【完結】悪役令嬢のカウンセラー

みねバイヤーン

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71.ヘンドリック(外務大臣の子息)

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 やあ、子猫ちゃんたち、ご機嫌はいかがかな? ん? 僕はヘンドリック、ヘン様でも、ヘーン様でもいいよ。好きなように呼んでくれたまえ。え? フフフフ、王子様~? それはイケナイな、だって僕はしがない外務大臣の息子だからネ。


 ん、なんだい? 明日の舞踏会? もちろん参加するよ。君はどんなドレスを着るんだい? 瞳の色に合わせた若草色のオーガンジードレスだって? フフ、早春の風のような君にふさわしいね。風にのって近づく羽虫に気をつけるんだよ。

 
 あぁ、僕は舞踏会はいつも姉をエスコートするのさ。そうさ、特定の誰かを選ぶと、子猫ちゃんたちが泣いてしまうだろう? 僕はみんなのヘンドリックだからね。でもダンスはいつだって大歓迎さ。君の白い頬を朝日が染めるまで一緒に踊ろう。


「ヘンドリック様、ニヤニヤされているところを申し訳ありませんが……。少しご相談したいことがありまして、お時間いただけませんか?」

「おや、クリフ君ではないか。フフフ、恥ずかしいところを見られてしまったね。子猫ちゃんたちからの誘いを、どうかわそうか検討していたのさ」

「殿下の婚約者候補に他国の姫はいかがかと思いまして。婚約を機に関係を強化するとしたらどこの国がよいか、助言をいただきたいのです」

「おやおやおや、クリフ君ともあろう者がなんてトンマな発言だい? 未練たらしい主の姿に同情して、目が曇ったのかい? 殿下と他国の姫を婚約させるなんてもってのほかだ。外交の火種になるよ」

「…………」

「エリザベート様の名は他国まで知れ渡っている。己より身分の低い公爵家令嬢に、人気で負けると分かっていて、それでもノコノコやってくる姫がいると思うかい? 仮にいたとして、そんな判断をする国と外交を強化する意味もないしね」

「…………」

「君も分かっているはずだ。殿下の妃は聖女リリアンヌ様一択さ。考えてもみたまえ。エリザベート様が断った殿下に、嫁ぎたいという酔狂な人がいると思うのかい? エリザベート様の代用品としてしか見られない人生、まともな神経なら耐えられないさ。その点、聖女はいい。エリザベート様のためになると聞けば、嬉々として代役を演じるだろう」

「…………」

「さあ、そうと決まればパフィリア様のところへ行きたまえ。外堀を埋めるには彼女の力が必要だ」



 まったく、忠義者は難儀だねぇ。無理筋と分かっていながら、主の幸せのためにあがくんだねぇ。まぁ、そういうの、嫌いじゃないけど。フフフ。



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