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5.告白
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オリバーは困っていた。
いつもはベンジャミンが睨みながら、監視してくる中での居心地の悪い往診だった。だが、今の状況は別の意味でそれ以上につらかった。
(どうして、こう、なった)
今現在、オリバーはふかふかのソファに押し倒されていた。そして、逃げられないようにエリックが、がっしりとオリバーの上に覆いかぶさっている。
今日は珍しく、ベンジャミンが不在の日だった。オリバーは内心ほっとしながら、いつものように冷静に治療を施し、何事もなく終えるはずだったのだ。
しかし、気が付いた時には、エリックに組み敷かれていた。
エリックは上半身裸のままで、先ほどからオリバーの顔や髪を、まるで愛おしいものに触れるかのように撫で続けている。オリバーはなす術もなくされるがままだ。
「なあ、エリック、放してくれよ、どうしちゃったんだよ!お前」
オリバーは手足をバタバタさせながら言った。
「……別にどうもしないよ。今まで我慢してきただけだ」
一段と低くなった硬い声でエリックがぼそりと言った。そして、オリバーの顎をつかむと、自分の方に向けさせる。
「ーーーーー君は僕の気持ちなんかとっくに気付いているくせに、無邪気に誘惑して煽ってくるんだ。いつだってそうだ!今日はベンジャミンがいないから、歯止めが効かない、もう気持ちを抑えられない!!」
エリックは、一気に巻し立てると、大きな声で叫んだ。瞳には、大粒の涙が溢れていた。
「君が好きなんだ!ずっと前から愛している!」
オリバーは驚愕に目を見開き、息を飲んだ。
その間にもエリックの片手が妖しく動き続け、ゆっくりと首筋、そして鎖骨を伝って、だんだんと下へ滑り落ちていく。
「ちょ、やめ、やっ、」
オリバーは身をよじって抵抗するが、エリックの体躯は重く、びくともしない。エリックの手は、オリバーの抗議をお構いなしにシャツの下へと入っていき、胸の頂を何度かかすめた。
「っ!」
変な声が出そうになり、オリバーは奥歯を噛み締め、何とかこらえた。羞恥と驚愕とわずかな快感が、ないまぜになり頭が真っ白になる。
「いや、ちょっと待てよ、お前、オレのこと好きなのか!?」
突如として放たれた、オリバーの率直な一言に、今度はエリックが動揺する番だった。彼は動きを止め、鳩が豆鉄砲を食らったような、間の抜けた表情をしていた。
「……気づいてなかったの?嘘……あれだけ僕、好きだって君に伝えていたのに」
言われてみれば、確かに何度か「好きだ」と言われた気がする。けれど、いつも冗談っぽい軽い口調だったので、まさか恋愛的な意味だとは思っていなかった。
(マジかよ!?)
めちゃくちゃ嬉しい。オリバーは頬が緩むのを止められなかった。
「オッ、オレも好きだ!お前のこと!」
エリックの顔がぱあっと明るくなった。
「だけど、俺達は医者と患者という関係だ。本来なら、付き合うことはできない」
今度はエリックは悲壮感あふれる顔になった。
「……けど、ひとつ条件を呑んでくれるなら、オレは今日からでもお前の恋人になる」
オリバーの言葉に、エリックの顔が再び明るくなった。
「本当!?どんな条件でも呑むよ!」
「なら、エリック。湖であったことを全て教えてほしい。お前の背中の火傷ーーーーー呪いも、それが原因なんだろ?」
その質問を聞いた瞬間、エリックの表情が固まった。そして彼はオリバーの上から退き、まるで打ちのめされたかのようにソファの端に座り込む。
「……それが、君の条件……」
エリックはしばらく真剣に考え込んでいた。やがて覚悟を決めたらしく、沈黙を破った。
「……分かったよ。話す。湖でのことを。あの事故は……あれは、湖で、ある男が僕を殺そうとしたことが発端だった。
男は、僕の母に雇われた呪詛使いだった」
さっきまでとは打って変わって落ち着いた口調で、エリックはゆっくりと語りだした。
いつもはベンジャミンが睨みながら、監視してくる中での居心地の悪い往診だった。だが、今の状況は別の意味でそれ以上につらかった。
(どうして、こう、なった)
今現在、オリバーはふかふかのソファに押し倒されていた。そして、逃げられないようにエリックが、がっしりとオリバーの上に覆いかぶさっている。
今日は珍しく、ベンジャミンが不在の日だった。オリバーは内心ほっとしながら、いつものように冷静に治療を施し、何事もなく終えるはずだったのだ。
しかし、気が付いた時には、エリックに組み敷かれていた。
エリックは上半身裸のままで、先ほどからオリバーの顔や髪を、まるで愛おしいものに触れるかのように撫で続けている。オリバーはなす術もなくされるがままだ。
「なあ、エリック、放してくれよ、どうしちゃったんだよ!お前」
オリバーは手足をバタバタさせながら言った。
「……別にどうもしないよ。今まで我慢してきただけだ」
一段と低くなった硬い声でエリックがぼそりと言った。そして、オリバーの顎をつかむと、自分の方に向けさせる。
「ーーーーー君は僕の気持ちなんかとっくに気付いているくせに、無邪気に誘惑して煽ってくるんだ。いつだってそうだ!今日はベンジャミンがいないから、歯止めが効かない、もう気持ちを抑えられない!!」
エリックは、一気に巻し立てると、大きな声で叫んだ。瞳には、大粒の涙が溢れていた。
「君が好きなんだ!ずっと前から愛している!」
オリバーは驚愕に目を見開き、息を飲んだ。
その間にもエリックの片手が妖しく動き続け、ゆっくりと首筋、そして鎖骨を伝って、だんだんと下へ滑り落ちていく。
「ちょ、やめ、やっ、」
オリバーは身をよじって抵抗するが、エリックの体躯は重く、びくともしない。エリックの手は、オリバーの抗議をお構いなしにシャツの下へと入っていき、胸の頂を何度かかすめた。
「っ!」
変な声が出そうになり、オリバーは奥歯を噛み締め、何とかこらえた。羞恥と驚愕とわずかな快感が、ないまぜになり頭が真っ白になる。
「いや、ちょっと待てよ、お前、オレのこと好きなのか!?」
突如として放たれた、オリバーの率直な一言に、今度はエリックが動揺する番だった。彼は動きを止め、鳩が豆鉄砲を食らったような、間の抜けた表情をしていた。
「……気づいてなかったの?嘘……あれだけ僕、好きだって君に伝えていたのに」
言われてみれば、確かに何度か「好きだ」と言われた気がする。けれど、いつも冗談っぽい軽い口調だったので、まさか恋愛的な意味だとは思っていなかった。
(マジかよ!?)
めちゃくちゃ嬉しい。オリバーは頬が緩むのを止められなかった。
「オッ、オレも好きだ!お前のこと!」
エリックの顔がぱあっと明るくなった。
「だけど、俺達は医者と患者という関係だ。本来なら、付き合うことはできない」
今度はエリックは悲壮感あふれる顔になった。
「……けど、ひとつ条件を呑んでくれるなら、オレは今日からでもお前の恋人になる」
オリバーの言葉に、エリックの顔が再び明るくなった。
「本当!?どんな条件でも呑むよ!」
「なら、エリック。湖であったことを全て教えてほしい。お前の背中の火傷ーーーーー呪いも、それが原因なんだろ?」
その質問を聞いた瞬間、エリックの表情が固まった。そして彼はオリバーの上から退き、まるで打ちのめされたかのようにソファの端に座り込む。
「……それが、君の条件……」
エリックはしばらく真剣に考え込んでいた。やがて覚悟を決めたらしく、沈黙を破った。
「……分かったよ。話す。湖でのことを。あの事故は……あれは、湖で、ある男が僕を殺そうとしたことが発端だった。
男は、僕の母に雇われた呪詛使いだった」
さっきまでとは打って変わって落ち着いた口調で、エリックはゆっくりと語りだした。
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