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※本日二回目の投稿です。番号にご注意下さい。
──そうして次に目覚めたときに聞こえたのは、自分の腹の虫が鳴いた音だった。
カーテンから洩れる光が強いから昼近いのかもしれない。
ぼんやりと薄目でカーテンを見ていたら──。
「目が覚めた?」
「……アビス?」
カーテンとは反対側から声が聞こえて視線を向けると、椅子に座って俺を見つめるアビスがいた。その後ろには専属侍従のエタニティと思われる青年が何やら動いている。
「うん、えっと、アビス? 後ろの人はトリニティのお兄さんのエタニティだよな?」
そう言ったら二人とも『えっ』という顔をした。まあ侍従はさすがに表情には出なかったけど、空気で何となく。
「……分かるのか?」
「っ、初めまして。エタニティと申します」
「うん? 分かるよ。だって雰囲気が違うし、表情だって違うよ。まあ他の人は気付かないくらい些細なことだけど。初めまして、ノヴァだ。よろしくエタニティ」
双子っていうくらいだから顔も背も同じくらいそっくりだけど、動きはさすがに個々で違うし表情もよく見ると変わるし。
エタニティはお兄さんだからかそれとも性格なのかキビキビしてるけど、トリニティはちょっとゆったり気味。
でも初対面では気付かないくらいそっくりだけどね。
俺はまあ、孤児な上に冒険者として生き残るために周囲を観察して空気を読んで動くのに慣れてて、人間観察も得意だし。
「初対面で見分けがつくのはノヴァが初めてじゃないかな、嬉しいよ。さてお腹空いたよね。起きられる? 食べながら説明をしよう」
「ああ、うん、助かる。どっちもお願いしたいことだったから」
アビスが先にそう言ってくれたので遠慮なく乗っからせて貰おう。身体は……うん、問題なさそうだな。若干、尻に違和感が残るくらいか。
ベッドから下りるとエタニティが俺に合うサイズの服を用意してくれてたので着替えをする。
手伝い? 要らないってそんなの、王侯貴族じゃあるまいし。
だけど──。
「この服、どうしたの? ぴったりなんだけど」
着心地がよくてサラリとした手触り。これって今世では触れたこともないが、絹だよな。
さすがに俺のためにあつらえた訳じゃないと思いたい。この世界の絹はお金持ちが身に着ける高級品だ。
「ああ、それは俺の小さい頃のを急きょ手直しして貰ったモノだから気にしないで」
「へぇ、じゃあありがたく──じゃねえよ! 何で絹なんて高級品をお下がりにするかな!?」
「あ、やっぱり絹って分かるんだ。着たことあるの?」
「あるわけねえだろ! 前世でだってそこそこ高級品──ぁ」
やべ、口が滑った。
俺は前世の記憶が戻ってからもずっとひた隠しにしてきた。だって周りにそういう記憶持ちっぽいヤツはいなかったし。
だから気が触れたんじゃないかって気味悪がられて排除される可能性を消したかった。
齢3歳のガキが捨てられたら、どんなに優れた前世の記憶持ちだろうと役には立たずに野垂れ死にか奴隷落ちかだろう。
だからこれまで一度も他人に話したことはなかったのに。
──バレた。
俺は今、顔を真っ青にしているだろう。口に両手をあてて、アビスから目を逸らした。
「……ノヴァ、大丈夫だよ。ごめんね、誘導するようなことをして。俺は、いやこの家の使用人は全員ノヴァのことを知っているから安心して」
「なん、で」
穏やかに微笑んで告げるアビスに目を瞠ると、俺は震える手を下ろしながら呟いた。
「それを含めてこれから話すから、とりあえず食べよう。俺の事情も話すから、ね?」
「……分かった」
アビスは呆然と立ち尽くす俺を抱えて、食事の用意されたテーブルに向かうと俺を椅子に座らせてから俺の席の向かい側に座った。
──そうして次に目覚めたときに聞こえたのは、自分の腹の虫が鳴いた音だった。
カーテンから洩れる光が強いから昼近いのかもしれない。
ぼんやりと薄目でカーテンを見ていたら──。
「目が覚めた?」
「……アビス?」
カーテンとは反対側から声が聞こえて視線を向けると、椅子に座って俺を見つめるアビスがいた。その後ろには専属侍従のエタニティと思われる青年が何やら動いている。
「うん、えっと、アビス? 後ろの人はトリニティのお兄さんのエタニティだよな?」
そう言ったら二人とも『えっ』という顔をした。まあ侍従はさすがに表情には出なかったけど、空気で何となく。
「……分かるのか?」
「っ、初めまして。エタニティと申します」
「うん? 分かるよ。だって雰囲気が違うし、表情だって違うよ。まあ他の人は気付かないくらい些細なことだけど。初めまして、ノヴァだ。よろしくエタニティ」
双子っていうくらいだから顔も背も同じくらいそっくりだけど、動きはさすがに個々で違うし表情もよく見ると変わるし。
エタニティはお兄さんだからかそれとも性格なのかキビキビしてるけど、トリニティはちょっとゆったり気味。
でも初対面では気付かないくらいそっくりだけどね。
俺はまあ、孤児な上に冒険者として生き残るために周囲を観察して空気を読んで動くのに慣れてて、人間観察も得意だし。
「初対面で見分けがつくのはノヴァが初めてじゃないかな、嬉しいよ。さてお腹空いたよね。起きられる? 食べながら説明をしよう」
「ああ、うん、助かる。どっちもお願いしたいことだったから」
アビスが先にそう言ってくれたので遠慮なく乗っからせて貰おう。身体は……うん、問題なさそうだな。若干、尻に違和感が残るくらいか。
ベッドから下りるとエタニティが俺に合うサイズの服を用意してくれてたので着替えをする。
手伝い? 要らないってそんなの、王侯貴族じゃあるまいし。
だけど──。
「この服、どうしたの? ぴったりなんだけど」
着心地がよくてサラリとした手触り。これって今世では触れたこともないが、絹だよな。
さすがに俺のためにあつらえた訳じゃないと思いたい。この世界の絹はお金持ちが身に着ける高級品だ。
「ああ、それは俺の小さい頃のを急きょ手直しして貰ったモノだから気にしないで」
「へぇ、じゃあありがたく──じゃねえよ! 何で絹なんて高級品をお下がりにするかな!?」
「あ、やっぱり絹って分かるんだ。着たことあるの?」
「あるわけねえだろ! 前世でだってそこそこ高級品──ぁ」
やべ、口が滑った。
俺は前世の記憶が戻ってからもずっとひた隠しにしてきた。だって周りにそういう記憶持ちっぽいヤツはいなかったし。
だから気が触れたんじゃないかって気味悪がられて排除される可能性を消したかった。
齢3歳のガキが捨てられたら、どんなに優れた前世の記憶持ちだろうと役には立たずに野垂れ死にか奴隷落ちかだろう。
だからこれまで一度も他人に話したことはなかったのに。
──バレた。
俺は今、顔を真っ青にしているだろう。口に両手をあてて、アビスから目を逸らした。
「……ノヴァ、大丈夫だよ。ごめんね、誘導するようなことをして。俺は、いやこの家の使用人は全員ノヴァのことを知っているから安心して」
「なん、で」
穏やかに微笑んで告げるアビスに目を瞠ると、俺は震える手を下ろしながら呟いた。
「それを含めてこれから話すから、とりあえず食べよう。俺の事情も話すから、ね?」
「……分かった」
アビスは呆然と立ち尽くす俺を抱えて、食事の用意されたテーブルに向かうと俺を椅子に座らせてから俺の席の向かい側に座った。
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