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【第三章】おいしいお菓子を食べたいな
20. 新たな決意
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クリスティーネ・フェルデ伯爵令嬢は、サブリナをうっとり眺めている。
なんておもしろいお嬢様なのかしら。愛らしくておもしろい。理想の女性像ですわ。ああ、どうか。お友達になってくださいませ。我が家を救ってくださった、女神様。
クリスティーネはおずおずとサブリナの隣の席に座った。
サブリナさんって、見れば見るほどかわいらしいですわ。サブリナさんが考案して仕立て直してくださったおばあさまのドレス。きっとサブリナさんも似合うわ。わたくしとお揃いで着てくださったら、大評判になるわ。同じ型で色違い。ふたりで着たら五倍ぐらい売れそうです。わたくしと共に、服飾店の広告塔になってくださると嬉しいのですが。でも、お忙しいですもの、無理ですわよね。
クリスティーネはため息を吐き、小鳥のように小さく震えた。
同い年ですのに、どうしてこれほど才能豊かなのでしょう。不思議でなりません。お母さまに、決して失礼のないようにって何度も言われましたが。もちろんですわ。我が家の恩人ですもの、何千回お礼を言っても足りないぐらいですわ。あら、直接お礼を申し上げたこと、一度もなかったですわ。まずいですわ。早速申し上げましょう。
「サブリナさん、我が家を救ってくださり、ありがとうございます。フェルデ伯爵家一同、心から感謝しております」
「なななな、なんのことかしら。あれは、あれやこれやは全て、アッフェン男爵がされたことです。アタシはなにひとつ知りませんわ」
頬を髪と同じようなピンク色に染めて、慌てていらっしゃいます。わたくし、やらかしてしまいましたでしょうか。目立ちたくない、謙虚なお人なのですね。クリスティーネ・フェルデ、一生の不覚ですわ。
クリスティーネが自己嫌悪に陥っていると、先生が入って来た。
「本日は刺繍です。ご自由に好きなものを刺繍してみてください」
好きなものですか、何にしましょうか。好きなものと言えば、やっぱり、服飾店の看板の──。
「できました」
ほぼ同時に、四人全員が刺繍を終えた。四人はそれぞれの刺繍を見て、一瞬目を見開き、わっと笑い出す。鉄仮面先生も上品に笑った。
「クリスティーネ様がウマとサルの紋章。ロザムンド様がヘビとサル。ミシェル様がトラとサル」
「アタシはヘビとトラとウマとサルですわ」
「サブリナさんのサルはおもしろい恰好をしていらっしゃいますね。どういう意味がございますの?」
サブリナのハンカチの中ほどに、サルが三つ刺繍されていて、サルの外側にウマ、ヘビ、トラが配置されているのだけれど。サルが、手で目をふさぎ、耳を押さえ、口を覆っている。
「これは、見ザル、言わザル、聞かザルを意味するのです。アッフェン男爵家もアタシも、秘密を決して漏らしません。そういう決意です」
「そうなんですね。サブリナさんの気持ち、よくわかりました。わたくしも、フェルデ伯爵家も、サブリナさんとアッフェン男爵家の秘密を決して口外などいたしませんわ」
クリスティーネは手を胸に当てて、厳粛に誓った。
「わたくしもパイソン公爵家も同じく、誓いますわ」
「もちろん、私もティガーン子爵家も右に倣い、誓います」
四人は胸に手を置いた。
「素晴らしい絆です。ではわたくしも誓いましょう。わたくし並びにウォルフハート王家一族はここにいる皆さんと、皆さんの一族の秘密を守りましょう」
先生が言うと、みんなポトリとハンカチを落とす。
「えっ、先生って王家の人なんですか?」
「ええ、まあ、そのようなものです。ホホホ」
「えええー」
少女たち全員が声を上げた。
***
「どうしてみんなあんなに優しいんだろう」
休憩時間、庭園を歩きながら不思議に思った。未来の三人は、アタシを大嫌いだった。同じ轍を踏まないよう、敵対しないよう、注意深く生きてきた。それにしても、だからといって、好かれるはずがないのに。おかしい。王子ふたりといい、なにがなんだか意味がわからない。
ふと見ると、木の下に誰かが座っている。王子だったら即座に逃げよう。目を凝らすと、違った。
「ジョーさん」
本から顔を上げたジョーさんが、ネイトとこっちを見る。黒髪に黒目で黒ぶちメガネのジョーさん。安心安全の色。カラフルな髪と瞳を持つ令嬢たちに囲まれていたから、ジョーさんを見るとホッとする。目が休まる感じがする。
「サブリナがそろそろ疲れる頃だと思って、差し入れを持ってきた」
ジョーさんが紙袋から取り出したのは──。
「クッキー!」
「甘いぞー」
ジョーさんと一緒に木の下に座ってクッキーをかじる。サクッとして、しっかり甘い。上にのった香ばしいナッツも楽しい。クッキーを味わいながら、ジョーさんに王子妃教育のことを話す。
「ジョーさん、どうしてみんなあんなに優しいんだろう? 夢で見た未来では、みんなアタシのこと嫌ってたのに」
「そうだなー。今まで聞いた話を総合すると、夢で見たサブリナは、孤児院で世間知らずに育って、十四歳ぐらいで美少女ぶりが評判になって貴族の養子になったんだろう。貴族社会の常識を知らないから、学園で平民ぽさを全開にしたと」
ジョーさんたら、アタシがチラッと言ったことをよく覚えている。
「貴族がほとんどの学園で、平民らしい飾らない態度のサブリナは注目の的になる。貴族令息には無邪気で愛らしい少女に、貴族令嬢には無礼で秩序を乱す無法者に、そう見えただろう。貴族令息からはチヤホヤされ、貴族令嬢からはイジメられる。無理もない話だ」
「そっか、そうだね」
「でも、今のサブリナは、貴族が、大人が思わず頭を下げたくなるほどの働きぶりだろう。小さい子が、身を粉にして働いている。かわいさを武器にせず、みんなが嫌がる仕事を率先してやっている。そんなサブリナを嫌いになるわけがないじゃないか。君はよくがんばってるよ」
「そっか。そうなんだ」
ジョーさんに言われると、素直に信じられる。アタシ、間違ってなかったよね。
「君より先に大人になった俺からのアドバイス。聞いてくれるかな?」
「うん、聞きたい」
「未来のことはちょっと忘れて、今そこにいる令嬢たちを見てみたら? 怖がらずに、友だちになってみればいい。過去にも、未来にもとらわれすぎず、今を生きるんだ、サブリナ」
過去にも、未来にもとらわれすぎず、今を生きる。できるかな。今のロザムンド様、ミシェル様、クリスティーネ様を見る。心を、開く。
「やってみようかな」
「ああ、やってみなよ。もしそれで傷つくことがあったら、俺がクッキーを持ってくるし、ネイトがなめてくれる」
ネイトが、任せろと言わんばかりに、アタシの手をなめた。
「クッキー、まだたくさん入ってるから、みんなで食べたら?」
「うん、そうする。ジョーさん、いつもありがと」
「どういたしまして」
クッキーの入った紙袋を持って、アタシはゆっくり歩きだした。今を楽しむために。
なんておもしろいお嬢様なのかしら。愛らしくておもしろい。理想の女性像ですわ。ああ、どうか。お友達になってくださいませ。我が家を救ってくださった、女神様。
クリスティーネはおずおずとサブリナの隣の席に座った。
サブリナさんって、見れば見るほどかわいらしいですわ。サブリナさんが考案して仕立て直してくださったおばあさまのドレス。きっとサブリナさんも似合うわ。わたくしとお揃いで着てくださったら、大評判になるわ。同じ型で色違い。ふたりで着たら五倍ぐらい売れそうです。わたくしと共に、服飾店の広告塔になってくださると嬉しいのですが。でも、お忙しいですもの、無理ですわよね。
クリスティーネはため息を吐き、小鳥のように小さく震えた。
同い年ですのに、どうしてこれほど才能豊かなのでしょう。不思議でなりません。お母さまに、決して失礼のないようにって何度も言われましたが。もちろんですわ。我が家の恩人ですもの、何千回お礼を言っても足りないぐらいですわ。あら、直接お礼を申し上げたこと、一度もなかったですわ。まずいですわ。早速申し上げましょう。
「サブリナさん、我が家を救ってくださり、ありがとうございます。フェルデ伯爵家一同、心から感謝しております」
「なななな、なんのことかしら。あれは、あれやこれやは全て、アッフェン男爵がされたことです。アタシはなにひとつ知りませんわ」
頬を髪と同じようなピンク色に染めて、慌てていらっしゃいます。わたくし、やらかしてしまいましたでしょうか。目立ちたくない、謙虚なお人なのですね。クリスティーネ・フェルデ、一生の不覚ですわ。
クリスティーネが自己嫌悪に陥っていると、先生が入って来た。
「本日は刺繍です。ご自由に好きなものを刺繍してみてください」
好きなものですか、何にしましょうか。好きなものと言えば、やっぱり、服飾店の看板の──。
「できました」
ほぼ同時に、四人全員が刺繍を終えた。四人はそれぞれの刺繍を見て、一瞬目を見開き、わっと笑い出す。鉄仮面先生も上品に笑った。
「クリスティーネ様がウマとサルの紋章。ロザムンド様がヘビとサル。ミシェル様がトラとサル」
「アタシはヘビとトラとウマとサルですわ」
「サブリナさんのサルはおもしろい恰好をしていらっしゃいますね。どういう意味がございますの?」
サブリナのハンカチの中ほどに、サルが三つ刺繍されていて、サルの外側にウマ、ヘビ、トラが配置されているのだけれど。サルが、手で目をふさぎ、耳を押さえ、口を覆っている。
「これは、見ザル、言わザル、聞かザルを意味するのです。アッフェン男爵家もアタシも、秘密を決して漏らしません。そういう決意です」
「そうなんですね。サブリナさんの気持ち、よくわかりました。わたくしも、フェルデ伯爵家も、サブリナさんとアッフェン男爵家の秘密を決して口外などいたしませんわ」
クリスティーネは手を胸に当てて、厳粛に誓った。
「わたくしもパイソン公爵家も同じく、誓いますわ」
「もちろん、私もティガーン子爵家も右に倣い、誓います」
四人は胸に手を置いた。
「素晴らしい絆です。ではわたくしも誓いましょう。わたくし並びにウォルフハート王家一族はここにいる皆さんと、皆さんの一族の秘密を守りましょう」
先生が言うと、みんなポトリとハンカチを落とす。
「えっ、先生って王家の人なんですか?」
「ええ、まあ、そのようなものです。ホホホ」
「えええー」
少女たち全員が声を上げた。
***
「どうしてみんなあんなに優しいんだろう」
休憩時間、庭園を歩きながら不思議に思った。未来の三人は、アタシを大嫌いだった。同じ轍を踏まないよう、敵対しないよう、注意深く生きてきた。それにしても、だからといって、好かれるはずがないのに。おかしい。王子ふたりといい、なにがなんだか意味がわからない。
ふと見ると、木の下に誰かが座っている。王子だったら即座に逃げよう。目を凝らすと、違った。
「ジョーさん」
本から顔を上げたジョーさんが、ネイトとこっちを見る。黒髪に黒目で黒ぶちメガネのジョーさん。安心安全の色。カラフルな髪と瞳を持つ令嬢たちに囲まれていたから、ジョーさんを見るとホッとする。目が休まる感じがする。
「サブリナがそろそろ疲れる頃だと思って、差し入れを持ってきた」
ジョーさんが紙袋から取り出したのは──。
「クッキー!」
「甘いぞー」
ジョーさんと一緒に木の下に座ってクッキーをかじる。サクッとして、しっかり甘い。上にのった香ばしいナッツも楽しい。クッキーを味わいながら、ジョーさんに王子妃教育のことを話す。
「ジョーさん、どうしてみんなあんなに優しいんだろう? 夢で見た未来では、みんなアタシのこと嫌ってたのに」
「そうだなー。今まで聞いた話を総合すると、夢で見たサブリナは、孤児院で世間知らずに育って、十四歳ぐらいで美少女ぶりが評判になって貴族の養子になったんだろう。貴族社会の常識を知らないから、学園で平民ぽさを全開にしたと」
ジョーさんたら、アタシがチラッと言ったことをよく覚えている。
「貴族がほとんどの学園で、平民らしい飾らない態度のサブリナは注目の的になる。貴族令息には無邪気で愛らしい少女に、貴族令嬢には無礼で秩序を乱す無法者に、そう見えただろう。貴族令息からはチヤホヤされ、貴族令嬢からはイジメられる。無理もない話だ」
「そっか、そうだね」
「でも、今のサブリナは、貴族が、大人が思わず頭を下げたくなるほどの働きぶりだろう。小さい子が、身を粉にして働いている。かわいさを武器にせず、みんなが嫌がる仕事を率先してやっている。そんなサブリナを嫌いになるわけがないじゃないか。君はよくがんばってるよ」
「そっか。そうなんだ」
ジョーさんに言われると、素直に信じられる。アタシ、間違ってなかったよね。
「君より先に大人になった俺からのアドバイス。聞いてくれるかな?」
「うん、聞きたい」
「未来のことはちょっと忘れて、今そこにいる令嬢たちを見てみたら? 怖がらずに、友だちになってみればいい。過去にも、未来にもとらわれすぎず、今を生きるんだ、サブリナ」
過去にも、未来にもとらわれすぎず、今を生きる。できるかな。今のロザムンド様、ミシェル様、クリスティーネ様を見る。心を、開く。
「やってみようかな」
「ああ、やってみなよ。もしそれで傷つくことがあったら、俺がクッキーを持ってくるし、ネイトがなめてくれる」
ネイトが、任せろと言わんばかりに、アタシの手をなめた。
「クッキー、まだたくさん入ってるから、みんなで食べたら?」
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