魔王の後継者は幼馴染と人間として学園生活を楽しむ

SAKURA

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本編

魔王の娘は学園に通いたい

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「学園に行ってみたいです!」

「え……?」

ことの発端は数時間前……

「あ!姫様!」
「こんにちは!魔王様!」
「今日も……たくさん……とれた」
「ご苦労様です。エルさん」
「ルティアーナ様の……為……なら……いくらでも」
「ふふっありがとうございます」
彼女はエルさん。アルラウネの女の子です。
主に農業をしてくれています。
そして私を慕ってくれています。
というか……国民の皆さんに慕われすぎな気もしますが……。
私が治めている国『エルドナイト王国』は、人外といわれる、エルフや獣人、魔族や魔物と言ったさまざまな種族と人間がお互い助け合い、共存している国です。
主に国を追われた心優しい難民や人外達がここにやって来て仲良く暮らしています。
なぜ心優しいか分かるかって?それは私がこの国の回りに張っている結界の影響です。
私の先祖が生み出し、この国をおおっている結界の仕組みが、心が清いものしか通り抜けられないようになっているものだからです。
もし、悪しきものがこの国に入ろうとすると、ここからかなり離れたところへ飛ばされてしまいます。
私はお父様の代わりにこの国の『王』となり毎日この結界維持のために魔力を注ぎながら、お仕事を頑張っています。
今日は国の見回りをしているところです。
「なにか困っていることはあったりしますか?」
「特に……ない……。でも………欲を言うなら………もう少しだけ植物を………元気にしたい………」
「植物を元気に……ですか………分かりました!」
(やっぱりここはあの方にお聞きするのが一番ですよね!)



「ガルシア叔父様ー!!」
「おや、ルナ様じゃないか」
「お久しぶりです。ガルシア叔父様」
彼は『ガルシア・フレイン』
ナツメのお父様です。
彼のお父様……つまりナツメのお祖父様は召喚者の為、たまにガルシアお祖父様が受け継いだそちらの世界の知恵をお借りしているのです。
この国が豊かに平和に暮らせているのはガルシア叔父様のお父様がいたという世界の知恵がこの国にあるお陰といっても過言ではありません。
「ガルシア叔父様!植物を元気にする方法はございませんか!?」
「植物を元気に………か。よしわかった。そこに連れていってくれるかい?」
「はい!」



「なるほど………これはこちらの野菜と似ていることだし………うん。なんとかなるよ」
「本当………?」
「あぁ!腐葉土を使おう!」
「「ふようど?」」
「腐葉土っていうのは森に落ちてる枯れ葉やそれが落ちている場所の土のことだ。それは植物を元気にするための肥料になるんだ」
「さすがガルシア叔父様です!物知りですね!」
「こんなもんでよかったらいくらでも教えてやるよ!ルナ様の親父さんには借りもあるしな」
「ありがとうございます!早速取りに行きましょう!」
「おっと、それは姫さんがやることじゃねえぞ?これは俺達国民に任せてそろそろ他のところにも行ってやれ。みんな姫様が大好きだからな。きっと会いたがってるぞ。それに、あんまりここにいるとあいつが来そうだしな」
「あ、それは嫌です」
「はっははは!全く、わが息子も嫌われたもんだなぁ!はっはっは!ざまぁみろ!」
「母さんの尻に敷かれてる親父に言われたくねえよ」
「お!?ナツメか!なんだよ驚かせるんじゃねえよ」
「散々息子を罵ってた癖に……あぁそういやさっき母さんが呼んでたぞ」
「げっ!?マジか!あいつは怒ると怖いからなぁ………」
「あ………あの………肥料………」
「あ………そうだった………。あ、じゃあ後でメモに書いて渡すよ!」
「………私………字……読めない」
「あ……あぁそうか……お前、魔物だもんな。字なんて分かるわけないか……。あ、差別してるわけじゃないからな!?」
「大丈夫……分かってる……ここにいる人がそういう人たちじゃないことくらい……」
「でも、この国には字が読めない方々の方が多いですよね……ふむ………」
(どうしましょうか………皆が字を学ぶことができれば………そうです!)
「いいことを思い付きました!そうときまったら………申し訳ありませんが、今日はこれで失礼します!今すぐやることができたので!それでは!」
『テレポート』


そう唱えて、ルティアーナの姿は消えたのだった………。
「嵐のように去っていったなぁ………ん?どこにいくんだ?ナツメ」
「なんか嫌な予感がするから行ってくる」
「相変わらずお前は姫さんが大好きだなぁ」
「うるせっ」
「どうした~?照れてんのかよ~まったく可愛いやつめ!でも分かるぞ!父さんもな母さんと結婚するまでは………」
「親父の母さんとのなれそめ話はもう聞きあきたよ」
「そんな冷たいこと言うなよ~」
と、嘆く父親を華麗にスルーし、ナツメはエルドナイト城へと向かうのだった………。


そして、今に至る。
「学園に行きたい………とはいきなりどうなさったんですか?姫様」
「ここに学舎をたてようと思ったので、まずは実際に私が人間さんの学園に行って、体験してみるのがいいと思って!」
「姫様は単純に人間の通う学園に行ってみたいだけでしょう?」
「うっ………だ…だってぇ…………」
「だって…………なんですか?」
「だって人間の女の子のお友達が欲しいんだもの!」

「…………それだけですか?」
「まぁ学園を建てるための視察って言うのももちろんあるけど、一番はそれね。だって今まで一度も国外に出たことないのよ!?城に引きこもってるのよ!?お友達と青春したいじゃない!女友達とキャッキャウフフしたいじゃない!ただでさえナツメのせいで…………」
(ナツメ様は独占欲がお強いものね…………)
と、アルラは心のなかで苦笑する。

「とにかく!私はそのためにも国外の人間の学園に行くわ!!」

ドドーン!とルティアーナは宣言する。

「ですが、仕事はどうなさるんです?」
「ドラちゃん達に頼めば、ここと学園の往復くらい楽勝よ!」
ドラちゃんとはルティアーナの従魔の内の一種類…………ドラゴン達のことである。
「…………そうでしたね……ですが、もしかしたら姫様が魔王として人間に襲われる可能性もございますよ?」
「あのねぇ……あんまり見くびらないでくれる?これでも私はこの国の王で魔王の娘なのよ?そんじゃそこらの人間なんかに負けるわけないじゃない。少なくとも自衛できる以上の力は持ち合わせてるわよ?」
「クッ…………」
(…………反論ができない!!)
「で……ですがもし姫様が他の男性とお付き合いなんてこと……」
(いえ、これはあり得ませんね)
「何?男性がどうしたの?」
「いえ……なんでもありません」
「ふふん……じゃあもう文句はないかしら?」
「……っいえまだですわ!姫様!」
「あらそう?今度は何かしら」
と、ルティアーナはいたずらっ子のような楽しそうな笑みを浮かべる。
「人間の国が魔王の娘である姫様の入学を認めない可能性だってあります!」
「あら?そこは問題ないわ」
「……どうしてですか…………?」
「珍しい品々で溢れてる我が国との貿易でも取り付ければ簡単に受理すると思うわよ?」
と、ルティアーナは不適な笑みを浮かべた。
ルティアーナが治める国、エルドナイト王国は、先祖が残した異世界の知識に加え、ナツメの父が持つ最新の知識によって更なる発展をとげているため、他国よりもかなり文明が進んでいる。
また、その知識をしろうにも国全体を覆う結界によって入国ができないため、不可能なのだ。
だからエルドナイト王国の文明や土地は誰もが欲しがっているものなのだ。
「さて、これでもう反論はないわね?私は明日にでもこの件を向こうに取り付けに行くから」
「……分かり……ました…………」
アルラはただ頷くしかできないのだった…………。
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