パライソ~楽園に迷い込んだ華~

エウラ

文字の大きさ
15 / 45

15 結界の外は下界と呼んでます

しおりを挟む

朝食を食べ終えたので、魔法でちゃっちゃと綺麗にし、アルトを誘って外へ出た。

「そう言えば、アルトの用事って? やることあるなら俺に構わず済ませてきて良いよ?」
「ああいや、世界樹の点検みたいなもんで・・・」
「・・・なるほど? アレか、結界がちゃんとしてるかとかヘンなのがいないかとか・・・・・・ん?」

アルトを見る。
目を逸らされた。

「・・・・・・」

無言を貫くアルト。

「ヘンなのが、いるねぇ・・・がいるねぇ?」
「・・・・・・」
「ねえ、そういうことなんでしょ? 急に俺が涌いたから調査をしに来たんでしょ?」

詰め寄って聞くが、無言は肯定と取りますよ!

「・・・・・・はー。別に気にしなくても良いのに。どうせここから出る気はないし? たまにアルトが遊びに来てくれれば寂しくないし・・・」

奴隷なんて聞いちゃったから怖くて出られないよ。

「下界に行かなくても生きていける」
「───下界って・・・」
「・・・・・・最初はさ、ここに慣れたら人のいる場所を探して旅をしようと思ってたんだ。けど、昨日アルトが言ってたじゃん、ハイエルフは特にヤバいって。怖い目に遭いたくないし。だからもうずっとココにいてもいいかなって」
「・・・・・・カムイ」
「あっ、でもここじゃ駄目っていうなら、家ごと引っ越すから言って? そこで自前の結界張って引き籠もるから」
「カムイ」
「だからそっちでも遊びに来て欲しいかな」
「───カムイ、大丈夫・・・・・・ここに住んでても良いんだ。寧ろ安全だからここに住んで!」

アルトが俺の目を見て言った。
逸らされなかった。

「・・・・・・でも、アルトの一存じゃ決められないでしょ。多分だけど、アルトって騎士で、今回の任務を任されただけでしょ? 上に報告して、上の判断を仰がなくちゃいけない立場でしょ?」
「・・・・・・っぐ、その通りだ」

悔やしそうな顔だな。
そんな顔も格好いいぞ!
じゃなくて。

「その上司とはどうやって連絡を取るの? 帰ってから?」
「・・・・・・いや、この腕輪が通信機能付きなんだ。・・・ああクソ、こんなに早くバレるとは思わなかった!」
「はっはっは。人を疑うことに関しては玄人かも知れない」

両親死んでから、お金諸々の悪意は嫌というほど経験済みだからな。
なんせ、小学3年からだからな。
年季が違う。

だからそんなに哀しそうな顔をしないの。
耳がへたってるぞ、可愛いけど。
またヘンな勘違いしてるのか?
訂正しないけどな!
藪蛇、駄目、絶対!!!

「・・・・・・次に連絡するとき、話してみる?」
「!! 面白そう。良いのか?!」
「ああ、好きに話すと良い。夕方ごろ通信する予定だ」
「じゃあそれまで外で少し探索しよう。薄暗いから独りだと怖くていけなかったんだよね」





ラッキーとはしゃいでるカムイを見る。
楽しそうだ。

───どうやら昨夜の悪夢は覚えてないようで安心した。
父さんは調べてみると言っていたが、直ぐには分からないだろう。
せめてもう少しカムイから情報を得られないかな。

でも、もし本当に凄惨な記憶を自ら封じたのだとしたら、それを掘り起こしてまで聞きたくはない。

「・・・・・・見極めが難しいな」

昨夜のはおそらく、酒のせいだろう。
前後不覚になってしまって奥底の記憶が表面に出て来た・・・と。

「あんな悲痛な叫びは聞きたくないな」


ふと顔を上げると、少し先で手を振って呼んでいるカムイがいた。

「早く行こうぜ! 俺、行きたかった場所があるんだ!」
「・・・ああ、分かった。今行く」

彼の嬉しそうな笑顔をこれからもずっと見ていたい・・・。





しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています

水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。 「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」 王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。 そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。 絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。 「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」 冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。 連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。 俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。 彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。 これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。

【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません

ミミナガ
BL
 この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。 14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。  それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。  ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。  使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。  ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。  本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。  コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

処理中です...