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小島箱庭帰省中 3
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疲れてうとうとしていたらいつの間にかガッツリ寝てたらしい。
しかもなぜかカーバンクルから獣人化してる。おやあ?
隣を見れば、獣人姿の俺を抱き込んで俺の胸の辺りに顔をツッコんでスーハーしてるサイファ。
・・・・・・まさかずっと吸ってたとか言わないよね?
どのくらい寝てたのか分からないけど、体感で一時間以上は寝てたと思うんだけど。
まあ、吸われるのがいやではないからいいんだけど。それにたぶん、俺が攫われて狂竜化しかけたのが尾を引いてるんだと思うし。
だから申し訳ない気持ちも込めてサイファの頭を軽く抱えて撫で撫でよしよししてあげたら───。
「・・・・・・ラトナ」
「なぁに?」
「───シていいか? シたい」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
何かのスイッチを押したのか、情欲の灯った瞳を向けられて俺もドキッとした。
「ラトナ」
「───う、あ・・・・・・うん」
昨日の危機的な状況で生存本能が強く働いたのか、すっかりサイファに身体が躾けられたせいなのか・・・・・・。
俺の胎の奥が疼いてその気になって、了承の言葉しか出なかった。
そうして二人きりの小島で、そのまま爛れた蜜月を再び過ごした。
前と違ったのは、抱き潰されなくなって昼間は外に出られたことかな。
もちろん腰が抜けるほどされるんだけど、それでも昼間はちゃんと目が覚めて、小島のいろんな場所を散歩した。
俺のお気に入りの場所に行ったり果物を食べたり、たまに海で魚や貝を捕ったり草むらでお昼寝したり。
「サイファ、まったりいいねぇ」
「そうだな。こんな時間は今まで記憶にないな」
「幸せだねぇ」
「───ああ、幸せだ」
今夜はテントの外に張ったハンモックの上で二人、ゆらゆら寝そべって夜空を見上げている。
ここに住んでた一年間は、いつも木の洞に潜って寝てたからこうして星を眺めることもなかったな。
「サイファはさ、王族の仕事も多いんでしょ? 大変じゃない?」
こんな時間もないほど忙しかったのか、余裕がなかったのか。俺は何気なく聞いてみた。
「うーん・・・・・・まあ、生まれたときから王族の義務だと言われて育ったからな。疑問にすら思わなかったし」
「あー、そっか。それが当たり前だし持てる者の義務ってヤツかぁ。それが一国の王子だと責任も大きいもんね。まだ若いのに凄いね、サイファは」
国民を護るためにたくさんの責任を背負って頑張る王様達。
それに見合った豊かな生活は出来るだろうけどプレッシャーは半端ないと思う。
「俺には絶対に無理だー! ストレスでハゲるね!」
「それは困るな」
そう叫ぶ俺を苦笑して抱きしめるサイファ。うーん、また吸ってるな。
───でもまあ、疲れた旦那様を癒やせるならコレでもいいかな。
「俺さ、サイファに何かあったらもの凄く哀しくて死ぬかもしれないからね」
「・・・・・・」
「だから何かあれば俺にもちゃんと言ってね。ただ護られてるだけで真綿に包まれるのもいいけど、サイファは旦那様だし王様達は家族なんだから」
「ラトナ」
顔をあげて俺を見るサイファはちょっと情けない顔だった。
そんな顔もきっと俺だけに向けてくれるんだろう。
「大丈夫、とは言い切れないけど。想い出は皆で分けあって。悪いモノは少なく、いいモノは何倍にもして笑い合おうね」
きっと出来るよ。
だって俺、神様公認の幸運爆上がりカーバンクルだからね。
ふと見上げた空には一筋の流れ星が光って消えた───。
しかもなぜかカーバンクルから獣人化してる。おやあ?
隣を見れば、獣人姿の俺を抱き込んで俺の胸の辺りに顔をツッコんでスーハーしてるサイファ。
・・・・・・まさかずっと吸ってたとか言わないよね?
どのくらい寝てたのか分からないけど、体感で一時間以上は寝てたと思うんだけど。
まあ、吸われるのがいやではないからいいんだけど。それにたぶん、俺が攫われて狂竜化しかけたのが尾を引いてるんだと思うし。
だから申し訳ない気持ちも込めてサイファの頭を軽く抱えて撫で撫でよしよししてあげたら───。
「・・・・・・ラトナ」
「なぁに?」
「───シていいか? シたい」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
何かのスイッチを押したのか、情欲の灯った瞳を向けられて俺もドキッとした。
「ラトナ」
「───う、あ・・・・・・うん」
昨日の危機的な状況で生存本能が強く働いたのか、すっかりサイファに身体が躾けられたせいなのか・・・・・・。
俺の胎の奥が疼いてその気になって、了承の言葉しか出なかった。
そうして二人きりの小島で、そのまま爛れた蜜月を再び過ごした。
前と違ったのは、抱き潰されなくなって昼間は外に出られたことかな。
もちろん腰が抜けるほどされるんだけど、それでも昼間はちゃんと目が覚めて、小島のいろんな場所を散歩した。
俺のお気に入りの場所に行ったり果物を食べたり、たまに海で魚や貝を捕ったり草むらでお昼寝したり。
「サイファ、まったりいいねぇ」
「そうだな。こんな時間は今まで記憶にないな」
「幸せだねぇ」
「───ああ、幸せだ」
今夜はテントの外に張ったハンモックの上で二人、ゆらゆら寝そべって夜空を見上げている。
ここに住んでた一年間は、いつも木の洞に潜って寝てたからこうして星を眺めることもなかったな。
「サイファはさ、王族の仕事も多いんでしょ? 大変じゃない?」
こんな時間もないほど忙しかったのか、余裕がなかったのか。俺は何気なく聞いてみた。
「うーん・・・・・・まあ、生まれたときから王族の義務だと言われて育ったからな。疑問にすら思わなかったし」
「あー、そっか。それが当たり前だし持てる者の義務ってヤツかぁ。それが一国の王子だと責任も大きいもんね。まだ若いのに凄いね、サイファは」
国民を護るためにたくさんの責任を背負って頑張る王様達。
それに見合った豊かな生活は出来るだろうけどプレッシャーは半端ないと思う。
「俺には絶対に無理だー! ストレスでハゲるね!」
「それは困るな」
そう叫ぶ俺を苦笑して抱きしめるサイファ。うーん、また吸ってるな。
───でもまあ、疲れた旦那様を癒やせるならコレでもいいかな。
「俺さ、サイファに何かあったらもの凄く哀しくて死ぬかもしれないからね」
「・・・・・・」
「だから何かあれば俺にもちゃんと言ってね。ただ護られてるだけで真綿に包まれるのもいいけど、サイファは旦那様だし王様達は家族なんだから」
「ラトナ」
顔をあげて俺を見るサイファはちょっと情けない顔だった。
そんな顔もきっと俺だけに向けてくれるんだろう。
「大丈夫、とは言い切れないけど。想い出は皆で分けあって。悪いモノは少なく、いいモノは何倍にもして笑い合おうね」
きっと出来るよ。
だって俺、神様公認の幸運爆上がりカーバンクルだからね。
ふと見上げた空には一筋の流れ星が光って消えた───。
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