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110 愛は尊く 前編
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「リュカ・シルフィード・クラフ。
サイカ・クライス。双方の婚約をレスト帝国皇帝、マティアス・ベルフォーレ・レストが認める。」
リュカが私の前に跪く。マティアスや集まった人たちに見せつけるように、誓うその言葉。
「僕の婚約者となったサイカ・クライス侯爵令嬢を生涯守り、生涯の愛を誓う。」
「はい。末永く、お願いします。
リュカ・シルフィード・クラフ公爵様。」
リュカ、ヴァレ、カイルの三人が私の婚約者となる事が周りに認められ、私は今日、めでたくリュカと婚約の書面にサインをした。
この世界は日本とは全く違う。まだまだ色んな差別や格差が当然のようにあって、でも重婚は認められていたりと変な所も多い。
権力や地位が人生を左右する、生きるのも厳しいそんな世界。
皆との婚約も全員一緒とはいかず序列を設けなければならなかった。
序列一位がマティアス。序列二位がリュカ。
三位がヴァレリアで、四位がカイル。
婚約式も色々と準備をしなくてはいけないのでヴァレとが三ヶ月先、カイルとが半年先になった。
「……ふう。」
「疲れたか?」
「少しだけ。沢山人に囲まれるとやっぱり緊張します。」
「僕は緊張より嬉しい気持ちが大きかったな。
…やっと、堂々と交際出来る。」
「あ、う、…それは、私も嬉しい、です…けど、」
「この日を迎える為に沢山我慢した。
恋人としてではなく公爵として接するのは中々辛いものだった。気が狂いそうになる程。
…やっと、お前を抱き締める事が出来る。
誰の目も気にする事なく…クライス令嬢ではなくサイカと呼んで抱き締める事が出来る…。本当に長かった…。」
久しぶりのリュカの体温。
抱き締められ、リュカの匂いに包まれる。
本当に久しぶりだ。抱き締められるのも、キスをされるのも。
はぁ、と熱い、潤んだ目で見つめられるのも。
本当に随分久しぶりだった。
「俺もいるんだが。」
「私もいます。」
「…俺も、いる。」
「知ってるが。」
「わあぁ!!」
そうだった!この部屋に集まるんだった!と思い出し急激に恥ずかしくなった。
「……態と?」
「久しぶりなんだ。いいだろう別に。」
「……いいよ、別に。俺もするから。」
「え?」
軽々とカイルに横抱きに抱えられ、彼の膝の上にそのまま下ろされる。
囲うように抱き締められて、ぐりぐりと肩にカイルの頭が擦り付けられる。
「カイル殿、少し寄って頂けますか?」
「…ん。」
右隣にヴァレが座り、カイルの腕越しに私を抱き締めて頬に口付けをする。
「…ああ、久しぶりのサイカ…安心します。」
私を抱えたまま中心に座るカイル。その左にリュカ、右にヴァレリア、そして正面にどかりとマティアスが座った。
…不機嫌そうな顔で。
「まあ、今日くらいはな。俺の寛大な心に感謝するといい。」
にやりと笑って冗談ぽくそう言うマティアスに、“はいはいどうも”“有り難う御座います”“サイカ、大好き”と各々が返した。
…カイルのは、マティアスへの言葉じゃなかったけれど。
「ふふ。」
ああ。この一瞬一瞬が愛おしい。大切な時間だと感じる。
「サーファス殿はディーノと一緒に来る。
揃ってから、改めて祝おう。」
広い客室の中には沢山の料理と飲み物が並んでいる。
式では色んな人に囲まれるからゆっくりと食べ飲みは出来ない。
夕方から始まったリュカとの婚約式は、もうすっかり夜になっていた。
今回の功績で、ヴァレ、そしてカイルの二人には高い地位が与えられ、今日の婚約式は二人の祝いの場でもあった。
「ヴァレ、カイル、改めておめでとう。」
「有り難う御座います。
貴女を妻に迎えるには相応しい地位がないといけませんからね。
もう少し長い時間がかかる予定でしたが…今回の件があって、結果的には良かったと言えます。」
「…家、買った。
帝都の、すぐ近く。そんなに、大きくはない、けど。
……可愛い部屋に、する。気に入ってくれたら、嬉しい…。」
「騎士たちからのやっかみが凄いらしいな、カイル。」
「ん。……手合わせの時、凄い…。八つ当たりされる。
でも、勝つ、けど。
“サイカ嬢の婚約者とか羨ましいです死んで下さい”って、集団で向かってくる…。」
「はは!騎士たちはサイカを慕っているようだからな。
どうも崇拝しているらしい。中々に愉快だった。」
「…何だそれは。大丈夫なのか、この国の騎士たちは。」
「ふふ。サイカはレスト帝国の至宝。宝石姫ですからね。」
「…誰もを魅了する美しさは宝石の如く。いや、実際は宝石にも勝る、か。
レスト帝国の至宝とはよく言ったものだ。
その通り。サイカは俺の至宝よ。」
「む。…陛下だけ、違う。…俺たちの、…です。」
「そうですね。私たちの宝です。」
今回の事があって、私は周りからもの凄いイメージを持たれてしまった。
“か弱い”“国を上げて守らなくてはならない”“レスト帝国の至宝”“宝石姫”
……正直に言おう。誰なのそれ。か弱い…のはか弱いのかも知れない。女は男の力にはどうしても敵わないし、か弱いのはまだ分かる。
国を上げて守る存在……なのか。でもあんな事件が起こってしまったのだからそれも、…そうなのかも知れない。
レスト帝国の至宝、宝石姫とはなんぞや。止めて…そんな大層な通り名付けないで欲しかった…!
“レスト帝国の至宝”“宝石姫”などなど…新聞で大きく取り上げられているのを見るたび、気が滅入りそうになる。
「…だが。お前は清く正しく、そして優しく美しい、お伽噺に出てくるような女神そのものの存在じゃない。悔しいがサーファス殿の言う通りだった。
奔放な所も優柔不断な所も。人間らしい汚く、醜い部分も当然ある。
綺麗も汚いも含め、お前は僕たちの宝だ。僕の女神で、愛する女だよ。」
「あむ、」
どんなお前でも愛している、と一言告げて。リュカは私に口付ける。
リスティアからレスト帝国に帰る船の中、私は改めて皆の思い、愛を伝えられたのだ。
サーファス様が私自身が気付かなかった負担に気付いて、心を軽くしてくれた。
それは小さなものだった。小さなものが少しずつ重なって、重くなって。
でも気付かない。もしかしたらサーファス様に指摘されるまでも気付かない振りをしていただけなのかも知れない。
誰かの、皆の想像、理想の私。そうしたいと思ったのは私だったろうし、そうあれとしたのも私自身だ。
それをサーファス様は気付かせてくれた。気付いて、受け入れてみれば何て心が軽い。
サーファス様の思いがこもった手紙を読むたび、嬉しい気持ちと受け入れたい気持ちがあった。
ちゃんと考えよう。そう思って沢山悩んで、どうするかを考えた。
なし崩しにもしたくない。いいや、してはいけない。
想いにはきちんと答えを出さなければならない。
考える。マティアスのこと、ヴァレリアのこと、カイルのこと、リュカのこと、私自身のこと。
以前までの環境、今の環境、身分。
私はもう娼婦じゃない。貴族令嬢になってしまった。
受け入れるだけの以前と、受け入れるだけじゃなく、その先の事まで考えなくてはならない今は重みも違う。
色んな事を考え、行動しなくてはならない。
学ぶ事も多く、この先の苦労もまだ多いだろう。
色んな事を考えた時、これ以上は抱えられないと気付いた。
手の中にあるものはどれも捨てられない、どれもが大切なものだった。
もう、何か重く、大切なものを受け入れる余裕はなかった。
受け入れてしまえばきっと、何かが溢れてしまうだろう。
どれも重い。どれも大切。今、私の手の中にあるものは全て、どれもが愛しいものだった。
捨てていいものなど、何一つなかった。
放ってもおけない、そんな曖昧な気持ちではあるけれど、それでも何かを切り捨てなければならないのなら…私には手の中にあるものを選ぶ、その選択肢しかない。
マティアスとヴァレと、カイルとリュカ。四人で精一杯なのだと自分が受け入れられる限界に気付いたから、正直にサーファス様に伝えた。
それでサーファス様自身が納得して、それでも諦めないのなら、それはもう、私にだってどうする事は出来ないのだと割り切る事にした。
人の想いを断ち切るなんて、誰かがどうこう出来るものじゃない。
それが強く、とても強い想いであるのなら。
本人が納得して、満足して、本人の意思で初めて、どっちかの決断をする。
何かを選択する時は、結局自分の心や感情で判断し選択するのだから。
私は今回、自分が一人の人間であると改めて強く思った。
誰かを振り回す、傷付ける。それをやってしまうどうしようもない人間であると気付いた。
だけどそれだけじゃない。気付かなかった事に気付いて、認めて受け入れてみれば、私は少しだけ成長した私になっていた。
傷付ける相手がいても、誠実でありたい。
偽りや嘘や言い訳で心を固めて苦しむよりも、嫌われても失望されてもいいからどうしようもない私をさらけ出してしまった方がずっといい。
それが出来たなら、きっと私は真っ直ぐぶつかる事が出来る。
嫌われても失望されても、そこで何もしない、立ち止まる事なく、相手を追う事が出来るはずだから。
信用、信頼を取り戻す。嫌われてしまって、元の好きの状態に戻すのも凄く苦労する。
だけど動かなければ、いい方向に変わる可能性すらない。
この先何度も、私は皆を失望させるだろう。
時には疎ましいと思われる事もあるだろう。
もしかしたら、想像したくない未来もあるかも知れない。
そうなった時に、追いかけたいから。本当の意味で失いたくないから、もう隠す事はしない。
どんな私も受け入れてほしい。綺麗も汚いも、一人の愚かな人間であるありのままの私を知ってほしい。
そんな私の想いをサーファス様が気付いて、先に皆に伝えてくれていた。
本当は全部を自分で伝えた方が良かったと思うけど、結果的にサーファス様が伝えてくれて良かったのかも知れないと今は思う。
きっと上手く伝える事は出来なかったから。
情けなくて、どうしようもない自分をさらけ出すのは、やっぱり恐いから。
伝えながら、言い訳を探そうとするから。許されたいと、自分可愛さが出てしまうだろうから。
サーファス様が先に話をしてくれたお陰で、私は自分可愛さを出す事もなく、言い訳を探す事もなく皆に伝える事が出来たのだ。
知られているんだと、それが頭にあったから、取り繕う事はなかった。
そしてマティアスは、ヴァレリアは、カイルは、リュカは、お義父様は。愚かな私を受け入れてくれた。
そしてサーファス様も、私の思いを納得した上で、改めて自分の気持ちを伝えてくれた。
船の中、サーファス様は清清しい表情で私に伝える。
『君の負担になるなら、俺を受け入れなくていいよ。
サイカはサイカの手の中のものを大切にする、それだけでいい。
俺はねサイカ。前に君と話をした時、俺の役割がはっきりと分かったんだ。』
『…役割…?』
『そう。役割。
今、ここにいる陛下、クラフ公爵、クライス侯爵。
レスト帝国で待っているウォルト卿、ディアストロ卿。
皆それぞれ君にとって違う役割がある。
誰もが君の大切、愛しい存在。だけと人は、好きだと思う理由が皆一緒なわけじゃない。』
『……。』
『クライス侯爵は父親という役割がある。無償の愛だ。
マティアス陛下は君にとって、世界で一番安堵する場所だろう。陛下は君を、誰よりも強固に守っている。
クラフ公爵は君に対し必要であれば、厳しい目で見て諭してくれる。彼と君は対等なんだ。強く言い合える。
ウォルト卿は君の何もかも肯定し、受け入れる。彼の優しさは楽天的に見えて考え込みやすい君の救いでもある。
カイル卿には癒しが。強い母性と恋情、愛情が絶妙な加減で君の中で折り混ざって存在している。』
サーファス様の分析は当たっていた。
それぞれへの愛情が全く一緒の理由であるはずがない。
それぞれ、全く違う一人の人間なのだから。
同じ愛情じゃない。理由がある。
誰かを好きになる、嫌いになる、愛する。それは全て、何かしらの理由があるのだ。魅力を感じる部分が。
気が合う、安らぐ、お金がある、容姿が、身分が。
そう。人は色んな好きの理由があって、人といる。
『俺の役割はね。君を支える事だよ、サイカ。
君の心に寄り添う事。肯定し、諭し、君が色んな事に気付いて、受け入れられるように。
君が気付けるように。自覚出来るように。俺が先に気付いて、君を導く事。それが俺の役割。』
『……。』
『ありがとうサイカ。俺は、もう大丈夫。
君のお陰で、俺は自分自身を受け入れる事が出来た。
君が俺の手を取ってくれたお陰で、俺に沢山怒ってくれたお陰で、俺はね、色んな感情を表に出そうと思う事が出来た。
嘘じゃないって、分かる?』
『…はい。嘘じゃないって、ちゃんと分かります。
サーファス様の顔、…とても素敵な顔だから。』
『うん。俺の思いを受け入れる容量はない。それはちゃんと分かった。
これは俺の、一方的な思いだから、そう思ってくれるだけでいい。
君は大切なものを守る、それだけでいいんだ。
俺が、君の大切なものごと、包むから。俺の幸せは、君の心に寄り添う事。それが俺の幸せで、陛下たちにも認めてもらったよ。今回の件のご褒美としてね!』
周りを見ると、マティアスたちが小さく頷いていた。
今の私に、サーファス様を受け入れる余裕はない。
私が大切に出来るものは、この手のひらの中だけ。
サーファス様の思いに答える事は難しい。
真っ直ぐな気持ちはとても嬉しい。けれどとても重いもの。
同じ愛情を返す事が出来ない。
今あるのは同情と友情であり、恋じゃないと気付いたから。
サーファス様の真っ直ぐな好意に酔いしれ喜んでいた最低な私に気付いて、考えて、出した気持ちは同情と友情だった。
未来の話は分からない。もしかしたら私は、サーファス様に恋をするかも知れない。
そういう未来もあるかも知れない。
けれど、ここではっきりと伝えておかないのは。どうなるか分からない未来を盾にして、曖昧にしたままでいるのは、それはきっと、サーファス様が苦しいから。もの凄く、苦しいはずだから。
例え今、サーファス様との関係が終わろうとも、ちゃんと伝えるべきだと思った。
失うと思うと、苦しい。とても悲しい。短い期間でも、思い出はあるから。大きな情が、確かに心にあるから。
『私は、私、は。
サーファス様に、恋愛感情を、持って、いません。
好きです。サーファス様が、大好きです。
でも、それは、恋じゃなく。大切な友人で、そういう、大切な、だから、幸せに、なって欲しい…!
サーファス様に、幸せに、私を、思う、思い続けるのは、いつか、後悔、する日が、』
『駄目だよサイカ。
俺の気持ちを勝手に決めつけないで。
俺の大切なこの気持ちを、後悔すると勝手に決めつけないで。
後悔なら沢山した。もうこれ以上、後悔するつもりもないよ。』
『でも、だけど、…誰かを思うのは、辛い…。
それが、すごく、強い気持ちなら、すごく辛いです…!
私も、苦しくなった事、沢山、あるから。
嫉妬したり、ずっともやもやしたり、そういうのが、凄く、辛い時があるから、』
『よく分かるよ。ありがとう、サイカ。俺を気持ちを、心を思ってくれて。でも大丈夫なんだ。
俺は、君の側で勝手に幸せになるから。
サイカは気にしなくて大丈夫。
俺が勝手に、一方的に君の側にいたいだけ。君は俺を受け入れなくともいい。
だけど俺の幸せを、否定だけはしないで。』
『…ごめ、なさい…、』
『誰も否定出来ない、否定させない。俺の、君を愛する心を。
君は俺の宝だ。色褪せない愛。永遠の初恋。君の幸せが、俺の幸せだ。生涯君だけに俺の愛を捧ぐよ。老いてもずっと。俺の心は君だけに。この愛だけは、否定しないで。
俺の幸せを、君だけは否定しないで。』
ああ、何て尊い愛だろう。
真っ直ぐな愛。サーファス様の重く、優しい愛。
今の私には返せるものがない。
だけどきっとこの男は、その言葉通り生涯私を愛し続けるだろう。
決して色褪せる事のないまま。老いて死ぬまで、ずっと。
如何に彼に愛されているかを、私はこの先の人生で思い知る。
サイカ・クライス。双方の婚約をレスト帝国皇帝、マティアス・ベルフォーレ・レストが認める。」
リュカが私の前に跪く。マティアスや集まった人たちに見せつけるように、誓うその言葉。
「僕の婚約者となったサイカ・クライス侯爵令嬢を生涯守り、生涯の愛を誓う。」
「はい。末永く、お願いします。
リュカ・シルフィード・クラフ公爵様。」
リュカ、ヴァレ、カイルの三人が私の婚約者となる事が周りに認められ、私は今日、めでたくリュカと婚約の書面にサインをした。
この世界は日本とは全く違う。まだまだ色んな差別や格差が当然のようにあって、でも重婚は認められていたりと変な所も多い。
権力や地位が人生を左右する、生きるのも厳しいそんな世界。
皆との婚約も全員一緒とはいかず序列を設けなければならなかった。
序列一位がマティアス。序列二位がリュカ。
三位がヴァレリアで、四位がカイル。
婚約式も色々と準備をしなくてはいけないのでヴァレとが三ヶ月先、カイルとが半年先になった。
「……ふう。」
「疲れたか?」
「少しだけ。沢山人に囲まれるとやっぱり緊張します。」
「僕は緊張より嬉しい気持ちが大きかったな。
…やっと、堂々と交際出来る。」
「あ、う、…それは、私も嬉しい、です…けど、」
「この日を迎える為に沢山我慢した。
恋人としてではなく公爵として接するのは中々辛いものだった。気が狂いそうになる程。
…やっと、お前を抱き締める事が出来る。
誰の目も気にする事なく…クライス令嬢ではなくサイカと呼んで抱き締める事が出来る…。本当に長かった…。」
久しぶりのリュカの体温。
抱き締められ、リュカの匂いに包まれる。
本当に久しぶりだ。抱き締められるのも、キスをされるのも。
はぁ、と熱い、潤んだ目で見つめられるのも。
本当に随分久しぶりだった。
「俺もいるんだが。」
「私もいます。」
「…俺も、いる。」
「知ってるが。」
「わあぁ!!」
そうだった!この部屋に集まるんだった!と思い出し急激に恥ずかしくなった。
「……態と?」
「久しぶりなんだ。いいだろう別に。」
「……いいよ、別に。俺もするから。」
「え?」
軽々とカイルに横抱きに抱えられ、彼の膝の上にそのまま下ろされる。
囲うように抱き締められて、ぐりぐりと肩にカイルの頭が擦り付けられる。
「カイル殿、少し寄って頂けますか?」
「…ん。」
右隣にヴァレが座り、カイルの腕越しに私を抱き締めて頬に口付けをする。
「…ああ、久しぶりのサイカ…安心します。」
私を抱えたまま中心に座るカイル。その左にリュカ、右にヴァレリア、そして正面にどかりとマティアスが座った。
…不機嫌そうな顔で。
「まあ、今日くらいはな。俺の寛大な心に感謝するといい。」
にやりと笑って冗談ぽくそう言うマティアスに、“はいはいどうも”“有り難う御座います”“サイカ、大好き”と各々が返した。
…カイルのは、マティアスへの言葉じゃなかったけれど。
「ふふ。」
ああ。この一瞬一瞬が愛おしい。大切な時間だと感じる。
「サーファス殿はディーノと一緒に来る。
揃ってから、改めて祝おう。」
広い客室の中には沢山の料理と飲み物が並んでいる。
式では色んな人に囲まれるからゆっくりと食べ飲みは出来ない。
夕方から始まったリュカとの婚約式は、もうすっかり夜になっていた。
今回の功績で、ヴァレ、そしてカイルの二人には高い地位が与えられ、今日の婚約式は二人の祝いの場でもあった。
「ヴァレ、カイル、改めておめでとう。」
「有り難う御座います。
貴女を妻に迎えるには相応しい地位がないといけませんからね。
もう少し長い時間がかかる予定でしたが…今回の件があって、結果的には良かったと言えます。」
「…家、買った。
帝都の、すぐ近く。そんなに、大きくはない、けど。
……可愛い部屋に、する。気に入ってくれたら、嬉しい…。」
「騎士たちからのやっかみが凄いらしいな、カイル。」
「ん。……手合わせの時、凄い…。八つ当たりされる。
でも、勝つ、けど。
“サイカ嬢の婚約者とか羨ましいです死んで下さい”って、集団で向かってくる…。」
「はは!騎士たちはサイカを慕っているようだからな。
どうも崇拝しているらしい。中々に愉快だった。」
「…何だそれは。大丈夫なのか、この国の騎士たちは。」
「ふふ。サイカはレスト帝国の至宝。宝石姫ですからね。」
「…誰もを魅了する美しさは宝石の如く。いや、実際は宝石にも勝る、か。
レスト帝国の至宝とはよく言ったものだ。
その通り。サイカは俺の至宝よ。」
「む。…陛下だけ、違う。…俺たちの、…です。」
「そうですね。私たちの宝です。」
今回の事があって、私は周りからもの凄いイメージを持たれてしまった。
“か弱い”“国を上げて守らなくてはならない”“レスト帝国の至宝”“宝石姫”
……正直に言おう。誰なのそれ。か弱い…のはか弱いのかも知れない。女は男の力にはどうしても敵わないし、か弱いのはまだ分かる。
国を上げて守る存在……なのか。でもあんな事件が起こってしまったのだからそれも、…そうなのかも知れない。
レスト帝国の至宝、宝石姫とはなんぞや。止めて…そんな大層な通り名付けないで欲しかった…!
“レスト帝国の至宝”“宝石姫”などなど…新聞で大きく取り上げられているのを見るたび、気が滅入りそうになる。
「…だが。お前は清く正しく、そして優しく美しい、お伽噺に出てくるような女神そのものの存在じゃない。悔しいがサーファス殿の言う通りだった。
奔放な所も優柔不断な所も。人間らしい汚く、醜い部分も当然ある。
綺麗も汚いも含め、お前は僕たちの宝だ。僕の女神で、愛する女だよ。」
「あむ、」
どんなお前でも愛している、と一言告げて。リュカは私に口付ける。
リスティアからレスト帝国に帰る船の中、私は改めて皆の思い、愛を伝えられたのだ。
サーファス様が私自身が気付かなかった負担に気付いて、心を軽くしてくれた。
それは小さなものだった。小さなものが少しずつ重なって、重くなって。
でも気付かない。もしかしたらサーファス様に指摘されるまでも気付かない振りをしていただけなのかも知れない。
誰かの、皆の想像、理想の私。そうしたいと思ったのは私だったろうし、そうあれとしたのも私自身だ。
それをサーファス様は気付かせてくれた。気付いて、受け入れてみれば何て心が軽い。
サーファス様の思いがこもった手紙を読むたび、嬉しい気持ちと受け入れたい気持ちがあった。
ちゃんと考えよう。そう思って沢山悩んで、どうするかを考えた。
なし崩しにもしたくない。いいや、してはいけない。
想いにはきちんと答えを出さなければならない。
考える。マティアスのこと、ヴァレリアのこと、カイルのこと、リュカのこと、私自身のこと。
以前までの環境、今の環境、身分。
私はもう娼婦じゃない。貴族令嬢になってしまった。
受け入れるだけの以前と、受け入れるだけじゃなく、その先の事まで考えなくてはならない今は重みも違う。
色んな事を考え、行動しなくてはならない。
学ぶ事も多く、この先の苦労もまだ多いだろう。
色んな事を考えた時、これ以上は抱えられないと気付いた。
手の中にあるものはどれも捨てられない、どれもが大切なものだった。
もう、何か重く、大切なものを受け入れる余裕はなかった。
受け入れてしまえばきっと、何かが溢れてしまうだろう。
どれも重い。どれも大切。今、私の手の中にあるものは全て、どれもが愛しいものだった。
捨てていいものなど、何一つなかった。
放ってもおけない、そんな曖昧な気持ちではあるけれど、それでも何かを切り捨てなければならないのなら…私には手の中にあるものを選ぶ、その選択肢しかない。
マティアスとヴァレと、カイルとリュカ。四人で精一杯なのだと自分が受け入れられる限界に気付いたから、正直にサーファス様に伝えた。
それでサーファス様自身が納得して、それでも諦めないのなら、それはもう、私にだってどうする事は出来ないのだと割り切る事にした。
人の想いを断ち切るなんて、誰かがどうこう出来るものじゃない。
それが強く、とても強い想いであるのなら。
本人が納得して、満足して、本人の意思で初めて、どっちかの決断をする。
何かを選択する時は、結局自分の心や感情で判断し選択するのだから。
私は今回、自分が一人の人間であると改めて強く思った。
誰かを振り回す、傷付ける。それをやってしまうどうしようもない人間であると気付いた。
だけどそれだけじゃない。気付かなかった事に気付いて、認めて受け入れてみれば、私は少しだけ成長した私になっていた。
傷付ける相手がいても、誠実でありたい。
偽りや嘘や言い訳で心を固めて苦しむよりも、嫌われても失望されてもいいからどうしようもない私をさらけ出してしまった方がずっといい。
それが出来たなら、きっと私は真っ直ぐぶつかる事が出来る。
嫌われても失望されても、そこで何もしない、立ち止まる事なく、相手を追う事が出来るはずだから。
信用、信頼を取り戻す。嫌われてしまって、元の好きの状態に戻すのも凄く苦労する。
だけど動かなければ、いい方向に変わる可能性すらない。
この先何度も、私は皆を失望させるだろう。
時には疎ましいと思われる事もあるだろう。
もしかしたら、想像したくない未来もあるかも知れない。
そうなった時に、追いかけたいから。本当の意味で失いたくないから、もう隠す事はしない。
どんな私も受け入れてほしい。綺麗も汚いも、一人の愚かな人間であるありのままの私を知ってほしい。
そんな私の想いをサーファス様が気付いて、先に皆に伝えてくれていた。
本当は全部を自分で伝えた方が良かったと思うけど、結果的にサーファス様が伝えてくれて良かったのかも知れないと今は思う。
きっと上手く伝える事は出来なかったから。
情けなくて、どうしようもない自分をさらけ出すのは、やっぱり恐いから。
伝えながら、言い訳を探そうとするから。許されたいと、自分可愛さが出てしまうだろうから。
サーファス様が先に話をしてくれたお陰で、私は自分可愛さを出す事もなく、言い訳を探す事もなく皆に伝える事が出来たのだ。
知られているんだと、それが頭にあったから、取り繕う事はなかった。
そしてマティアスは、ヴァレリアは、カイルは、リュカは、お義父様は。愚かな私を受け入れてくれた。
そしてサーファス様も、私の思いを納得した上で、改めて自分の気持ちを伝えてくれた。
船の中、サーファス様は清清しい表情で私に伝える。
『君の負担になるなら、俺を受け入れなくていいよ。
サイカはサイカの手の中のものを大切にする、それだけでいい。
俺はねサイカ。前に君と話をした時、俺の役割がはっきりと分かったんだ。』
『…役割…?』
『そう。役割。
今、ここにいる陛下、クラフ公爵、クライス侯爵。
レスト帝国で待っているウォルト卿、ディアストロ卿。
皆それぞれ君にとって違う役割がある。
誰もが君の大切、愛しい存在。だけと人は、好きだと思う理由が皆一緒なわけじゃない。』
『……。』
『クライス侯爵は父親という役割がある。無償の愛だ。
マティアス陛下は君にとって、世界で一番安堵する場所だろう。陛下は君を、誰よりも強固に守っている。
クラフ公爵は君に対し必要であれば、厳しい目で見て諭してくれる。彼と君は対等なんだ。強く言い合える。
ウォルト卿は君の何もかも肯定し、受け入れる。彼の優しさは楽天的に見えて考え込みやすい君の救いでもある。
カイル卿には癒しが。強い母性と恋情、愛情が絶妙な加減で君の中で折り混ざって存在している。』
サーファス様の分析は当たっていた。
それぞれへの愛情が全く一緒の理由であるはずがない。
それぞれ、全く違う一人の人間なのだから。
同じ愛情じゃない。理由がある。
誰かを好きになる、嫌いになる、愛する。それは全て、何かしらの理由があるのだ。魅力を感じる部分が。
気が合う、安らぐ、お金がある、容姿が、身分が。
そう。人は色んな好きの理由があって、人といる。
『俺の役割はね。君を支える事だよ、サイカ。
君の心に寄り添う事。肯定し、諭し、君が色んな事に気付いて、受け入れられるように。
君が気付けるように。自覚出来るように。俺が先に気付いて、君を導く事。それが俺の役割。』
『……。』
『ありがとうサイカ。俺は、もう大丈夫。
君のお陰で、俺は自分自身を受け入れる事が出来た。
君が俺の手を取ってくれたお陰で、俺に沢山怒ってくれたお陰で、俺はね、色んな感情を表に出そうと思う事が出来た。
嘘じゃないって、分かる?』
『…はい。嘘じゃないって、ちゃんと分かります。
サーファス様の顔、…とても素敵な顔だから。』
『うん。俺の思いを受け入れる容量はない。それはちゃんと分かった。
これは俺の、一方的な思いだから、そう思ってくれるだけでいい。
君は大切なものを守る、それだけでいいんだ。
俺が、君の大切なものごと、包むから。俺の幸せは、君の心に寄り添う事。それが俺の幸せで、陛下たちにも認めてもらったよ。今回の件のご褒美としてね!』
周りを見ると、マティアスたちが小さく頷いていた。
今の私に、サーファス様を受け入れる余裕はない。
私が大切に出来るものは、この手のひらの中だけ。
サーファス様の思いに答える事は難しい。
真っ直ぐな気持ちはとても嬉しい。けれどとても重いもの。
同じ愛情を返す事が出来ない。
今あるのは同情と友情であり、恋じゃないと気付いたから。
サーファス様の真っ直ぐな好意に酔いしれ喜んでいた最低な私に気付いて、考えて、出した気持ちは同情と友情だった。
未来の話は分からない。もしかしたら私は、サーファス様に恋をするかも知れない。
そういう未来もあるかも知れない。
けれど、ここではっきりと伝えておかないのは。どうなるか分からない未来を盾にして、曖昧にしたままでいるのは、それはきっと、サーファス様が苦しいから。もの凄く、苦しいはずだから。
例え今、サーファス様との関係が終わろうとも、ちゃんと伝えるべきだと思った。
失うと思うと、苦しい。とても悲しい。短い期間でも、思い出はあるから。大きな情が、確かに心にあるから。
『私は、私、は。
サーファス様に、恋愛感情を、持って、いません。
好きです。サーファス様が、大好きです。
でも、それは、恋じゃなく。大切な友人で、そういう、大切な、だから、幸せに、なって欲しい…!
サーファス様に、幸せに、私を、思う、思い続けるのは、いつか、後悔、する日が、』
『駄目だよサイカ。
俺の気持ちを勝手に決めつけないで。
俺の大切なこの気持ちを、後悔すると勝手に決めつけないで。
後悔なら沢山した。もうこれ以上、後悔するつもりもないよ。』
『でも、だけど、…誰かを思うのは、辛い…。
それが、すごく、強い気持ちなら、すごく辛いです…!
私も、苦しくなった事、沢山、あるから。
嫉妬したり、ずっともやもやしたり、そういうのが、凄く、辛い時があるから、』
『よく分かるよ。ありがとう、サイカ。俺を気持ちを、心を思ってくれて。でも大丈夫なんだ。
俺は、君の側で勝手に幸せになるから。
サイカは気にしなくて大丈夫。
俺が勝手に、一方的に君の側にいたいだけ。君は俺を受け入れなくともいい。
だけど俺の幸せを、否定だけはしないで。』
『…ごめ、なさい…、』
『誰も否定出来ない、否定させない。俺の、君を愛する心を。
君は俺の宝だ。色褪せない愛。永遠の初恋。君の幸せが、俺の幸せだ。生涯君だけに俺の愛を捧ぐよ。老いてもずっと。俺の心は君だけに。この愛だけは、否定しないで。
俺の幸せを、君だけは否定しないで。』
ああ、何て尊い愛だろう。
真っ直ぐな愛。サーファス様の重く、優しい愛。
今の私には返せるものがない。
だけどきっとこの男は、その言葉通り生涯私を愛し続けるだろう。
決して色褪せる事のないまま。老いて死ぬまで、ずっと。
如何に彼に愛されているかを、私はこの先の人生で思い知る。
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