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2ネイビー伯爵家での日々の始まり//幼少期
2-17 ルビー侯爵家、来訪
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翌日、ルビー侯爵夫妻がエリック様を連れて 謝罪に来たいという打診が有りました。
痛い思いをしたのはエリック様の方なので謝罪には及ばないという父上と謝罪を受け入れて欲しいと言うルビー侯爵との押し問答の挙句、王立学園で学友となる僕の所にエリック様がご両親と共に遊びにいらっしゃるという事で落ち着きました。僕として迷惑です。が、もう決定事項です。明日にはいらっしゃるそうです。武の一族、行動が迅速です。
侯爵家の質実剛健な馬車がわが家に到着したのは午後のお茶の頃でした。そして、子供は子供同士という理由で、今、エリック様は僕の部屋、僕の目の前にいます。
「お前とだけ話しをしたいんだが?」
ソファに座ったエリック様はティーカップには手も付けず目線でエディを追い出せと言います。
「私は主人であるヒビキ様と常に一緒に居ります。それにヒビキ様とお嬢様に害をなそうとした方とヒビキ様を二人きりにするわけには参りません」
「という事ですので、エディはいないモノとお考え下さい」
フンとエリック様は鼻を鳴らしました。
「俺はお前に謝罪するつもりはない。剣で勝負しろ。もしそれでお前が勝ったら謝る」
エリック様って謝りに、もしくは遊びに来たのではなかったのでしょうか?剣で勝負と言われても、まだ習ってないでしょ普通の子供は…さて、どうしましょうか?
「主人の代わりに私では?」
ちょっとエディ、ダメだよ、子供をいじめちゃ
「使用人風情が偉そうに。俺を舐めるな。3歳から剣を握っているんだぞ」
エリック様、エディを使用人だと思って舐めているのはそちらですよ。
「あいにくこれしかないですが これでいかがでしょうか?」
エディが出したのはハタキです。そうだねハタキならケガしない……よね?
「相手の身体に当てた方が勝ちです」
エリック様は目の前に差し出されたハタキを手にして不満顔ながら頷きました。
「では そちらで」
ドアとソファセットの横の空間をエディが手で示します。こんな狭いところで?!エディを見ればエディはニコリと笑うし、エリック様はハタキをビュビュっと振りながら移動してしまいました。
「ヒビキ様 号令をかけてください」
二人が構えたのを見て、僕も諦めます。
「レディ ゴオ」
オ を言うのと同時にエディのハタキはエリック様の左肩の上に有りました。
「今のは油断した。もう一度」
今度は、エディのハタキはエリック様の右肩の上に
「掛け声は俺が自分で言う レディ!」
エリック様 ゴオって言いましたか?って僕が想う頃にはエディのハタキはエリック様の横腹にピタリとついていました。
「もう一度」
「飽きたから嫌です」
つまらなそうにエディが言ってエリック様からハタキを回収しようとしますがエリック様はハタキを放しません。
「俺のいう事が聞けないのか?」
「はい。私の主人はあなた様ではございませんので」
エディはエリック様のハタキを回収するのを諦めたようにエリック様に背を向けました。
「ヒビキ様 アイツに命じて下さい」
あ エリック様が僕にお願いしました。しょうがない聞いてあげましょう
「エディ 最後にもう一回だけお願い!」
「かしこまりましたあ」
はい 瞬殺。そのタイミングでノックの音がして、メイドが新しいお茶を持ってきました。
「今日は俺は調子が出ない。いつもなら剣の教師にだって負けないのに」
やっと エリック様がお茶を飲んでくれました。
「ビイ様、エリック様は学園入学前にしてはお上手な方です。ですが学園にはその程度の一年生は大勢いらっしゃいます」
エディ、僕に話しかける体でエリック様を煽るのは止めて欲しいです。
「おい 使用人、俺はルビー侯爵家の剣術指南に認められている腕前なんだぞ。ハタキじゃなくて剣だったらぶちのめしてやれたのに」
「ビイ様ルビー侯爵家の剣術指南は生徒にやる気を出させる為におだてるのが上手なようですね。なかなか良い指導方法です。私も見習いましょう」
だからエディってば止めてよ。ほらティーカップをテーブルに戻しちゃったじゃない。
「お前ルビー家に来ないか?教師として雇ってやる」
は?いきなりエディを引き抜きですか?僕は首をひねって後ろに立つエディを見上げます。
「お断りします。ミントン子爵家がお仕えするのはネイビー伯爵家だけでございますので」
「子爵家?」
トントントン
再びノックの音がしてエディがドアを開けると、うちのメイドと一緒にルビー侯爵家のメイドが居ました。
「お帰りのお時間でございますので」
「了解した」
エリック様は僕の部屋を出ますが、謝罪はどこに行ったのでしょうか?エディにあんなに負けたんですから謝罪すべきですよね?お忘れ、なんですね。ま、いいか。
ルビー侯爵家の馬車を見送ってどっと疲れた僕がティールームのソファに埋まると、母上が僕の横に、父上が僕の前に座りました。
「ビイは楽しかった?」
母上、今の僕が楽しそうに見えますか?
「母上は?」
「とても楽しかったわ。今まで騎士や武の一族の方とゆっくりお話しする機会がなかったから新しい考え方が聞けてよかったわ これもビイのおかげね?」
せめて母上が楽しかったようで良かったです
「ビイも楽しかっただろう?エリック様が、時間がとても足りなかったから今度は招待すると言ってらしたよ。」
父上、それはどこのエリック様ですか?楽しかったとか招待するとか外堀を埋めにかかっている狙いはエディでしょうか?
痛い思いをしたのはエリック様の方なので謝罪には及ばないという父上と謝罪を受け入れて欲しいと言うルビー侯爵との押し問答の挙句、王立学園で学友となる僕の所にエリック様がご両親と共に遊びにいらっしゃるという事で落ち着きました。僕として迷惑です。が、もう決定事項です。明日にはいらっしゃるそうです。武の一族、行動が迅速です。
侯爵家の質実剛健な馬車がわが家に到着したのは午後のお茶の頃でした。そして、子供は子供同士という理由で、今、エリック様は僕の部屋、僕の目の前にいます。
「お前とだけ話しをしたいんだが?」
ソファに座ったエリック様はティーカップには手も付けず目線でエディを追い出せと言います。
「私は主人であるヒビキ様と常に一緒に居ります。それにヒビキ様とお嬢様に害をなそうとした方とヒビキ様を二人きりにするわけには参りません」
「という事ですので、エディはいないモノとお考え下さい」
フンとエリック様は鼻を鳴らしました。
「俺はお前に謝罪するつもりはない。剣で勝負しろ。もしそれでお前が勝ったら謝る」
エリック様って謝りに、もしくは遊びに来たのではなかったのでしょうか?剣で勝負と言われても、まだ習ってないでしょ普通の子供は…さて、どうしましょうか?
「主人の代わりに私では?」
ちょっとエディ、ダメだよ、子供をいじめちゃ
「使用人風情が偉そうに。俺を舐めるな。3歳から剣を握っているんだぞ」
エリック様、エディを使用人だと思って舐めているのはそちらですよ。
「あいにくこれしかないですが これでいかがでしょうか?」
エディが出したのはハタキです。そうだねハタキならケガしない……よね?
「相手の身体に当てた方が勝ちです」
エリック様は目の前に差し出されたハタキを手にして不満顔ながら頷きました。
「では そちらで」
ドアとソファセットの横の空間をエディが手で示します。こんな狭いところで?!エディを見ればエディはニコリと笑うし、エリック様はハタキをビュビュっと振りながら移動してしまいました。
「ヒビキ様 号令をかけてください」
二人が構えたのを見て、僕も諦めます。
「レディ ゴオ」
オ を言うのと同時にエディのハタキはエリック様の左肩の上に有りました。
「今のは油断した。もう一度」
今度は、エディのハタキはエリック様の右肩の上に
「掛け声は俺が自分で言う レディ!」
エリック様 ゴオって言いましたか?って僕が想う頃にはエディのハタキはエリック様の横腹にピタリとついていました。
「もう一度」
「飽きたから嫌です」
つまらなそうにエディが言ってエリック様からハタキを回収しようとしますがエリック様はハタキを放しません。
「俺のいう事が聞けないのか?」
「はい。私の主人はあなた様ではございませんので」
エディはエリック様のハタキを回収するのを諦めたようにエリック様に背を向けました。
「ヒビキ様 アイツに命じて下さい」
あ エリック様が僕にお願いしました。しょうがない聞いてあげましょう
「エディ 最後にもう一回だけお願い!」
「かしこまりましたあ」
はい 瞬殺。そのタイミングでノックの音がして、メイドが新しいお茶を持ってきました。
「今日は俺は調子が出ない。いつもなら剣の教師にだって負けないのに」
やっと エリック様がお茶を飲んでくれました。
「ビイ様、エリック様は学園入学前にしてはお上手な方です。ですが学園にはその程度の一年生は大勢いらっしゃいます」
エディ、僕に話しかける体でエリック様を煽るのは止めて欲しいです。
「おい 使用人、俺はルビー侯爵家の剣術指南に認められている腕前なんだぞ。ハタキじゃなくて剣だったらぶちのめしてやれたのに」
「ビイ様ルビー侯爵家の剣術指南は生徒にやる気を出させる為におだてるのが上手なようですね。なかなか良い指導方法です。私も見習いましょう」
だからエディってば止めてよ。ほらティーカップをテーブルに戻しちゃったじゃない。
「お前ルビー家に来ないか?教師として雇ってやる」
は?いきなりエディを引き抜きですか?僕は首をひねって後ろに立つエディを見上げます。
「お断りします。ミントン子爵家がお仕えするのはネイビー伯爵家だけでございますので」
「子爵家?」
トントントン
再びノックの音がしてエディがドアを開けると、うちのメイドと一緒にルビー侯爵家のメイドが居ました。
「お帰りのお時間でございますので」
「了解した」
エリック様は僕の部屋を出ますが、謝罪はどこに行ったのでしょうか?エディにあんなに負けたんですから謝罪すべきですよね?お忘れ、なんですね。ま、いいか。
ルビー侯爵家の馬車を見送ってどっと疲れた僕がティールームのソファに埋まると、母上が僕の横に、父上が僕の前に座りました。
「ビイは楽しかった?」
母上、今の僕が楽しそうに見えますか?
「母上は?」
「とても楽しかったわ。今まで騎士や武の一族の方とゆっくりお話しする機会がなかったから新しい考え方が聞けてよかったわ これもビイのおかげね?」
せめて母上が楽しかったようで良かったです
「ビイも楽しかっただろう?エリック様が、時間がとても足りなかったから今度は招待すると言ってらしたよ。」
父上、それはどこのエリック様ですか?楽しかったとか招待するとか外堀を埋めにかかっている狙いはエディでしょうか?
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