんじゃないか?」
「---ぅ、ありません。ごもっともです。邪魔ですね。すみません」

急に敬語になってシュンとしてしまったルカを慰めるのをヒューズに任せてダグラス達も野営の準備を手伝う。

マジックボックスにある程度仕込んだ状態でしまってあるので時短なのだ。
料理も手間のかかるモノはある程度仕込んでおくので早くて美味い。


ヒューズがルカの機嫌を直し終える頃には、野営テントと夕ご飯がすでに出来上がっていた。


それに目を輝かせるルカが可愛くて、一同、ほっこりしていたのだった。





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