【コミカライズ企画進行中】ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!

あきのみどり

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 そんなふうに、少しだけ暗い気持ちになって──いたら。

「──ん?」

 いつの間にか自分に影が落ちていた。視線を上げると目の前に、こちらを覗き込むような青紫の瞳が間近にあった。
 グステルは盛大にギョッと目を瞠る。と、その紫陽花のような瞳の持ち主は、心配そうに言った。

「大丈夫ですか? どうかなさいましたか?」
「……ち……近いです、お坊ちゃま…………」

 思い切りのいいパーソナルスペースへの食い込み……。
 咄嗟に驚いてしまったグステルではあったが、しかし、そこは年の功。
 なんとか慌てず突っ込むと、ヘルムートは「おや、すみませんつい……」と一歩後ろに下がる。

「急に黙り込んでしまわれたので、どうなさったのかと……」
「あ──ああ……」

 どうやら案じてくれていたらしいとわかって。グステルは、大丈夫ですと彼を見上げる。

「すみません、ちょっと……考え事をしていました……」

 そう言って苦笑すると、青年はホッとしたように優しい目になった。

「そうですか、よかった。……それで……話し合いとは何についてでしょう?」
「……」

 その問いかけに、グステルは一瞬言葉が出なかった。
 驚かされたせいか、咄嗟に言おうと思っていたことを忘れてしまっていた。
 心臓が、やけに大きな音を立てている。先ほど美しいビーズを見せられた時よりもはるかに激しく鳴る音に、グステルは困惑する。

(……、……、これはまさか……、……不整脈……⁉︎)

 恋より先に──健康不安が先立つ悲しいお年頃(※十九歳+前世年齢)、転生者グステル。
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