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3王立学園に入学//少年期1
3-3 憂鬱
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翌朝、姉上と並んで教室棟へ向かっていると後ろからリックに声をかけられた。少し立ち止まり三人で歩き始めようとした時
「おーい、リック」
更に後ろからリックに声をかけた者がいる
「おうアーサー おはよう」
僕は頭の中の名簿からアーサーという名前を見つける。アーサー カーマイン侯爵令息Bクラス所属。彼は僕を一瞥したくせに僕には挨拶もしない
「リック、こいつか?運だけのニセモノ伯爵令息は?」
「アーサー?!」
リックが咎める様な声を出すけれど
「おい ちょっとオレにもツキを分けてくれよ」
アーサーが僕の胸を触ろうと、というより突飛ばそうと手を伸ばす。ああ、これ知ってるヤツ……既視感
「やめとけ」
リックがいう頃には僕はこちらに向かって来る手を掴んで、ひねっていた。リックがあーあ と言わんばかりに片手で額を押さえて首を横に振っている。
「痛い!卑怯者」
ねえまたコレですか?リックの方をチラリと見てから手を放して離れる。リックが困ったような顔をしてアーサーの肩を抱いて僕から離すけれど、アーサーはなぜか臨戦態勢でいる。
「アーサー、おやめなさい。見ていましてよ」
声の主は赤髪の背の高い女生徒、クレナイ公爵令嬢。近くに来ると僕よりも頭ひとつ位大きい。
「ビビアン様」
「アーサー、あなたが先に手を出しましたね?」
「ビビアン様、コイツは男爵家出身の癖に、伯爵家に入り込んだ実力もない偽の伯爵――」
突然、後ろから僕とアーサーの頭が掴まれた。ビックリするやら痛いやら… 振り向きたくても上から掴まれているから頭が動かない
「君たち、通行の邪魔になっているから早く教室へ行きなさい」
きつい口調での注意が上から降って来て、頭が解放される。声の主は体格の良い男性、多分学園の関係者だろう。
「他の者も、立ち止まらないで行きなさい」
僕達は、そして周りに出来ていた人垣も教室に向かって動き出した。
公爵令嬢にケンカの仲裁をしてもらったのだから、いくら学園の中とはいえそのまま済ませる訳には行かず、ビビアン様のところにお礼を言いに行く
「ビビアン様、今朝はありがとうございました。ヒビキ・ネイビーと申します。」
「エリザベス・ネイビーと申します。昨日は新入生代表としてご挨拶頂きありがとうございました。」
「あら、お二人とも王家のお茶会でご一緒しましたわね」
「ええ、あの時は、まだ子供でしたので緊張してしまって……、お話できなかったことを後でとても後悔しました」
そう、リックにも指摘された、僕の黒歴史。
「まあ そうでしたの」
ビビアンが口元に手を当てて微笑む姿は、大人びていてとても同級生とは思えない。
「ビビアン様、これからはクラスメイトとしてよろしくお願いいたします。」
姉上ともう一度 礼をしてその場を離れる。
ランチは皆で一緒に食べようと、いつものメンバーが中庭でランチボックスを広げる。
「ビイ、朝はうちのアーサーがごめんな 普段はあんなコトしないんだけどなあ」
「うちの?」
「ああ 俺たち武の家系って小さいころから集まって一緒に稽古したり、親たちが酒飲んでる横で子供同士はメシ食ってたり、ケンカしたりしてんからさ、家族みたいな感じ有るんだよな。
でさ、俺ら武の家系の中で、ビイなにか誤解されてんだよ。俺も最初は誤解してたんだけどさ、なんだか変な話になってるんだよなあ」
リックがリックにしては歯切れの悪い言い方をする。
「僕が、運の良さの上に胡坐書いてるヤツって?」
「ごめん…」
リックが謝るって事は正解なんだな。
「なんで そうなっちゃうかなあ?」
僕は広げたランチボックスの上に溜息を落とす。
「命がけの騎士にとって運は重要な要素」
「それだけに運が良すぎるって感じる人に、やっかみを抱いてしまう。とうことなのではないかしら」
エウ、ユウが解説するけど、やっかまれる方はたまったもんじゃないよ。
「養子ってさあ、よその家に行くわけだろ、それって幸運な、あ、ごめんビイ」
言いかけたフィルが黙る、うん、僕はそういう意味では幸運だよね、それでも偽とか言われるのは不本意で、はあ、溜息をつくと、姉上が頭を撫でてくれた。
「大丈夫よ。ビイがネイビー伯爵家にふさわしい人間だってことは、そのうちに皆わかってくるわよ」
「いや、そのうちじゃダメだ。誤解をとくのは早い方がいい。明日の放課後にでもアーサーと武の一年生に声かけるから、ビイもちょっと顔出してくれるか?」
武の家系はせっかちだなあ…… リックが何とかしようと思ってくれるのは嬉しいけど
「どうするのさ?」
「まだ決めてねーけど、ほっとくの良くない気がすんだよな。カンだけどな」
迅速だけど計画性が無いなあ、いつもの事だけどね
「わたくしは構わないわよ。迎えの者には今日の帰りに伝えましょう」
姉上は巻き込みたくないのに一緒に行く気満々ですね。
帰宅して早々、僕はティールームでお気に入りの大きなソファに埋もれている。リック達とのランチを終えて教室に戻ると早々にビビアンから声をかけられ、明日の放課後の武の家系のお茶会に招待されたのだ、もちろん姉上も一緒に。
『運命神』の話があって、母上の潜入捜査を知って……それだけでも自分の中でいっぱいいっぱいなのに、なんで初見の同級生に絡まれて、ソイツがいるお茶会に行かなくちゃなんないのか訳が分からない。まだ 学校が始まってまだ二日なのに疲れたなあ。
誰かが「お茶はいかがですか」って言ってくれたらお願いしよう。開けたままにしてあるドアの向こうを誰か通らないかなあっと思って横になったままドアの向こうを見つめる
「ビイ様 心がお疲れの時は身体を動かしましょう。護身術かダンスでも?」
声をかけてきたのはエディだった……エディはダンスも上手なんだよな」
「あーうん じゃあ護身術の方で…」
確かに、身体を動かす、というかエディの攻撃を受けていると考え事どころじゃなくなるよね。
「おーい、リック」
更に後ろからリックに声をかけた者がいる
「おうアーサー おはよう」
僕は頭の中の名簿からアーサーという名前を見つける。アーサー カーマイン侯爵令息Bクラス所属。彼は僕を一瞥したくせに僕には挨拶もしない
「リック、こいつか?運だけのニセモノ伯爵令息は?」
「アーサー?!」
リックが咎める様な声を出すけれど
「おい ちょっとオレにもツキを分けてくれよ」
アーサーが僕の胸を触ろうと、というより突飛ばそうと手を伸ばす。ああ、これ知ってるヤツ……既視感
「やめとけ」
リックがいう頃には僕はこちらに向かって来る手を掴んで、ひねっていた。リックがあーあ と言わんばかりに片手で額を押さえて首を横に振っている。
「痛い!卑怯者」
ねえまたコレですか?リックの方をチラリと見てから手を放して離れる。リックが困ったような顔をしてアーサーの肩を抱いて僕から離すけれど、アーサーはなぜか臨戦態勢でいる。
「アーサー、おやめなさい。見ていましてよ」
声の主は赤髪の背の高い女生徒、クレナイ公爵令嬢。近くに来ると僕よりも頭ひとつ位大きい。
「ビビアン様」
「アーサー、あなたが先に手を出しましたね?」
「ビビアン様、コイツは男爵家出身の癖に、伯爵家に入り込んだ実力もない偽の伯爵――」
突然、後ろから僕とアーサーの頭が掴まれた。ビックリするやら痛いやら… 振り向きたくても上から掴まれているから頭が動かない
「君たち、通行の邪魔になっているから早く教室へ行きなさい」
きつい口調での注意が上から降って来て、頭が解放される。声の主は体格の良い男性、多分学園の関係者だろう。
「他の者も、立ち止まらないで行きなさい」
僕達は、そして周りに出来ていた人垣も教室に向かって動き出した。
公爵令嬢にケンカの仲裁をしてもらったのだから、いくら学園の中とはいえそのまま済ませる訳には行かず、ビビアン様のところにお礼を言いに行く
「ビビアン様、今朝はありがとうございました。ヒビキ・ネイビーと申します。」
「エリザベス・ネイビーと申します。昨日は新入生代表としてご挨拶頂きありがとうございました。」
「あら、お二人とも王家のお茶会でご一緒しましたわね」
「ええ、あの時は、まだ子供でしたので緊張してしまって……、お話できなかったことを後でとても後悔しました」
そう、リックにも指摘された、僕の黒歴史。
「まあ そうでしたの」
ビビアンが口元に手を当てて微笑む姿は、大人びていてとても同級生とは思えない。
「ビビアン様、これからはクラスメイトとしてよろしくお願いいたします。」
姉上ともう一度 礼をしてその場を離れる。
ランチは皆で一緒に食べようと、いつものメンバーが中庭でランチボックスを広げる。
「ビイ、朝はうちのアーサーがごめんな 普段はあんなコトしないんだけどなあ」
「うちの?」
「ああ 俺たち武の家系って小さいころから集まって一緒に稽古したり、親たちが酒飲んでる横で子供同士はメシ食ってたり、ケンカしたりしてんからさ、家族みたいな感じ有るんだよな。
でさ、俺ら武の家系の中で、ビイなにか誤解されてんだよ。俺も最初は誤解してたんだけどさ、なんだか変な話になってるんだよなあ」
リックがリックにしては歯切れの悪い言い方をする。
「僕が、運の良さの上に胡坐書いてるヤツって?」
「ごめん…」
リックが謝るって事は正解なんだな。
「なんで そうなっちゃうかなあ?」
僕は広げたランチボックスの上に溜息を落とす。
「命がけの騎士にとって運は重要な要素」
「それだけに運が良すぎるって感じる人に、やっかみを抱いてしまう。とうことなのではないかしら」
エウ、ユウが解説するけど、やっかまれる方はたまったもんじゃないよ。
「養子ってさあ、よその家に行くわけだろ、それって幸運な、あ、ごめんビイ」
言いかけたフィルが黙る、うん、僕はそういう意味では幸運だよね、それでも偽とか言われるのは不本意で、はあ、溜息をつくと、姉上が頭を撫でてくれた。
「大丈夫よ。ビイがネイビー伯爵家にふさわしい人間だってことは、そのうちに皆わかってくるわよ」
「いや、そのうちじゃダメだ。誤解をとくのは早い方がいい。明日の放課後にでもアーサーと武の一年生に声かけるから、ビイもちょっと顔出してくれるか?」
武の家系はせっかちだなあ…… リックが何とかしようと思ってくれるのは嬉しいけど
「どうするのさ?」
「まだ決めてねーけど、ほっとくの良くない気がすんだよな。カンだけどな」
迅速だけど計画性が無いなあ、いつもの事だけどね
「わたくしは構わないわよ。迎えの者には今日の帰りに伝えましょう」
姉上は巻き込みたくないのに一緒に行く気満々ですね。
帰宅して早々、僕はティールームでお気に入りの大きなソファに埋もれている。リック達とのランチを終えて教室に戻ると早々にビビアンから声をかけられ、明日の放課後の武の家系のお茶会に招待されたのだ、もちろん姉上も一緒に。
『運命神』の話があって、母上の潜入捜査を知って……それだけでも自分の中でいっぱいいっぱいなのに、なんで初見の同級生に絡まれて、ソイツがいるお茶会に行かなくちゃなんないのか訳が分からない。まだ 学校が始まってまだ二日なのに疲れたなあ。
誰かが「お茶はいかがですか」って言ってくれたらお願いしよう。開けたままにしてあるドアの向こうを誰か通らないかなあっと思って横になったままドアの向こうを見つめる
「ビイ様 心がお疲れの時は身体を動かしましょう。護身術かダンスでも?」
声をかけてきたのはエディだった……エディはダンスも上手なんだよな」
「あーうん じゃあ護身術の方で…」
確かに、身体を動かす、というかエディの攻撃を受けていると考え事どころじゃなくなるよね。
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