極度の男性恐怖症悪役令嬢は配役変更を希望します!

SAKURA

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第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する

第三話 この子の家族

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「……ユリア!!」

バンッと大きく開け放たれた扉。
響いた男性特有の低い声
その声にさえ、体が恐怖を覚えて仕方がない。
自然と体が震えてしまう。

「って………いない?」

私が今いるのはベッドの裏側の壁の隅。
そう簡単にこの子の家族がいる位置から見えることはない………はず。

「きゃっ!」

何が起きて………!?
気づいたら体がふわりと浮いていた。

………ん?
浮いていた………UITEITA………!?
え?え?ちょっと待って。
なんで人間の身体が浮くの!?
五才の子供の体を浮かせるなんてありえないよね!?普通。
なにも手を加えられてないのに。
いったいどうなってるのこの世界は!
原理もなにもわからない。
ただ、抗うこともできず私の身体はすんなりと不思議な力に導かれ、この子の父親と思わしき男性の腕に落ちた。

「ひっ……」
「どうしたんだい?まだ調子が悪いのかい?」

この子と同じ青白く輝く銀色の髪と、ガラス色の瞳。
その瞳は優しいのに、あの人とは違う。
そんなの分かってる。
でもこの人が“男性”だと言うだけであの頃の光景がフラッシュバックして、心が恐怖に染まってしまう。
痛い、苦しい。拒絶と恐怖。忘れたいのに忘れさせてくれない思い。

「や………は……はなして……」

自分でも思った以上に小さな声だった。
抵抗したくても、身体が石のように固まって動かせない。
だって、私が一番怖いのはあの人と同じ存在だから。
この人には悪いけど、私は……この人が怖くてたまらない。
涙が溢れて止まらない。
恐怖が私の身体を支配して離さない。

「!?す、すまない!怖かったかい!?でも、私も早くユリアの顔を見たくてだね!?」
(怖い……怖いよぉ……)
「……おかあさん」
「あぁ、お母様がいいんだね!?わ、わかった。一緒にいこう!」
違う………。私が会いたいのはこの子の“お母さん”じゃない。
そう言いたいのに、言葉は出てくれなかった。
ここにいる母は私のお母さんじゃない。
それが、私にここがあの頃と違うことをさらにつきつけた。
早く下ろしてくれないかな………。
私はどうなるんだろう。どこへ連れていかれるんだろう。
この子の家族で、私にとっては他人も同然だというのに………。
だんだんと意識がぼんやりと霞んでくる。
そろそろダメかもと思ったその時………

「旦那様、お嬢様が目覚めて気持ちがはやるのは分かりますが、お嬢様は目覚めたばかりです。今は安静にして差し上げるのが最善かと」

「うっ……そ、そうだな。すまないセバス。ユリアもごめんよ」

そういって、この人をとめてくれたのは、見事なシルバーヘアのおじいさん

た、助かった……。

セバスさん………ですね。覚えておかなければ。
怖くないと言えば、嘘になるけどこの人よりは断然マシだ。

「さぁ、あとは侍女達に任せてそろそろいきますよ。まだ仕事が残っているんですから」
「わ、わかってる!ごめんなユリア。仕事が片付いたらすぐに来るからな」
「いや、もう来なくていいです」

という言葉は飲み込んで、私はとりあえずうなずいておいた。
そのようすに満足したのか、やっとあの人は私をおろし退室した。

「ふぅ……」
(やっと解放された……)

その様子にほっとして、緊張の糸が緩んだせいか、身体がどんどん重くなって……

「お嬢様っ!?」

私の意識は一気に沈んでいった。
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