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68 魔導師と隣国の魔剣士 5
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※セイリュウの一人称、話し言葉は『僕』で頭の中の思考は前世の影響で『俺』だったんですが、久しぶりに書いてるせいで全部『僕』になってしまってるので最近のものから全部『僕』に変更します。スミマセン。たぶん隣国の魔剣士辺りからずっと『僕』ですね。
ロザリンドのエスコートで庭に出たセイリュウは、色とりどりの咲き乱れる花に圧倒された。
ここリヴァージュ王国は僕のいるフォルレイク王国から南に位置する国で、気候は前世でいうところの夏に相当するらしい。
でも暑くなっても精々が初夏の気温らしく、半袖短パンで過ごすなんてことはないそうだ。
もっとも王侯貴族はどんなに暑かろうと肌をむやみに晒さないそうで・・・・・・。
うへえ・・・・・・絶対暑いじゃん! 僕には耐えられない!
ちなみにコレ、ロザリンド情報ね。
「───あ、あれ・・・・・・」
ルラック公爵家に着いて早々に気絶した僕は、周りを見る余裕がなかったから気付かなかったけど・・・・・・。
「ああ、セイリュウは見るの初めてか? リヴァージュ王国は海に面しているから、高台にあるルラック公爵家や王城から見えるんだ」
「───海・・・・・・(今世では)初めて」
前世でもわざわざ出向かないと見られなかったけどな。大人になった後は社畜で暇がなかったし。
「そうか。では用事が済んだら海に観光に行くか」
「えっ! いいの!? やった!!」
ロザリンドに手を添えたまま思わずバンザイしてしまって、ロザリンドの片腕も上がってしまった。
それをロザリンドに笑われてしまい、顔が赤くなる。
「元気が出たようでよかった。さあ、お祖父様が待ってるから、テーブルに着いて食べよう」
「うん」
テーブルにはサンドイッチやスコーン、一口サイズの可愛いケーキがアフタヌーンティースタンドに品よく乗せられて置かれている。
他にも南国風の果物が盛られた籠がある。
「人払いしてあるから、いるのは数人の使用人だけだよ。だから敬語とか堅苦しいのはなしで。タダの爺と孫のお茶会だから気楽にな」
「ありがとう、お祖父様」
「うん、ルーお爺ちゃん」
「・・・・・・おお、お爺ちゃん・・・・・・何か新鮮な響きだな」
席に着いた僕達にそう言うルラック公爵もといルーお爺ちゃん。
僕がそう言ったらほくほく顔でデレた。ナニコレ、ロザリンドみたくて可愛いんだけど。さすが祖父と孫。
お爺ちゃんって前に会った時優しそうだったから、あとで騎士団の総長って聞いて驚いたんだけど。
仕事中はもっと厳しい感じなのかな? あとでお仕事見学させて貰えるかな?
「ねえねえ、ロズ、こっちの騎士団の訓練とかって見学出来る?」
「うーん、一応他国の者には秘匿されていると思うが・・・・・・」
「そうだよねえ。簡単に防衛情報漏らしちゃ駄目だよね」
やっぱり無理かーって思ってたら、ルーお爺ちゃんがなんてことないように告げた。
「いや、お前達はウチの養子になるんだから構わんよ。そもそも両国は同盟国だし、訓練内容はさほど変わらんて」
「え、いいの!?」
「そもそもセイリュウに会う予定の魔剣士団長は城で会うことになってるし。ついでに見学するといい」
「え、やった!!」
今度はガッツポーズをとる僕。そんな僕を生暖かい目で見つめながらロザリンドがサンドイッチを手に取り、あーんしてきた。
「あーん・・・・・・うんまあ・・・・・・」
散々されてすっかり躾けられた僕は条件反射で口を開く。
そこにロズがタイミングよく口に入れてくれる。
「・・・・・・手慣れておるの」
「倒れる前からこうしてるからね」
「───んぐっ、あっ、いやこれは・・・・・・!」
カーッとなって慌てて言い募ろうとするが、それより早く再びのあーんによって口を閉じられ、結局そのまま紅茶を飲み、スコーンを食べさせられ、ケーキを食べる頃にはすっかり満腹になっていて色々と忘れた。
「ごちそうさま。とっても美味しかった」
「よかったな」
「じゃあ、明日は11時に王城に行くから、支度を頼むぞ」
満足げにそう言った僕にルーお爺ちゃんが明日の予定を教えてくれた。
おおう、忘れてたよ!
「お爺ちゃんも一緒だよね?」
「もちろん。孫達と一緒に登城なんてウキウキするのう!」
「えへへ、僕も楽しみ」
僕とルーお爺ちゃんのそんなほのぼのなやり取りを見ていたロザリンドはもちろん、邸の使用人達もほっこりしていた。
「あの公爵様が・・・・・・」
「デレていらっしゃる」
「話には聞いてましたけど、信じられないですよね」
などと皆に言われるくらいにはあまり笑わない人だったと知るのはもう少し後のこと・・・・・・。
※次回こそは魔剣士団長出したい!
ロザリンドのエスコートで庭に出たセイリュウは、色とりどりの咲き乱れる花に圧倒された。
ここリヴァージュ王国は僕のいるフォルレイク王国から南に位置する国で、気候は前世でいうところの夏に相当するらしい。
でも暑くなっても精々が初夏の気温らしく、半袖短パンで過ごすなんてことはないそうだ。
もっとも王侯貴族はどんなに暑かろうと肌をむやみに晒さないそうで・・・・・・。
うへえ・・・・・・絶対暑いじゃん! 僕には耐えられない!
ちなみにコレ、ロザリンド情報ね。
「───あ、あれ・・・・・・」
ルラック公爵家に着いて早々に気絶した僕は、周りを見る余裕がなかったから気付かなかったけど・・・・・・。
「ああ、セイリュウは見るの初めてか? リヴァージュ王国は海に面しているから、高台にあるルラック公爵家や王城から見えるんだ」
「───海・・・・・・(今世では)初めて」
前世でもわざわざ出向かないと見られなかったけどな。大人になった後は社畜で暇がなかったし。
「そうか。では用事が済んだら海に観光に行くか」
「えっ! いいの!? やった!!」
ロザリンドに手を添えたまま思わずバンザイしてしまって、ロザリンドの片腕も上がってしまった。
それをロザリンドに笑われてしまい、顔が赤くなる。
「元気が出たようでよかった。さあ、お祖父様が待ってるから、テーブルに着いて食べよう」
「うん」
テーブルにはサンドイッチやスコーン、一口サイズの可愛いケーキがアフタヌーンティースタンドに品よく乗せられて置かれている。
他にも南国風の果物が盛られた籠がある。
「人払いしてあるから、いるのは数人の使用人だけだよ。だから敬語とか堅苦しいのはなしで。タダの爺と孫のお茶会だから気楽にな」
「ありがとう、お祖父様」
「うん、ルーお爺ちゃん」
「・・・・・・おお、お爺ちゃん・・・・・・何か新鮮な響きだな」
席に着いた僕達にそう言うルラック公爵もといルーお爺ちゃん。
僕がそう言ったらほくほく顔でデレた。ナニコレ、ロザリンドみたくて可愛いんだけど。さすが祖父と孫。
お爺ちゃんって前に会った時優しそうだったから、あとで騎士団の総長って聞いて驚いたんだけど。
仕事中はもっと厳しい感じなのかな? あとでお仕事見学させて貰えるかな?
「ねえねえ、ロズ、こっちの騎士団の訓練とかって見学出来る?」
「うーん、一応他国の者には秘匿されていると思うが・・・・・・」
「そうだよねえ。簡単に防衛情報漏らしちゃ駄目だよね」
やっぱり無理かーって思ってたら、ルーお爺ちゃんがなんてことないように告げた。
「いや、お前達はウチの養子になるんだから構わんよ。そもそも両国は同盟国だし、訓練内容はさほど変わらんて」
「え、いいの!?」
「そもそもセイリュウに会う予定の魔剣士団長は城で会うことになってるし。ついでに見学するといい」
「え、やった!!」
今度はガッツポーズをとる僕。そんな僕を生暖かい目で見つめながらロザリンドがサンドイッチを手に取り、あーんしてきた。
「あーん・・・・・・うんまあ・・・・・・」
散々されてすっかり躾けられた僕は条件反射で口を開く。
そこにロズがタイミングよく口に入れてくれる。
「・・・・・・手慣れておるの」
「倒れる前からこうしてるからね」
「───んぐっ、あっ、いやこれは・・・・・・!」
カーッとなって慌てて言い募ろうとするが、それより早く再びのあーんによって口を閉じられ、結局そのまま紅茶を飲み、スコーンを食べさせられ、ケーキを食べる頃にはすっかり満腹になっていて色々と忘れた。
「ごちそうさま。とっても美味しかった」
「よかったな」
「じゃあ、明日は11時に王城に行くから、支度を頼むぞ」
満足げにそう言った僕にルーお爺ちゃんが明日の予定を教えてくれた。
おおう、忘れてたよ!
「お爺ちゃんも一緒だよね?」
「もちろん。孫達と一緒に登城なんてウキウキするのう!」
「えへへ、僕も楽しみ」
僕とルーお爺ちゃんのそんなほのぼのなやり取りを見ていたロザリンドはもちろん、邸の使用人達もほっこりしていた。
「あの公爵様が・・・・・・」
「デレていらっしゃる」
「話には聞いてましたけど、信じられないですよね」
などと皆に言われるくらいにはあまり笑わない人だったと知るのはもう少し後のこと・・・・・・。
※次回こそは魔剣士団長出したい!
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