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17 事件の顛末
しおりを挟む僕が救出されて、熱が下がる間に事件は解決していたようだ。
あれから一週間。
高い熱は二日ほどで下がったものの、その後微熱が続き、起き上がれるようになったのは救い出されてから五日目の事だった。
その後、大事を取って二日。
ベッドの住人と化した僕の元にはたくさんの冒険者さんがお見舞いに来てくれた。
特にギルマスとサブギルマス、僕が攫われる前まで見てくれていた職員さんが大泣きだった。
「ごめんなさい---! あの時キモいって言われてもついて行ってれば良かった・・・・・・!」
そういってわあわあと泣くもんだから、ちょっと笑っちゃった。
「気にしにゃいで? さすがにおトイレはいや、かにゃ?」
「うわああん! 本当によかった!」
ギルマス達も、もうちょっと落ち着いて?
そんなこんなで、リハビリも兼ねて、ヒョウガさんと冒険者ギルドにやって来ました。
着いてから下ろして貰ったんだけど。
もう、ヒョウガさん、すっかり過保護になっちゃって。
膝から下ろしてくれない。
「もう二度とあんな目に合わせないぞ」
「うん、ぼくももういやかにゃあ・・・ちゅらかっちゃの。かなちかっちゃの」
そういってヒョウガさんをぎゅぎゅっと抱き締めた。
「ところで、こにょひちょたちは、だれ?」
そう、リハビリと言っているが、どうやら用事があってここに来たらしい。
ギルマスの部屋になんか偉そうな人が集まっているんだもん。
「彼らは今回の事件の関係者だ。どういう経緯でああなったのか、結果、どうなったのかの報告の為にきて貰った」
そっか、確かに当事者と関係者には必要だよね。
そう思ってよく見れば・・・。
「・・・あ、あのときのおにいしゃんたちにゃ」
「あの時? 誰だ?」
僕の言葉にピクリと反応して睨むヒョウガさん。
あ、鋭い瞳は何時もの事なの?
僕の前では何時も優しいんだけどなあ。
「・・・は。第一警備隊第二小隊長のケネスと申します。サナ殿が閉じ込められていた小屋で接触しております」
「同じく第二小隊のマックスと申します」
二人とも緊張した面持ちだ。
うん。
今のヒョウガさん、怖そうだもんね。
ここは僕がフォローせねば!
「・・・へえ?」
「あにょね、ないちゃったけど、ハンカチで拭いてくれちゃのよ。やさしかっちゃの」
そう、二人とも始めから気遣ってくれて、泣き出した僕をオロオロしながら優しく接してくれたんだよ。
だから怒らないで。
「---そうか。まあ良い」
何となくサナの気持ちを察したらしいヒョウガが、やや不服そうだが引いてくれたようだ。
良かった。
場の空気がちょっと和らいだので、警備隊の隊長だというシップさんが説明を始めた。
それによると、僕が攫われる二週間ほど前に闇オークションが開かれる情報を得たらしい。
詳しく調べると、密かに噂になっていた『オッドアイの猫又の子』を攫って、目玉商品にするらしいと。
警備隊は領主主導の下、これを機に闇オークションを摘発しようと調査を始めたそうだ。
それで、噂の猫又の子の周りを張っていると、その子はよく冒険者ギルドにいて一人になりにくい事が分かった。
痺れを切らした闇オークションのヤツらが低ランクの金に困っている冒険者を金で買収して、ギルド内で一人になった隙に攫った。
その間、警備隊の人達は密かにサナの周りを張って、人攫いが動くのを静観していたそうで・・・。
ようは囮に使われた訳だ。
その結果がアレである。
そりゃあヒョウガさん怒るよね。
僕だってヒョウガさんが同じ目にあったら、相手をボコボコにしちゃうよ!
結果的にヒョウガさんが助けてくれたから良かったけど、普通の5歳児だったらトラウマもんだよ。
いや、精神年齢16歳の僕だって怖かったもん。
僕は思わず、むーっと頬を膨らまして怒りのポーズをとった。
「「「ぅぐっ!」」」
何故か皆、悶えた。
どーして?!
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