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第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する
第四話 メアリー
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「………ん」
あれ………ここは………?私はいったい………。
「お目覚めになられましたか………?」
「あ………」
えっ………と確か……最初に会った?メイドさん……ですよね。
「やはり記憶がございませんのね」
茶髪の若い女性は悲しげに目を伏せながらそう言いました。
その表情に、本当の“ユリア”を奪ってしまったことに申し訳なさを感じてしまいました。
「………すみません」
「いいんです。お嬢様は悪くありませんわ。でも、名前を知らないままというのは不便ですよね。改めて」
「幼い頃からお嬢様の専属侍女を務めております、メアリーと申します。」
「メアリー………さん?」
メイドさんじゃなかったんですね………。
いや似たようなものなのでしょうか………?
「どうぞ、メアリーと呼び捨てでお呼びください」
「あ、はい分かりました。メアリーさ………じゃなくてメアリー」
「敬語も入りませんわ」
「うぇ………え、えと………わ、わかりま………わ、わかった。メアリー」
これでいいのでしょうか………?
少し不安で、メアリーを見上げると彼女は優しく頷いてくれました。
なぜでしょうね………少し、雰囲気がお母さんに似てる気がしたんです。
「………」
「………」
あ、あれ………!?
か、会話ってどうするんでしたっけ………!?
こ、この後は!?この沈黙は!?どうするべきなんですかぁぁぁぁぁぁぁ!?
「お嬢様」
「………え、ははい!」
こ、これくらいはいいですよね………?
「お嬢様は………………」
メアリーは少し、言いにくそうに視線をさ迷わせるも、やがて私を見て言ったのです。
「旦那様がお嫌いですか?」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。
え、えっ………と。お父様ってこの子の……ですよね?
「ど、どうして………?」
声が震えるのは気のせいだと、そう思いたかった。
「………お嬢様が旦那様に………その……恐怖を抱いているように見えたので」
「………やはり、そう見えてしまいますか?」
これはある意味答えだ。
私が、あの人と同じようにこの子の父にも恐怖を抱いてしまっていると。
「………えぇ」
「そう、ですか………」
自分がオカシイ。
そんなことはわかっている。
それでも、あの時感じたこの恐怖心はいまだに消えてくれずに根深く残り続けている。
私は、この気持ちの消し方がわからない。
「いいんです………あんなことがあったんですもの。お嬢様がそうなってしまうのも仕方ありませんわ。ただでさえ………記憶もないのに」
「………あんなこと?」
「あ、いえ!なんでもありません!」
「……そう?」
なんだか怪しい………。
明らかに挙動不審だし、声を上ずってる。
むむむ………。
「そ、そういえばお嬢様!お腹すいていませんか?」
じっと観察していると、メアリーは今思い付いたかのように、手を打ちながらいった。
「え……お腹……………?」
そう言われると、確かに空いてるかも………?
「三週間も眠っていたんですもの。なにか食べないと………」
「え!?さ、三週間!?」
そんなに!?
よく生きてましたねこの子………じゃなくてユリアでしたっけ………?
「まだ病み上がりのお嬢様のために消化の良いものを料理長が用意してくれたんです!どうぞ、召したがってください!」
「あ、ありがとう………」
やっぱりメイドさんだけじゃなくて、そういう人もいるんですね。
お嬢様ってすごい………。
「………あ。良い匂い」
ふわりと優しい香りが鼻をくすぐる。
まともな料理を食べるなんて、いつぶりでしょう。
とても………美味しそうです。
自然と、目の前の料理に手が伸びました。
「っ!!~~~!!!」
な、なんですかこれは!?
こんなに美味しいものがこの世界にはあるなんて………!!
くっ………ちょっと羨ましすぎますよユリアさん!
「お、お嬢様………?お口に合いませんでしたか………?」
「すっっっっっっごく美味しいです!!こんなに美味しいもの、初めて食べました!!」
「そ、そうですか。それは良かったです」
あまりの私の勢いに押されながら、メアリーはきっと料理長も喜びます、と言って微笑んでいました。
それに対し私は手を止める、という行為を忘れたようにご飯に手を付けていました。
あははは………お恥ずかしい。
でも美味しかったんですもの!し、仕方ないじゃないですか!
こんなに美味しい食べ物が悪いんですよ!
ほ………ほんとですからね!?
あれ………ここは………?私はいったい………。
「お目覚めになられましたか………?」
「あ………」
えっ………と確か……最初に会った?メイドさん……ですよね。
「やはり記憶がございませんのね」
茶髪の若い女性は悲しげに目を伏せながらそう言いました。
その表情に、本当の“ユリア”を奪ってしまったことに申し訳なさを感じてしまいました。
「………すみません」
「いいんです。お嬢様は悪くありませんわ。でも、名前を知らないままというのは不便ですよね。改めて」
「幼い頃からお嬢様の専属侍女を務めております、メアリーと申します。」
「メアリー………さん?」
メイドさんじゃなかったんですね………。
いや似たようなものなのでしょうか………?
「どうぞ、メアリーと呼び捨てでお呼びください」
「あ、はい分かりました。メアリーさ………じゃなくてメアリー」
「敬語も入りませんわ」
「うぇ………え、えと………わ、わかりま………わ、わかった。メアリー」
これでいいのでしょうか………?
少し不安で、メアリーを見上げると彼女は優しく頷いてくれました。
なぜでしょうね………少し、雰囲気がお母さんに似てる気がしたんです。
「………」
「………」
あ、あれ………!?
か、会話ってどうするんでしたっけ………!?
こ、この後は!?この沈黙は!?どうするべきなんですかぁぁぁぁぁぁぁ!?
「お嬢様」
「………え、ははい!」
こ、これくらいはいいですよね………?
「お嬢様は………………」
メアリーは少し、言いにくそうに視線をさ迷わせるも、やがて私を見て言ったのです。
「旦那様がお嫌いですか?」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。
え、えっ………と。お父様ってこの子の……ですよね?
「ど、どうして………?」
声が震えるのは気のせいだと、そう思いたかった。
「………お嬢様が旦那様に………その……恐怖を抱いているように見えたので」
「………やはり、そう見えてしまいますか?」
これはある意味答えだ。
私が、あの人と同じようにこの子の父にも恐怖を抱いてしまっていると。
「………えぇ」
「そう、ですか………」
自分がオカシイ。
そんなことはわかっている。
それでも、あの時感じたこの恐怖心はいまだに消えてくれずに根深く残り続けている。
私は、この気持ちの消し方がわからない。
「いいんです………あんなことがあったんですもの。お嬢様がそうなってしまうのも仕方ありませんわ。ただでさえ………記憶もないのに」
「………あんなこと?」
「あ、いえ!なんでもありません!」
「……そう?」
なんだか怪しい………。
明らかに挙動不審だし、声を上ずってる。
むむむ………。
「そ、そういえばお嬢様!お腹すいていませんか?」
じっと観察していると、メアリーは今思い付いたかのように、手を打ちながらいった。
「え……お腹……………?」
そう言われると、確かに空いてるかも………?
「三週間も眠っていたんですもの。なにか食べないと………」
「え!?さ、三週間!?」
そんなに!?
よく生きてましたねこの子………じゃなくてユリアでしたっけ………?
「まだ病み上がりのお嬢様のために消化の良いものを料理長が用意してくれたんです!どうぞ、召したがってください!」
「あ、ありがとう………」
やっぱりメイドさんだけじゃなくて、そういう人もいるんですね。
お嬢様ってすごい………。
「………あ。良い匂い」
ふわりと優しい香りが鼻をくすぐる。
まともな料理を食べるなんて、いつぶりでしょう。
とても………美味しそうです。
自然と、目の前の料理に手が伸びました。
「っ!!~~~!!!」
な、なんですかこれは!?
こんなに美味しいものがこの世界にはあるなんて………!!
くっ………ちょっと羨ましすぎますよユリアさん!
「お、お嬢様………?お口に合いませんでしたか………?」
「すっっっっっっごく美味しいです!!こんなに美味しいもの、初めて食べました!!」
「そ、そうですか。それは良かったです」
あまりの私の勢いに押されながら、メアリーはきっと料理長も喜びます、と言って微笑んでいました。
それに対し私は手を止める、という行為を忘れたようにご飯に手を付けていました。
あははは………お恥ずかしい。
でも美味しかったんですもの!し、仕方ないじゃないですか!
こんなに美味しい食べ物が悪いんですよ!
ほ………ほんとですからね!?
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