1 / 1
魂の一球
しおりを挟む
県予選決勝。
9回裏8対8、2アウト満塁3ボール2ストライク。
マウンド上には栄刻高校、鈴木。
鈴木には予感があった。『次の一球』で決まると。
連日の試合。7回から登板し、3イニング目。
疲れは確かにある。
8対7で9回の裏に入ったが、同点に追いつかれた。
相手の攻勢は捨て身ともいえるもので、1点差を埋めるために最後の投手に代打を出していた。
鈴木は理解していた。
おそらくここを凌げば、次の回で点が取れる。
ここを抑えれば勝てる!!
ここだ。ここを抑えるのだ、と。
アウトをとれば勝ちに等しい。
4つの塁はすべてフォースプレイである。どこでもいいのだ。
3塁走者が帰還すれば負け。
ヒットでも四死球でもエラー、暴投、捕逸、野選…なんでもいいのだ。
球場全体が、次の一球を固唾を呑んで待っていた。
鈴木は集中力が高まるのを感じていた。
(静かだ)
歓声にも暑さにも、疲労にさえ集中を乱されたりしない。
(静かだ)
音が消えたようにさえ思える。
“ゾーン”に入ったのだ、と思った。
目を瞑り。ぎゅ、とグラブの中で白球を握る。
(この一球だ)
そう、この一球に全てを賭けるのだ。
今までの厳しい練習。
仲間との絆。
友人、恩師、応援してくれる人の期待。
自分の思い、自分の魂を、この一球に込めて投げるのだ。
全てを賭けたこの一球を投げるため、鈴木は目を開いた。
目を開いたら、試合は終わっていた。
目を瞑っている間に3塁ランナーがホームスチールを決めていたらしい。
会場は静まり返り。
捕手の田中の目つきがすごい。
鈴木は転校した。
9回裏8対8、2アウト満塁3ボール2ストライク。
マウンド上には栄刻高校、鈴木。
鈴木には予感があった。『次の一球』で決まると。
連日の試合。7回から登板し、3イニング目。
疲れは確かにある。
8対7で9回の裏に入ったが、同点に追いつかれた。
相手の攻勢は捨て身ともいえるもので、1点差を埋めるために最後の投手に代打を出していた。
鈴木は理解していた。
おそらくここを凌げば、次の回で点が取れる。
ここを抑えれば勝てる!!
ここだ。ここを抑えるのだ、と。
アウトをとれば勝ちに等しい。
4つの塁はすべてフォースプレイである。どこでもいいのだ。
3塁走者が帰還すれば負け。
ヒットでも四死球でもエラー、暴投、捕逸、野選…なんでもいいのだ。
球場全体が、次の一球を固唾を呑んで待っていた。
鈴木は集中力が高まるのを感じていた。
(静かだ)
歓声にも暑さにも、疲労にさえ集中を乱されたりしない。
(静かだ)
音が消えたようにさえ思える。
“ゾーン”に入ったのだ、と思った。
目を瞑り。ぎゅ、とグラブの中で白球を握る。
(この一球だ)
そう、この一球に全てを賭けるのだ。
今までの厳しい練習。
仲間との絆。
友人、恩師、応援してくれる人の期待。
自分の思い、自分の魂を、この一球に込めて投げるのだ。
全てを賭けたこの一球を投げるため、鈴木は目を開いた。
目を開いたら、試合は終わっていた。
目を瞑っている間に3塁ランナーがホームスチールを決めていたらしい。
会場は静まり返り。
捕手の田中の目つきがすごい。
鈴木は転校した。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛
MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる