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愛が重たい 10
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いつの間にか今日の祝辞を述べる王族として王太子殿下がいらっしゃっていた。
「───ということで、本日は誠におめでとう。これからの将来が価値あるものになることを願って祝辞とする」
・・・・・・・・・・・・とってもいいことを話してくれていたと思うんだけど、ナギの不埒な手が、さり気なく腰や手の甲を意味ありげに触れるもんだから話半分しか頭に入らなかったよ。
そうこうしているうちに会場内ではウェイターが持ってきたグラスや自分で取りに行ったりして持ってきたグラスを掲げだす。
僕もナギが取ってくれたぶどうのジュースのグラスを手に取る。
「───では、新しい門出を祝して、乾杯」
「乾杯!」
王太子殿下の乾杯の声で、会場には楽団による演奏が流れ、めいめいに踊り出したり食事を楽しんだりし始めた。
壇上にいた王太子殿下はグラスに形だけ口を付けると側近に手渡し、こちらに向かって歩いてきた。
・・・・・・僕、王太子殿下に会うの初めてなんだけど、どうしよう。緊張する!
「気楽にして大丈夫だよ。ナツメはもうすでに王太子殿下のはとこなんだから」
義父様はそう言うけど気楽にしてなんて無理でしょ!?
「やあ、初めまして、でいいのかな? ナツメ殿。話はしょっちゅう聞かされてたから初対面の気がしないけど。それにしても実物は可愛いねえ」
にこにことそう言う王太子殿下。僕のこと話してるのって・・・・・・ナギと義父様だよね?
一体どんなこと言ったのやら。冷や汗でちゃうよ。
「やらないですよ」
「殿下にはあげません。あげるのは書類です」
「侯爵までつれないなあ。冗談だよ───おや? そうなんだ。おめでとう、ナツメ殿」
「・・・・・・はあ、ありがとうございます?」
ポンポンと受け答えする会話についていけずにぽけっとしていると、義父様から渡された書類を見て僕にお祝いの言葉をかけてきた王太子殿下。
なんだろう?
・・・・・・もしかして僕とナギの婚約の書類!? 昨日の今日だけどナギ達だったらあり得そうで怖いんだけど。でも僕なんかでいいのかな?
そう思ってビクビクしながら返事をすると、王太子殿下はもの凄くいい笑顔で声を張って宣言した。
「今ココで、エンドフィール侯爵子息ササナギとナツメの婚姻を承認する!」
「───は?」
婚姻? 婚約じゃなくて!?
ポカンとするのは僕を始め会場にいる他の貴族達。
義父様とナギ、エイダはケロッとしている。
───ということは・・・・・・。
「もしかしてナギ達は知ってた、というかサプライズ的な!?」
「そうだ。実は私とナツメは四年前に養子に入ったときから婚約していた。やっと卒業と同時に籍を入れられるとこの日を待っていた」
「・・・・・・はええ・・・・・・」
いきなり婚姻って驚いたけど、最初から婚約してたなんて・・・・・・。
「お前を護るためにはこうして囲っておかないとな。もちろん愛してるからこそだが」
「あ、あいっ・・・・・・愛して、る・・・・・・」
ナギの言葉に真っ赤になる僕。
王太子殿下の宣言で再び阿鼻叫喚の会場の中、やることはやったからと王太子殿下におざなりな挨拶をするナギによって抱き上げられて、速攻馬車へ逆戻り。
王太子殿下はといえば───。
「コレは提出しておくから頑張ってねー。出来れば魔導師団の入団式には来てねー」
なんてのほほんと手を振っていて。
───え? 入団式って、三週間後だったよね? え? どどどういうこと!?
パニックになってしまって、言われた意味に気付くのはこのあとしばらくしてから。
侯爵家で昨日の焼き増しとばかりに連日連夜、ナギによって抱き潰される羽目になるとはこのときは全く思っていなかった。
◇◇◇
───それから三週間後の魔導師団の入団式当日の朝。
「───本当に行くのか?」
シュンと垂れた耳と尻尾が見えそうなナギに心を鬼にする。
「行くに決まってるでしょ! 僕の就職先の入団式だよ。今日行かないでどうするの!?」
「いや別に働かなくても次期侯爵夫人として邸のことをしてゆっくり過ごせばいいだろう?」
「うっ・・・・・・邸のコトは、その、申し訳ないけど。『働かざる者食うべからず』って言うでしょ。僕はこの魔法を活かして働きたいの」
せっかく内定していた職場だよ。いきなりドタキャンなんてダメでしょ!?
朝起きてから支度を整える間中、ずっとナギとこの押し問答を繰り返していて、出かける前からげっそりしてしまう。
今日は僕が入団する魔導師団の入団式だ。確か王立騎士団の入団式も同じ場所であるからエイダに会えるかな?
・・・・・・三週間ぶりだもんね。
卒業パーティーから速攻帰宅すると、いつ準備したのか卒業祝いと一緒に婚姻祝いのパーティーを開いてくれていて、無礼講だと使用人達も加わってお祭り騒ぎ。
ナギに勧められて初めて口にしたお酒はフルーティーで飲みやすく、あっという間にグラスが空になった。
そこにナギがまた注いでくれてゴクゴクと飲み干して───いつの間にかぐでんぐでんに酔っていた。
そこからの記憶は曖昧で、たぶんナギと入浴して、ベッドでまた愛された。
寝落ちして目が覚めたらナギに給餌されてまた愛されて・・・・・・というのをたぶん一週間くらいはしてたんじゃないかな?
コレが蜜月ってヤツ?
でもそのあとは僕も頭がちゃんと回って、とにかく昼間は性交は控えて貰って、入団の準備をしつつナギとは時間を合わせて街にデートしに行ったりした。
だってそういうのすっ飛ばして結婚だからね。実はこういうこともしたかったと言えば、ナギは喜んで付き合ってくれた。
そうして迎えたのが今日の入団式ってわけ。
「今日は入団式だけでしょ。式のあと、ちょっと職場の説明や見学で終わりで明日からが本格的な勤務なんだから心配ないってば」
「だが、それでもナツメの身体が心配なんだよ。妊娠が分かったばかりなんだし」
───そうなんだ。初めて身体を繋げてから連日抱かれてこれでもかというほど精を注がれて、僕もナギも魔力量が凄いせいかあっさりと妊娠してしまったんだ。
ちょっと下品だけど、ここ数日、排泄がなくて『便秘かなぁ?』って心配になってナギにチラッと漏らしたんだ。そうしたらちょっと考えてから侯爵家お抱えの侍医を呼んで診察して貰うと───。
『おめでたですな』
・・・・・・おめでた・・・・・・え? 赤ちゃん出来たときに言う『おめでた』!?
『そういえば孕むと排泄がなくなるって教わったよね。え、本当に!?』
『まあ、お二人の仲睦まじさからお早いでしょうとは思っておりましたが。ほっほ、ようございましたな』
それから義父様にも伝えられ、邸の中は卒業パーティー以来のお祭り騒ぎ。
入団式直前での妊娠発覚でナギが神経質になるのも頷けるってものだけど。
「でも入団式には出たい」
僕はちょっと我が儘を言った。
だって学園で同級生だった人も何人か入団するし、僕とは直接関わり合いがなかったけど、これからは同僚として仲良くしたい。
ていうか友達欲しい。
「・・・・・・俺が後ろで見守っているから、それでいいなら」
「───! やった! ありがとう、ナギ、大好き!」
僕は嬉しくてナギの頬に口吻をした。ナギはほんのり頬を染めて嬉しそう。
「話が纏まったところで早く出かけないと遅刻するよ」
「あ! ナギ、急いで! じゃあ義父様行ってきます!」
「うん、気を付けてね。魔導師団の師団長と副師団長には懐妊のこと伝えてあるから。色々と便宜を図ってくれてるはずだから心配しないで」
「え、それ最初に教えてくれてればナギと言い争わなくて済んだ・・・・・・」
「ふふふ、夫夫喧嘩、見られて楽しかったよ」
「義父様!」
お茶目すぎる!
ともかくナギの過保護の元、無事に入団式を終えて職場の説明やら見学やらが終わる頃には同期の魔導師達とも打ち解けて、たくさんの友人が出来た。
「学園ではあまり話せなくてごめんね。エンドフィール侯爵家だって分かったらちょっと声かけづらくて」
「あのササナギ様の義弟って知って、(怖くて)皆遠巻きにしちゃってて」
「こんなに可愛くていい子なんだもん、囲って過保護にもなるよな」
「・・・・・・? そう?」
確かにエンドフィール侯爵家は家柄も凄いけど、遠巻きにするほどの何かってあったかな?
今イチ分からなくて首を傾げると、皆が真面目な顔で言った。
「そういうところ!」
「えええ?」
やっぱり分からなくて首を傾げると、皆は爆笑した。
僕もつられて笑う。
「君達、ナツメをよろしく頼む」
不意に離れたところにいたナギが側に来て、友人達にそう声をかけた。
皆はちょっと緊張したけど、僕を見てからナギに真剣な目を向けた。
「公私ともに、私達で出来る範囲で御護りいたします」
そう言うとナギはジッと見つめてから頷いた。
「・・・・・・ナツメ、友人として仲良くな」
「───はい!」
そうして騎士団の入団式を終えたエイダも合流してわいわいと雑談をし、また明日、と手を振りながら別れた。
「楽しかった」
「そうか」
「師団長達からは、体調を見て無理なく勤めるようにって言われた。助かるよね。初日から妊夫なのに、迷惑だろうに」
「そんなことはない。今は妊娠してても子供がいても働ける環境が整っている。貴重な人材を手放すよりよほどいい」
「うん、おかげで僕も安心して働けるよ」
ルンルン気分で帰宅し、義父様に今日の出来事をニコニコ顔で話して一日が過ぎ、さあ就寝・・・・・・と思ったら。
「・・・・・・ナギ? ええと、あれ? どうして組み敷かれてるのかな、僕」
「そんなの、ヤるからに決まってるだろう」
「・・・・・・えーと、僕、今妊娠中で・・・・・・」
「だから胎の子に魔力をたくさん注がなくてはな」
「・・・・・・・・・・・・え?」
つまり? 産まれるまではたくさん魔力を含む精を注ぐのが男同士の妊娠の常識・・・・・・?
こうして僕はいつも以上に愛される日々が続いて、毎回聖魔法で回復させるという、使い方おかしくないか? っていう生活を送るのだった。
まあ、幸せだからいいのかな。
※ひとまず本編終わりで、このあと他の人の視点で数話予定してます。
当初の倍以上かかってますがもう少しお付き合い下さい。
次は更新遅れるかもしれません。
「───ということで、本日は誠におめでとう。これからの将来が価値あるものになることを願って祝辞とする」
・・・・・・・・・・・・とってもいいことを話してくれていたと思うんだけど、ナギの不埒な手が、さり気なく腰や手の甲を意味ありげに触れるもんだから話半分しか頭に入らなかったよ。
そうこうしているうちに会場内ではウェイターが持ってきたグラスや自分で取りに行ったりして持ってきたグラスを掲げだす。
僕もナギが取ってくれたぶどうのジュースのグラスを手に取る。
「───では、新しい門出を祝して、乾杯」
「乾杯!」
王太子殿下の乾杯の声で、会場には楽団による演奏が流れ、めいめいに踊り出したり食事を楽しんだりし始めた。
壇上にいた王太子殿下はグラスに形だけ口を付けると側近に手渡し、こちらに向かって歩いてきた。
・・・・・・僕、王太子殿下に会うの初めてなんだけど、どうしよう。緊張する!
「気楽にして大丈夫だよ。ナツメはもうすでに王太子殿下のはとこなんだから」
義父様はそう言うけど気楽にしてなんて無理でしょ!?
「やあ、初めまして、でいいのかな? ナツメ殿。話はしょっちゅう聞かされてたから初対面の気がしないけど。それにしても実物は可愛いねえ」
にこにことそう言う王太子殿下。僕のこと話してるのって・・・・・・ナギと義父様だよね?
一体どんなこと言ったのやら。冷や汗でちゃうよ。
「やらないですよ」
「殿下にはあげません。あげるのは書類です」
「侯爵までつれないなあ。冗談だよ───おや? そうなんだ。おめでとう、ナツメ殿」
「・・・・・・はあ、ありがとうございます?」
ポンポンと受け答えする会話についていけずにぽけっとしていると、義父様から渡された書類を見て僕にお祝いの言葉をかけてきた王太子殿下。
なんだろう?
・・・・・・もしかして僕とナギの婚約の書類!? 昨日の今日だけどナギ達だったらあり得そうで怖いんだけど。でも僕なんかでいいのかな?
そう思ってビクビクしながら返事をすると、王太子殿下はもの凄くいい笑顔で声を張って宣言した。
「今ココで、エンドフィール侯爵子息ササナギとナツメの婚姻を承認する!」
「───は?」
婚姻? 婚約じゃなくて!?
ポカンとするのは僕を始め会場にいる他の貴族達。
義父様とナギ、エイダはケロッとしている。
───ということは・・・・・・。
「もしかしてナギ達は知ってた、というかサプライズ的な!?」
「そうだ。実は私とナツメは四年前に養子に入ったときから婚約していた。やっと卒業と同時に籍を入れられるとこの日を待っていた」
「・・・・・・はええ・・・・・・」
いきなり婚姻って驚いたけど、最初から婚約してたなんて・・・・・・。
「お前を護るためにはこうして囲っておかないとな。もちろん愛してるからこそだが」
「あ、あいっ・・・・・・愛して、る・・・・・・」
ナギの言葉に真っ赤になる僕。
王太子殿下の宣言で再び阿鼻叫喚の会場の中、やることはやったからと王太子殿下におざなりな挨拶をするナギによって抱き上げられて、速攻馬車へ逆戻り。
王太子殿下はといえば───。
「コレは提出しておくから頑張ってねー。出来れば魔導師団の入団式には来てねー」
なんてのほほんと手を振っていて。
───え? 入団式って、三週間後だったよね? え? どどどういうこと!?
パニックになってしまって、言われた意味に気付くのはこのあとしばらくしてから。
侯爵家で昨日の焼き増しとばかりに連日連夜、ナギによって抱き潰される羽目になるとはこのときは全く思っていなかった。
◇◇◇
───それから三週間後の魔導師団の入団式当日の朝。
「───本当に行くのか?」
シュンと垂れた耳と尻尾が見えそうなナギに心を鬼にする。
「行くに決まってるでしょ! 僕の就職先の入団式だよ。今日行かないでどうするの!?」
「いや別に働かなくても次期侯爵夫人として邸のことをしてゆっくり過ごせばいいだろう?」
「うっ・・・・・・邸のコトは、その、申し訳ないけど。『働かざる者食うべからず』って言うでしょ。僕はこの魔法を活かして働きたいの」
せっかく内定していた職場だよ。いきなりドタキャンなんてダメでしょ!?
朝起きてから支度を整える間中、ずっとナギとこの押し問答を繰り返していて、出かける前からげっそりしてしまう。
今日は僕が入団する魔導師団の入団式だ。確か王立騎士団の入団式も同じ場所であるからエイダに会えるかな?
・・・・・・三週間ぶりだもんね。
卒業パーティーから速攻帰宅すると、いつ準備したのか卒業祝いと一緒に婚姻祝いのパーティーを開いてくれていて、無礼講だと使用人達も加わってお祭り騒ぎ。
ナギに勧められて初めて口にしたお酒はフルーティーで飲みやすく、あっという間にグラスが空になった。
そこにナギがまた注いでくれてゴクゴクと飲み干して───いつの間にかぐでんぐでんに酔っていた。
そこからの記憶は曖昧で、たぶんナギと入浴して、ベッドでまた愛された。
寝落ちして目が覚めたらナギに給餌されてまた愛されて・・・・・・というのをたぶん一週間くらいはしてたんじゃないかな?
コレが蜜月ってヤツ?
でもそのあとは僕も頭がちゃんと回って、とにかく昼間は性交は控えて貰って、入団の準備をしつつナギとは時間を合わせて街にデートしに行ったりした。
だってそういうのすっ飛ばして結婚だからね。実はこういうこともしたかったと言えば、ナギは喜んで付き合ってくれた。
そうして迎えたのが今日の入団式ってわけ。
「今日は入団式だけでしょ。式のあと、ちょっと職場の説明や見学で終わりで明日からが本格的な勤務なんだから心配ないってば」
「だが、それでもナツメの身体が心配なんだよ。妊娠が分かったばかりなんだし」
───そうなんだ。初めて身体を繋げてから連日抱かれてこれでもかというほど精を注がれて、僕もナギも魔力量が凄いせいかあっさりと妊娠してしまったんだ。
ちょっと下品だけど、ここ数日、排泄がなくて『便秘かなぁ?』って心配になってナギにチラッと漏らしたんだ。そうしたらちょっと考えてから侯爵家お抱えの侍医を呼んで診察して貰うと───。
『おめでたですな』
・・・・・・おめでた・・・・・・え? 赤ちゃん出来たときに言う『おめでた』!?
『そういえば孕むと排泄がなくなるって教わったよね。え、本当に!?』
『まあ、お二人の仲睦まじさからお早いでしょうとは思っておりましたが。ほっほ、ようございましたな』
それから義父様にも伝えられ、邸の中は卒業パーティー以来のお祭り騒ぎ。
入団式直前での妊娠発覚でナギが神経質になるのも頷けるってものだけど。
「でも入団式には出たい」
僕はちょっと我が儘を言った。
だって学園で同級生だった人も何人か入団するし、僕とは直接関わり合いがなかったけど、これからは同僚として仲良くしたい。
ていうか友達欲しい。
「・・・・・・俺が後ろで見守っているから、それでいいなら」
「───! やった! ありがとう、ナギ、大好き!」
僕は嬉しくてナギの頬に口吻をした。ナギはほんのり頬を染めて嬉しそう。
「話が纏まったところで早く出かけないと遅刻するよ」
「あ! ナギ、急いで! じゃあ義父様行ってきます!」
「うん、気を付けてね。魔導師団の師団長と副師団長には懐妊のこと伝えてあるから。色々と便宜を図ってくれてるはずだから心配しないで」
「え、それ最初に教えてくれてればナギと言い争わなくて済んだ・・・・・・」
「ふふふ、夫夫喧嘩、見られて楽しかったよ」
「義父様!」
お茶目すぎる!
ともかくナギの過保護の元、無事に入団式を終えて職場の説明やら見学やらが終わる頃には同期の魔導師達とも打ち解けて、たくさんの友人が出来た。
「学園ではあまり話せなくてごめんね。エンドフィール侯爵家だって分かったらちょっと声かけづらくて」
「あのササナギ様の義弟って知って、(怖くて)皆遠巻きにしちゃってて」
「こんなに可愛くていい子なんだもん、囲って過保護にもなるよな」
「・・・・・・? そう?」
確かにエンドフィール侯爵家は家柄も凄いけど、遠巻きにするほどの何かってあったかな?
今イチ分からなくて首を傾げると、皆が真面目な顔で言った。
「そういうところ!」
「えええ?」
やっぱり分からなくて首を傾げると、皆は爆笑した。
僕もつられて笑う。
「君達、ナツメをよろしく頼む」
不意に離れたところにいたナギが側に来て、友人達にそう声をかけた。
皆はちょっと緊張したけど、僕を見てからナギに真剣な目を向けた。
「公私ともに、私達で出来る範囲で御護りいたします」
そう言うとナギはジッと見つめてから頷いた。
「・・・・・・ナツメ、友人として仲良くな」
「───はい!」
そうして騎士団の入団式を終えたエイダも合流してわいわいと雑談をし、また明日、と手を振りながら別れた。
「楽しかった」
「そうか」
「師団長達からは、体調を見て無理なく勤めるようにって言われた。助かるよね。初日から妊夫なのに、迷惑だろうに」
「そんなことはない。今は妊娠してても子供がいても働ける環境が整っている。貴重な人材を手放すよりよほどいい」
「うん、おかげで僕も安心して働けるよ」
ルンルン気分で帰宅し、義父様に今日の出来事をニコニコ顔で話して一日が過ぎ、さあ就寝・・・・・・と思ったら。
「・・・・・・ナギ? ええと、あれ? どうして組み敷かれてるのかな、僕」
「そんなの、ヤるからに決まってるだろう」
「・・・・・・えーと、僕、今妊娠中で・・・・・・」
「だから胎の子に魔力をたくさん注がなくてはな」
「・・・・・・・・・・・・え?」
つまり? 産まれるまではたくさん魔力を含む精を注ぐのが男同士の妊娠の常識・・・・・・?
こうして僕はいつも以上に愛される日々が続いて、毎回聖魔法で回復させるという、使い方おかしくないか? っていう生活を送るのだった。
まあ、幸せだからいいのかな。
※ひとまず本編終わりで、このあと他の人の視点で数話予定してます。
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次は更新遅れるかもしれません。
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