【完結】悪役令嬢のカウンセラー

みねバイヤーン

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57.エミリア様

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 ようこそいらっしゃいませ、エミリア様。わたくしがエリザベートですわ。

 はい、焼きおにぎりとお味噌汁ですね。かしこまりました。


 え? 不殺の誓いを立てている。え? 乙女ゲームの世界ですよね? 誓い立てなくても大丈夫なのでは? ええっ、公爵家の裏家業が暗殺? なんてハードボイルドな世界観……。


 え、あのー、ご令嬢ですから暗殺業とは一線を引かれればよいのでは? 跡継ぎでいる以上、関わらないわけにはいかぬ……。なんと。え、もう実戦に出ている? ええー。え、えええー、不殺とか言ってる場合ではないのでは? やらなきゃやられるんですよね?


 はぁ、吹き矢で麻痺させ、縛り上げて依頼主に届けている……。あれ、依頼主のところでやられているのでは? あぁ、エミリア様が手をかけた訳じゃないからオッケーと、なるほど。なんか、割とユルい……?


 あのー、ちなみにどういった依頼があるのですか? ははぁ、王家から他国の間諜を始末せよと……王家より強大な力を得んとする教会の司教が目障りだ……他国の好戦的な軍幹部をなんとかしろ……。王家にこき使われてますわねぇ……。え、最近は第一王子より人気の侯爵家子息を骨抜きにしろという依頼も? あれ、ハニートラップもやる感じですか? あぁ、エミリア様はやらないと、色事専門の部下がいらっしゃるのですねぇ。


 まぁ、なんだかうまくいってるみたいで、おめでとうございます、でいいのかしら? え? 不殺の誓いを守るにはどうしたらいいか? あぁ、なるほど、そこに戻った。


 あの、不殺の誓いを立てている理由は何かございまして? まぁ、夜眠れなくなって、ごはんが美味しく食べれなくなったらイヤ? あ、そんな、なんというか、ふわっとした感じでございますのねぇ。えぇ、はい、理解。


 ええっと、確認ですが、エミリア様が不殺であればいいのですわよね? エミリア様が重傷を負わす、そのあとに部下がとどめを刺すのはありですか? ありですね、はい、分かりましたー。


 では、こういたしましょう。エミリア様は絶対に、何があろうと、単独行動禁止ですわ。よろしいですか、常に部下をそばにつけてください。そして、部下にも吹き矢を持たせてくださいね。えぇ、麻痺毒だけではなく、致死毒の針も使わせるのです。もしも、万一、不測の事態が起こった場合……そう、麻痺毒なのに当たりどころが悪くてアレしそうなとき……部下に聞いてください。



 お前さんが使ったのは麻痺の毒かい、致死の毒かい?




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