18 / 45
18 午後の通信タイム
しおりを挟むお昼御飯の後、ちょっと情報を整理したくて、アルトに断って一階の自室に籠もった。
えーと、俺が目を覚ましたのが半年前で、あの場所はここから北の森の中。
その時にはゲーム内での閃光の後から目を覚ますまでの記憶は無い。
巻き込まれた後、おそらく意識不明だったからだ。
・・・ミズチは、俺が消息を絶った後、6年経ってるって言ってた。
でも俺にはその認識は無い。
巻き込まれ召喚直前までと森の中からの記憶だけ。
ミズチ達は【パライソの住人】で直前までは一緒だったから、俺が巻き込まれたときに一緒にこの世界に来たんだと思う。
俺の精霊魔法の源だし、俺の一部となっていただろうから。
じゃあ、ここに転移してから本当に6年経ってたとしたら?
俺が本当に、その6年間の記憶を失っていたとしたら?
何故、失った?
何故、アスガルド神はメールでその事に触れなかった?
6年経ってたら俺は今32歳だよな?
でもステータスは26歳だったよな?
「・・・ステータス」
震える声でステータスボードを表示する。
【名前:ジェイド・カムイ(有原神威)/通称:E・E
性別:男
年齢:26歳
種族:高位森人
体力:A+
魔力:S+
称号:(異世界人、巻き込まれた者、)天涯孤独、精霊王、生産王、魔導王、(時を戻りし者、)アスガルド神の加護
備考:(勇者召喚に巻き込まれた者)】
「・・・・・・称号、隠蔽されてるところ、増えてる・・・時を戻りし者?」
なんだこれ?
まさか本当に6年間分の時間が戻ってるのか?
俺だけ?
何のために?
「---分かんねえ。神様の都合かな?」
考えても何も出て来ない。
・・・ま、いっか。
一般常識はアルトに教えて貰えるし、今のところ困らないかな?
「とにかく、知識を蓄えてから精霊達を探そう」
開き直って部屋を出た。
ドアを開けたら目の前にぬぼっとアルトが立っていてビビった。
「何? どうした? ・・・あれ、結構時間経ってた。お腹空いた? おやつ食べる?」
「・・・・・・いや、その・・・遅かったから、心配で」
アルトの耳と尻尾がしょぼんとへたってて、めっちゃ可愛いな!
「ごめんね、ありがとう。ひとまず落ち着いたから大丈夫。おやつ食べよう。俺が食べたいんだ」
そういってニッコリ笑ってリビングでお茶を飲んだ。
おやつタイム後。
夕御飯の下準備も終わった頃、アルトから通信のお誘いが来た。
相手が驚かないように、事前に俺が通信に出ることを了承済みだとか。
仕事が早いな、アルト。
「今から通信するけど、このままリビングで良い?」
「うんうん、全然オッケーだよ!」
うわあ、ドキドキする。
アルト(と水精霊)以外では初だ!
「---こちら、アルトです。彼は今、俺の隣にいます」
〔ああ、待っていたよ。私は王立騎士団団長のフルクベルトと言う。アイントラハトの父だ。よろしく頼むよ〕
・・・・・・なんですと---!
軽く言われたけどアルトのお父さんだった!
・・・マジか。
しかも肩書きが凄いな!
「あの、初めまして。ジェイド・カムイと申します。アルト・・・アイントラハトさんにはお世話になってます」
〔いやいやこちらこそ、ご迷惑で無ければ2,3日泊めてやってくれ〕
「いえいえとんでもないです。ずっと独りだったから嬉しくて、いえ、あの」
あああ・・・言いたいことが言えない!
コミュ力最低かよ!
「カムイ、大丈夫だよ。落ち着いて」
そういって背中ポンポンしてくれる。
「あうあう・・・ごめんなさい」
〔・・・ふむ。仲が良さそうで良かった。もし良かったら、アルトが帰還するときに一緒に家に来てみないかい? 家の奥さんがね、ジェイド君に会ってみたいって言うんだよ。アルトのお気に入りだからって・・・〕
「父さん?! 何言って・・・!!」
「・・・あの、行ってみたいです。俺、他を知らないから、アルトと一緒なら行ってみたいです」
〔---ああ、もちろん! じゃあその辺りの話も詰めようか〕
「・・・・・・はぁ---分かった。じゃあ・・・カムイ、明後日の朝でどう?」
「ん、何時でも大丈夫。じゃあ後はアルトに任せてもいい?」
「ああ、良いよ」
「じゃあ御飯の支度してくるね」
そういってパタパタと台所に向かっていったカムイを温かい目で見てから、通信を再開した。
「---本気?」
〔家に招待か? もちろん。声だけだが、いい子じゃないか〕
「・・・・・・危険じゃない?」
〔今はまだ副団長の他には知られてない。それに、一度場所を確認しないと『転移』出来ないんだろう? 万が一の時に家なら安全だ。・・・他の家よりかはな〕
「・・・・・・よろしくお願いします」
〔はっはっは、任された〕
その後、御飯が出来るまで色々と話をしていたが、カムイの『晩御飯出来たよ』の台詞に新婚かと突っ込まれた。
---悪くない。
261
あなたにおすすめの小説
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません
ミミナガ
BL
この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。
14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。
それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。
ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。
使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。
ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。
本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。
コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる