パライソ~楽園に迷い込んだ華~

エウラ

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15 結界の外は下界と呼んでます

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朝食を食べ終えたので、魔法でちゃっちゃと綺麗にし、アルトを誘って外へ出た。

「そう言えば、アルトの用事って? やることあるなら俺に構わず済ませてきて良いよ?」
「ああいや、世界樹の点検みたいなもんで・・・」
「・・・なるほど? アレか、結界がちゃんとしてるかとかヘンなのがいないかとか・・・・・・ん?」

アルトを見る。
目を逸らされた。

「・・・・・・」

無言を貫くアルト。

「ヘンなのが、いるねぇ・・・がいるねぇ?」
「・・・・・・」
「ねえ、そういうことなんでしょ? 急に俺が涌いたから調査をしに来たんでしょ?」

詰め寄って聞くが、無言は肯定と取りますよ!

「・・・・・・はー。別に気にしなくても良いのに。どうせここから出る気はないし? たまにアルトが遊びに来てくれれば寂しくないし・・・」

奴隷なんて聞いちゃったから怖くて出られないよ。

「下界に行かなくても生きていける」
「───下界って・・・」
「・・・・・・最初はさ、ここに慣れたら人のいる場所を探して旅をしようと思ってたんだ。けど、昨日アルトが言ってたじゃん、ハイエルフは特にヤバいって。怖い目に遭いたくないし。だからもうずっとココにいてもいいかなって」
「・・・・・・カムイ」
「あっ、でもここじゃ駄目っていうなら、家ごと引っ越すから言って? そこで自前の結界張って引き籠もるから」
「カムイ」
「だからそっちでも遊びに来て欲しいかな」
「───カムイ、大丈夫・・・・・・ここに住んでても良いんだ。寧ろ安全だからここに住んで!」

アルトが俺の目を見て言った。
逸らされなかった。

「・・・・・・でも、アルトの一存じゃ決められないでしょ。多分だけど、アルトって騎士で、今回の任務を任されただけでしょ? 上に報告して、上の判断を仰がなくちゃいけない立場でしょ?」
「・・・・・・っぐ、その通りだ」

悔やしそうな顔だな。
そんな顔も格好いいぞ!
じゃなくて。

「その上司とはどうやって連絡を取るの? 帰ってから?」
「・・・・・・いや、この腕輪が通信機能付きなんだ。・・・ああクソ、こんなに早くバレるとは思わなかった!」
「はっはっは。人を疑うことに関しては玄人かも知れない」

両親死んでから、お金諸々の悪意は嫌というほど経験済みだからな。
なんせ、小学3年からだからな。
年季が違う。

だからそんなに哀しそうな顔をしないの。
耳がへたってるぞ、可愛いけど。
またヘンな勘違いしてるのか?
訂正しないけどな!
藪蛇、駄目、絶対!!!

「・・・・・・次に連絡するとき、話してみる?」
「!! 面白そう。良いのか?!」
「ああ、好きに話すと良い。夕方ごろ通信する予定だ」
「じゃあそれまで外で少し探索しよう。薄暗いから独りだと怖くていけなかったんだよね」





ラッキーとはしゃいでるカムイを見る。
楽しそうだ。

───どうやら昨夜の悪夢は覚えてないようで安心した。
父さんは調べてみると言っていたが、直ぐには分からないだろう。
せめてもう少しカムイから情報を得られないかな。

でも、もし本当に凄惨な記憶を自ら封じたのだとしたら、それを掘り起こしてまで聞きたくはない。

「・・・・・・見極めが難しいな」

昨夜のはおそらく、酒のせいだろう。
前後不覚になってしまって奥底の記憶が表面に出て来た・・・と。

「あんな悲痛な叫びは聞きたくないな」


ふと顔を上げると、少し先で手を振って呼んでいるカムイがいた。

「早く行こうぜ! 俺、行きたかった場所があるんだ!」
「・・・ああ、分かった。今行く」

彼の嬉しそうな笑顔をこれからもずっと見ていたい・・・。





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