優しい庭師の見る夢は

エウラ

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96 後始末が増えたんだが(sideアウトクラトル)

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今日、公爵で宰相のゼクスが、新たな問題を持ってきた。

いや、止めてくれよ。

「お前ね、この前の景緑国の事後処理で、未だにクッソ忙しいんだが!?」
「そうは言っても、イツキに関係することですので。景緑国の二番煎じですけど、イツキに気取られる前に片付けたいので」
『もちろん、僕達が極秘に動くから大丈夫! 陛下は国のトップとしての交渉事をお願いね!』
「……ノイン、それが一番面倒臭いんだよ」

ゼクスと一緒に登城してきたウサギのノンノン──ノインが、悪びれもせずにのたまった。止めろよ、一番厄介なヤツ押しつけんな。
いつの世も、尻拭いの負担が大きすぎる。

俺も暴れたいよー!

今回、ゼクスが持ってきた情報は、景緑国の隣に位置する小国のうちの一つ『桃源国』。
大層な名前に癖に、中身は違法奴隷商人が跋扈する劣悪な環境の国だ。あそこの周辺諸国はそういう国が多い。
腐っても国として或る存在だから、理由や証拠なく滅ぼすわけにもいかず、ウチを始め、まともな国は対応に苦慮しているのだが。

「で、ちゃんとした筋からの情報なんだな?」

渡された資料を捲りながらゼクスに確認すると、予想外の返答があった。

「ええ、精霊王様方からです。まあ、最初の情報提供者は『ファードラゴン』ですけど」
「……なんて?」
「ファードラゴンです」
「……」
「……」

思わず思考が停止する。それは側近のドレイクも同様だったらしい。
ファードラゴン……名前しか聞いたことないぞ。絶滅危惧種だったよな?
ドレイクと顔を見合わせて、首を傾げる。

「……百歩譲って、本当にファードラゴンだとしよう。だが、なぜファードラゴンから情報提供があるんだ?」
「それが、そのファードラゴンが、例の桃源国の奴隷商人に隷属の首輪を嵌められて、イツキ誘拐の手駒にされてるらしく」
「いやいや、なんで隷属の首輪を嵌められてんだよ! そもそも隷属されてて、どうやって精霊王様達に情報提供すんの? 出来んの? 出来ねーだろう、普通は!」

隷属の首輪で守秘義務が発生するし、他人との意思疎通も阻害されるよな。それでどうやって教えんだよ!?

「それが、そのファードラゴンは状態異常を無効化できるので効果がなく、面白がって隷属されたフリをしているそうで」
「はあ!? 状態異常無効なんて出来んの? 何なの、そのファードラゴン。まさか、もの凄い老竜でレベルカンストしてるとか」

それなら一応信じられるぞ。
しかしゼクスの言うことには……。

「まだ一〇歳ですって」
「……ああ、そう……。もうリアクションすんの馬鹿らしくなるわ。つまり、なんか凄く強そうな子供のファードラゴンの情報提供により、すでに桃源国を粛清する口実が出来ているということだな」
『ご名答ー!』

お気楽なノインの声に、肩の力が抜ける。

「……分かった。裏で動くことを許可する。事が済んだら、俺が向こうの国とやり取りするから、終わったら教えてくれ」
「畏まりました」
『まっかせてー! じゃあねー』
「ああ、サッサと行け」

そう言って、手でシッシッと追い払う。
嵐のように来て去って行き、静まり返った竜帝陛下の執務室。

「……本当だと思うか?」
「ファードラゴンの件ですか? まあ、嘘を言う理由はないですよね」

俺が眉唾な話をドレイクに問うと、真面目な顔で返事がきた。

「やっぱり? はあぁ……なんでこうもアイツら、後から後からトラブルを引き起こすんだろうな」
「仕方ないですよ。【管理者】でハイエルフで竜人の番いなんて、トラブルが起きない方がおかしいですから」
「だよな。──今回の件が片付いたらまた忙しくなるから、サッサと景緑国のヤツを終わらせるか。……俺も癒しが欲しい。番いが欲しい」
「珍しく切実ですね」
「忙しくて疲労が溜まるし、皆は番い見つけてラブラブだし。ちくしょー、羨ましい!」

文句を言いつつも手を動かして書類を捌く。
ドレイクも心得たように、どんどん書類を片付けていった。

そうして、ゼクス達から連絡が入るまで、黙々と執務を熟して二日。

「片付きました」
「いや早いな、お前ら!」
『イツキちゃんのためだもん!』

元々凄腕の宰相とノインだが、イツキが絡むとものすっごく早いんだな。

いや助かるけど。










※予定が入ってしまい、しばらく更新できないかも。このあと二話分は予約投稿してあるので、それ以降が難しくなります。
書けたら投稿なので、頻度は落ちます。お待ちいただけると嬉しいです。
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