21 / 22
第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する
第十九話 あなたを知りたい
しおりを挟む
「ねーさま、ぐあい………どう?」
「エリー………」
「ごめんなさいね。心配をかけさせて………」
「ううん。いーの。エリーこそごめんなさい………ねーさまがぐあいがわるいって気づけなくて………」
「いいのよ」
だって、体調が悪かったわけじゃないですから。
あれは私に問題があった。それだけです。
「だから、気にしないで。あなたはなにも悪くないもの」
「ねーさまぁ………!!」
「わっ」
そう言えば、エリーは涙を溢しながら私に抱きついてきました。
「エリー、エリーね!ほんとはっこわかった………またエリーのせいでっ………ねーさまが今度は本当にっ………いなくなっちゃうんじゃないかって………こ、こわっかった………うわぁぁぁぁぁぁん!!」
「エリー………大丈夫よ。私は………ねーさまはどこにも行きませんから」
ゆっくりとエリーの頭を撫でながら言い聞かせる。
「うん………」
私の妹が可愛いです………。
あ、そういえば
「エリー、結局エイリアの花はどうなったの?」
「ねーさまがたおれちゃったからその日はやめにしたの。だからまだつみにいってないよ」
「そう。ありがとう」
なら、まだチャンスはありますね。
ひとまず優先するべきことは私のこの体質を治すこと。
外に出られなければ今後にも支障が出てしまいますし。
ただ問題は『どうやって治すか』なんですよね。
ユリアがあの時感じたのは強い恐怖心と拒絶感。
そして、あの日記の終わり方。
きっとユリアは日記の次の日に私たちと同じようにエイリアの花を摘みにいこうとした。そして………
そう、確かにわたしはエイリアの花を摘みにいこうとしたの。
お父様に謝りたくて。
それで、お外に出て、それから………
庭園、抜け穴、伸ばした手、エイリアの花、暗闇、炎………………私は……わたしは……?
「…………さま」
「ねーさま!!」
「っ!!」
「ねーさま?どうしたの?」
「い、いえ………なんでもありません」
なんでしょう今の………。
脳内で再生されたかのように流れていった断片的な映像。
こんなのまるで……。
「お嬢様?」
「あ、メアリー」
「おはようございます、お嬢様。気分はどうですか?」
「大丈夫よ。ありがとう」
「朝食はどちらでお召し上がりになりますか?」
「今日はここにさせてくれる?」
「かしこまりました。さぁエリー様参りましょう」
「はーい!またね、ねーさま!」
二人の背に向かって手を振る。
そして、パタンと扉がしまる。
再び訪れた静寂。
そんな中で私はまた思考を巡らせる。
きっとさっきのフラッシュバックというもの……だと思う。
そして一瞬だけ……“ユリアス”に戻った気がした。
私ではなく、本当のユリアスに。
それがどうしても気になってしまった。
だから私は…………。
まるで“何か”に導かれるように
そっと部屋を抜け出したのだった。
***
辿り着くのは簡単でした。
私が知らなくてもこの身体は覚えていたから。
廊下を抜けて、角を曲がって、あえて遠回りのルートを私は歩いていました。
長い長い道を歩いて、私は庭園に続く扉……ではなく、窓から庭園に入った。
意外とユリアスはお転婆だったみたいです。
こんなところから外に出るなんて思いませんでした。。
きっと誰も知らなかった。
だから誰にも気づかれずに彼女はここから抜け出したのでしょう。
でもなぜか、誰も私を阻まなかった。
かなりの距離を移動したというのに、誰もいなかったのです。
そうして、外に出て庭を抜けていく。
ユリアスは確かに覚えている。
わたしはここを走ったんだ。
「……見つけた」
庭園の隅の庭木の間に見えにくかったけれど確かに“それ”はあった。
「こんなところに抜け穴があるなんて………」
きっと、彼女じゃなければわからなかった。
ちょうどそれはこのくらいの背丈じゃなければ見つけられないくらい小さな抜け穴だったから。
周りには誰もいない。
わたし1人だけ。
恐怖が全くないかと言われれば嘘になる。
今でも外は怖い。
私は何もしれないから。
でも、それ以上に知らなければいけないと思った。
私がユリアスになるために。
「………行きましょう」
こくりと唾を飲み込んで、目の前にある真実への道を見つめる。
きっとここをくぐれば……この先に求めているものがあるはずだから。
真実がわかるはずだから……!!
そう意気込んで、抜け穴をくぐろうとした…………そのとき
「ダメだよ。ユリア」
声が、聞こえたんです。
優しそうな、悲しそうな。
「え……?」
その瞬間、わたしの意識は微睡みに……眠りに支配された。
なんだかとても眠くて、瞼が閉じる。
崩れ落ちた体を誰かが優しく受け止めた。
なぜですか?と思わずにはいられなかった。
ねぇ、どうして……なんですか…………。
なぜ……貴方が……ねぇ……こたえて………………
…………お父様______________。
「エリー………」
「ごめんなさいね。心配をかけさせて………」
「ううん。いーの。エリーこそごめんなさい………ねーさまがぐあいがわるいって気づけなくて………」
「いいのよ」
だって、体調が悪かったわけじゃないですから。
あれは私に問題があった。それだけです。
「だから、気にしないで。あなたはなにも悪くないもの」
「ねーさまぁ………!!」
「わっ」
そう言えば、エリーは涙を溢しながら私に抱きついてきました。
「エリー、エリーね!ほんとはっこわかった………またエリーのせいでっ………ねーさまが今度は本当にっ………いなくなっちゃうんじゃないかって………こ、こわっかった………うわぁぁぁぁぁぁん!!」
「エリー………大丈夫よ。私は………ねーさまはどこにも行きませんから」
ゆっくりとエリーの頭を撫でながら言い聞かせる。
「うん………」
私の妹が可愛いです………。
あ、そういえば
「エリー、結局エイリアの花はどうなったの?」
「ねーさまがたおれちゃったからその日はやめにしたの。だからまだつみにいってないよ」
「そう。ありがとう」
なら、まだチャンスはありますね。
ひとまず優先するべきことは私のこの体質を治すこと。
外に出られなければ今後にも支障が出てしまいますし。
ただ問題は『どうやって治すか』なんですよね。
ユリアがあの時感じたのは強い恐怖心と拒絶感。
そして、あの日記の終わり方。
きっとユリアは日記の次の日に私たちと同じようにエイリアの花を摘みにいこうとした。そして………
そう、確かにわたしはエイリアの花を摘みにいこうとしたの。
お父様に謝りたくて。
それで、お外に出て、それから………
庭園、抜け穴、伸ばした手、エイリアの花、暗闇、炎………………私は……わたしは……?
「…………さま」
「ねーさま!!」
「っ!!」
「ねーさま?どうしたの?」
「い、いえ………なんでもありません」
なんでしょう今の………。
脳内で再生されたかのように流れていった断片的な映像。
こんなのまるで……。
「お嬢様?」
「あ、メアリー」
「おはようございます、お嬢様。気分はどうですか?」
「大丈夫よ。ありがとう」
「朝食はどちらでお召し上がりになりますか?」
「今日はここにさせてくれる?」
「かしこまりました。さぁエリー様参りましょう」
「はーい!またね、ねーさま!」
二人の背に向かって手を振る。
そして、パタンと扉がしまる。
再び訪れた静寂。
そんな中で私はまた思考を巡らせる。
きっとさっきのフラッシュバックというもの……だと思う。
そして一瞬だけ……“ユリアス”に戻った気がした。
私ではなく、本当のユリアスに。
それがどうしても気になってしまった。
だから私は…………。
まるで“何か”に導かれるように
そっと部屋を抜け出したのだった。
***
辿り着くのは簡単でした。
私が知らなくてもこの身体は覚えていたから。
廊下を抜けて、角を曲がって、あえて遠回りのルートを私は歩いていました。
長い長い道を歩いて、私は庭園に続く扉……ではなく、窓から庭園に入った。
意外とユリアスはお転婆だったみたいです。
こんなところから外に出るなんて思いませんでした。。
きっと誰も知らなかった。
だから誰にも気づかれずに彼女はここから抜け出したのでしょう。
でもなぜか、誰も私を阻まなかった。
かなりの距離を移動したというのに、誰もいなかったのです。
そうして、外に出て庭を抜けていく。
ユリアスは確かに覚えている。
わたしはここを走ったんだ。
「……見つけた」
庭園の隅の庭木の間に見えにくかったけれど確かに“それ”はあった。
「こんなところに抜け穴があるなんて………」
きっと、彼女じゃなければわからなかった。
ちょうどそれはこのくらいの背丈じゃなければ見つけられないくらい小さな抜け穴だったから。
周りには誰もいない。
わたし1人だけ。
恐怖が全くないかと言われれば嘘になる。
今でも外は怖い。
私は何もしれないから。
でも、それ以上に知らなければいけないと思った。
私がユリアスになるために。
「………行きましょう」
こくりと唾を飲み込んで、目の前にある真実への道を見つめる。
きっとここをくぐれば……この先に求めているものがあるはずだから。
真実がわかるはずだから……!!
そう意気込んで、抜け穴をくぐろうとした…………そのとき
「ダメだよ。ユリア」
声が、聞こえたんです。
優しそうな、悲しそうな。
「え……?」
その瞬間、わたしの意識は微睡みに……眠りに支配された。
なんだかとても眠くて、瞼が閉じる。
崩れ落ちた体を誰かが優しく受け止めた。
なぜですか?と思わずにはいられなかった。
ねぇ、どうして……なんですか…………。
なぜ……貴方が……ねぇ……こたえて………………
…………お父様______________。
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる