婚約破棄されるはずが……………

SAKURA

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過去への旅立ち

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「………フレアちゃんの孤独……か」

水晶からは聞こえなかったけど、ドミニカの心の声が空間に響いていた。
つまりここは“ 私達 ”の心の中なのかもしれない。
「………」
(フレアちゃんがなぜ孤独だったのかわからない。だから………)

「フレアちゃんの過去を教えて下さい」

(ここはフレアちゃんの体の奥底に眠る“ 心 ”の中のはず………。今は“ 私達 ”が存在していて“ フレア ”はここにはいない。でも……彼女の身体……心の中ならば……分かるかもしれない。彼女……フレアちゃんの記憶を……。ドミニカが知ることができたんだから私だって知れるはずだもの)
だから、私は声に出して願った。

「フレアちゃんのすべてを教えて」

そう言うと、目の前に大きな扉が現れた。

「この先………なのかな」
(なんとなくだけど、私なら分かってあげられるかもしれない。ドミニカの言い分に乗るのはムカつくけど……でも)

「救えるなら救ってあげたいもの」

もう自分と同じような目に合う人は増やしたくないから……。
だから旅立とう。

本当の『フレア・ティストリア』の全てを知るための………過去を巡る旅を………。

そうして私は目の前の大きな扉に手をかけ、開くのだった………。


「………」
目が覚めると、今度は色のある世界だった。
でも、すごく暗くて重たい色………。
『ついたのかな………?』
周りを見渡すが、特に人はいない。
(ここはどこなんだろう………)
殺風景な部屋。
必要最低限のものしかない寂しい部屋だった。
『フレアちゃんはどこだろう………というかここどこ?ついでにいつ?私はここに干渉できたりするのかな?』
試しに近くに落ちていた服を持ち上げようとするが
『やっぱり干渉はできない………か』
私の手は服をすり抜けた。
(つまり私は見ることしかできないのか………それはそれでなんかやだなぁ………)

ギィ__パタン

『っ!?』
扉が開閉された音が聞こえた。
(なんだ………ビックリした。隣の部屋か……)

コツコツ__

すると足音がこちらに近づいてくる。
(あれ………私……やばくね………?)

今の私はフレアちゃんの家?のどこかの部屋にいる。
            ↓
それを誰かに見られる。
            ↓
『私不法侵入☆\(^o^)/』

『………』
(ヤバイじゃん!ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!どうする!?どうする!?考えろ!考えるんだ矢野 美智瑠!!大丈夫!私はできる子だ!とりあえず、隠れる!?無理だ!隠れられるところがない!なんでこんなに物がないのよ!殺風景過ぎるわ!(泣))

ギィ………と扉が少しずつ開いていく

(ノォォォォォォォ!!ヤバイヤバイヤバイ!バレる!どうする!?犯罪者なんてなりたくない!嫌だ!よっ………よしとりあえず……)

パタン__

『すいませんでしたァァァァァ!!』

と、私は勢いよく扉から入ってきた人物に向かって土下座をした。
『ほんとすみません!悪気は無かったんです!ほんとです!気づいたらここにいたんです!だから通報はやめてくれると嬉しいな~なんて………』

そういってチラッと上を見ると………

フレアちゃん似の幼女がいた。

『………』
(誰っ!?)

フレアちゃん似の幼女は土下座をしている私には目もくれず、部屋の中へと進んでいった。

(え………?無視………?酷くない!?そんなに気持ち悪かったのか私は!!嫌でも普通そうだよね!部屋に帰ってきたら知らない美少女☆(自分で言うな)が土下座というなの変な体勢だったらそりゃ驚くよね!でもね!私は意図的にここに侵入した訳じゃないんだよお嬢さん!気づいたらここにいたんだよ!だからお願い!通報だけはしないでぇぇぇぇぇぇ!!私はロリコンじゃないのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!)

ガシッと彼女を引き留めようと手を伸ばすが………
『あれ?』
その手は彼女の体をすり抜けた。
(これある意味ホラーだわ~………じゃなくて!もしかして………見えて……ない………?)
試しに彼女の前にたってみる。
(反応なし)
次に手を降ってみる。
(反応なし)
『聞こえてますかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
大声で叫んでみる。
(反応なし)
最後に目の前で………

『ジ!ジ!ジンギスカーン!』

踊ってみる。

『………』
(やめよ。虚しいだけだわ)
なんか悲しくなってきたよ。

(でもここまでしても反応がないってことは私のことは見えてもないし、声も聞こえてないってことか………)
『つまりやりたい放題じゃないですかぐへへへへへへへへ………すいませんやめます。ごめんなさい』
なんかどこかの誰かさんに「お巡りさんこいつです!」って通報されそうな気がしたのでやめた。


「とりあえずこの子がフレアちゃん………なのかな……?」
先程から観察を続けているが、彼女は一向に喋らずひたすら本を読んでいた。
(にしても、親はなにしてんだよ……こんなに小さい子をぼっちで放置って……育児放棄じゃん。しかもメイドさんすらいないし)
少女の部屋には誰もいなかった。
少女と私だけ。
二人ぼっちの広い部屋。
フレア?にとっては一人ぼっちの広い部屋。
それは不思議と昔の自分を連想させた。
『………ねぇ、フレア。あなたは今………』

__コンコン

『うわっ!』
「………誰?」
(あ、はじめて声聞いた………。なんだろ……この自分の身内に初めて名前呼ばれたみたいな幸福感!てか声可愛すぎない!?……てそんなこと思ってる場合じゃないって)
「フレア様、お食事をお持ちいたしました」
「分かった。ありがとう」
「いえ……それでは失礼致します」
そうしてメイドは去っていった。

(……え?)

私は目の前の光景に驚きを隠せなかった。

(一緒にご飯食べないわけ?)
私がフレアだったときは、確かにフレアの家族と一緒に食べた。
なのに、今のフレアは家族と一緒に食べていない。
一人ぼっちで黙々と夕飯を食べていた。
(………完全に育児放棄じゃん)
フレアは見たところまだ5歳くらい。
なのに幼い少女を一人で部屋に放置し、顔を出すこともなくご飯を食べさせている。
そう、たった一人で………。

(こんなの親としてアウトだよ……帰ったら問い詰めよう。というか断罪したい)

と、私は1人決意した。


あれからどれだけ日が過ぎただろう。
私はずっとフレアの過去を見続けた。
フレアは自分以外誰もいない部屋でずっと一人ぼっちで過ごしていた。
大きくなってもずっと………。
その間誰かが来ることはなかった。
ご飯なんて滅多に呼ばれなかった。
親に話しかけても無視され、時には罵倒され、暴力を振るわれていた。
親に愛してもらえなかったフレア。
彼らはフレアをいないものとして扱っていた。
フレアの味方はどこにもいなかった。
誰も彼女を愛さなかった。
その悲しみはとても深いだろう。
だから彼女はなにも知らない。
『愛』を知らない。
『家族』を知らない。
『友達』も何もかも………。
だから、お茶会の時に仲の良い“家族”が羨ましかった。
だから“愛”を求めた。
親から
婚約者から
でもそれは叶わなかった。
フレアの心はボロボロになっていった。
そして悪魔に魅いられ、奪われてしまった。
何もかも………。
もしフレアが誰かに愛してもらえていたのなら少しは………変わっていたのだろうか。 
フレアがどんなに目にあっても、私はただ、見続けているだけ。
だってここは過去だから。
私は見ることしかできなかった。 
助けてあげられなかった。
それがすごく悔しかった。
できることなら今すぐにでも、駆け寄り抱き締めたかった。
そばにいてあげたかった。
でもできない。
可哀想なフレア。
親に愛してもらえなかったフレア。
捨てられたフレア。
あなたは私と同じだと思ってた。
でも、あなたは私よりもずっと酷い環境で生きてきた。
いったいどれほど辛かったんだろう。
悲しかったんだろう。
苦しかったんだろう。
私には分からない。
それほど深いから。
でも寄り添えることはできるはずだから。
まだ戻れるかもしれないから………。

だから…………。


(待っててね……フレア。私があなたを…………)

『救ってみせるから』

そしてあなたをずっと愛してあげるから………。

だからあなたを救えたその時は私と………

___になろう?


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

はい!どーも皆さん!SAKURAです!
今回はかなり簡単にまとめたフレアの過去?でした!
本当はもっと詳しく書きたかったんですが、『短編』という領域がヤバくなってきたんで(汗)
フレアや美智瑠の過去は番外編で公開する予定です!
なので、それもありかなーり分かりにくい感じになってしまいました………すみません。
次回は悪魔VS美智瑠………の予定です。
さてさてどうなるのでしょうか………?
それでは次回また!

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