追放聖女の華麗なる転身(ショートから移動しました)

エウラ

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12 御対面 1

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そして翌朝、いやもう昼過ぎかな?
目が覚めたら、またまた知らない天蓋付きのベッドだった。デジャヴ。

今日はさすがに一人だったが、いや今日こそいわゆる朝チュン(昼チュン?)なんだからそばにいて欲しかったなー……なんて遠い目をして心の中でぼやく。

「……腹減った」

静まり返った部屋に小さく鳴る腹の虫に、そういや寝る前も疲れてて食べてなかったし、今朝も寝落ちて飯抜いたよな、でもって今はおそらく昼頃だもんな──って思って。

インベントリに何か食べられる物入れてたっけかな。でも取り出したところで身体が動かねえ。ダメだ、腰が死んでる。膝も笑ってる。ベッドから移動できねえよー!
アイツ初心者相手に鬼畜過ぎる!

ふと昨夜の行為を思い出して赤面し、シーツを被る。疲れている身体はまだまだ休息を欲していて、空腹よりも睡眠欲が勝ったようでウトウトし始めたときに誰かの気配に気付いた。

「──……サエ?」

寝ぼけた耳に初めて聞く低い声が聞こえた。戸惑うような、おそるおそるという感じのその声は初めてなのにどこか懐かしいような響きだった。

そしてそっとシーツ越しに触れる温かくて大きな、手?

「……誰?」

不思議に思って頭から被っていたシーツから顔を出すと、手を置いた状態で固まっている黒髪を後頭部でポニーテールした紫色の瞳の四〇歳くらいのイケメンがいた。

あれ、もしかして。

「……王弟殿下?」

俺に似た、いや俺が似てるんだろうが同じ色味の高貴そうなオジサンっていったら、たぶんそうかなって思って言ってみたんだが。

「──っサエ! 生きて、よく……帰ってきてくれた!」
「ぐえっ」

そう叫んだかと思うとシーツごと抱きしめられたが、馬鹿力! 止めろ、今の俺の腰は瀕死の状態!

「いだだだっ!」
「止めんか、馬鹿親父!」
「うぐっ」

ツッコミとともにイケオジを張り倒して引き剥がしてくれたのは俺よりも若いだろう青年。
危うく昇天しそうだった。どこの誰だか知らんがありがとう。アンタは俺の救世主だ。

俺よりも背が高くて髪は襟足が長いウルフカットってヤツで輝くような白金色。でも瞳は俺と同じ紫色で細マッチョ寄りだがガッチリ体型の美青年だ。
王弟殿下らしいイケオジを親父って言ってたからたぶん俺の弟なんだろうな。

「サエ! 大丈夫か!?」
「だいじょばねえよ! 何なんだよ一体、説明しろよ! てか俺、腹減って死にそうなんだけど!」

ベッドの横で滂沱の涙を流す推定父とそれを羽交い締めにして制止している推定弟の後ろから慌ててやって来たアルフォンスに噛み付く俺。

マジで意味分からんし飢え死にしそうだわ!

だから開け放たれたままの寝室の扉から見えるリビングルームらしき部屋の扉付近で待機中の侍女さんが固まったまま掴んでいるカートに乗っているであろう料理をプリーズ!

はよっ!!!

空腹は人をイラつかせ獣にするのだよ!
俺はガルルルという感じでまさにアルフォンスに噛み付きそうになって、その様子を見て涙が止まった推定父と吹き出す推定弟も睨んでやった。

「昨夜から何も食べてない上にめちゃくちゃカロリー消費してんだよ! いくら低燃費だとはいえあんなの身体が保たねえよ!」
「ああうん、そうだよな、アレは全面的に俺が悪いな。ヤりすぎた」
「そうだよ、ヤりすぎだよ鬼畜だよこのヤロウ──って、うわーっ何言ってんだよ!」

アルフォンスと口論になって思わず口走った言葉にその場がカオスになったことは言うまでもない。















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