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3王立学園に入学//少年期1
3-11 ご報告
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「「ただいま」」
一度立ち止まって、ルディに挨拶してから執務室ヘ向かう。再び足取りが速くなる。執務室の前に着くのと同時にノックもしないのにドアが開いた、足音が大きかっただろうか?
「おかえり!ザベス、ビイ」
「ただいま帰りました、お父様」
「ただいま帰りました、父上」
「アルフレッド殿下の御使いから二人を送る旨の連絡があったよ。何があったのかな?ティールームへ行こうか?エディ、トリアも呼んでくれるかい?」
いつの間にか僕達の後ろに居たエディに父上が命じる。歩きながら姉上が待ちきれないとばかりに話し始める。
「お父様 学園祭の後夜祭で大変なコトがありましたの。フレーミイ王子にピンクウサギが 突然抱き着いたのですって」
「落ち着いてザベス、ピンクウサギ?フレーミイ王子はペットを連れているのかい?」
「少しは似ていますけど、そんなに可愛い物ではありませんわ」
「うん?ウサギは可愛いと思うけど?」
父上が首を傾げる。
ティールームではもう母上が待っていた。もちろん、お茶も入っているし、軽食も用意されている。
「おかえりなさい。ビイ、ザベス。後夜祭は楽しかった?」
「ただいま帰りました 母上」
「ただいま帰りました お母さま」
挨拶の後で、僕達四人は同じタイミングでカップを持って一口飲み、同時にソーサーにカップを戻したから 面白くて笑ってしまい、クスリと笑うそのタイミングまで一緒で また笑った。
「それでザベス、ピンクウサギって何だい?」
「ピンクウサギっていうのは、ピンクの髪の今年の一年生の女生徒ですわ」
「ねえザベス、私にもわかるように最初から話してちょうだい」
「はいお母様。これは聞いた話なのですが、昼間のダンスホースにフレーミイ王子が遅れていらっした理由ですけれど……」
姉上は今馬車で聞いた話や、後夜祭で見聞きした話を父上と母上に話し、最後まで聞いた二人は呆れたような溜息をついた。
学園祭の後、フレーミイ王子とリリそしてキャサリン嬢とビビア達武の一族の退出劇は学園中で話題になった。孤児院出身の男爵令嬢と王族の恋!ともてはやし憧れる生徒もいれば、男爵令嬢の分際で生意気だと非難する生徒、男爵令嬢云々よりもまずはマナーの問題と嘆く生徒もいる、王子が公衆の面前で婚約者候補を嗜めたことを王族らしくないという声や王族以前に男性としてどうなのかという生徒、それから、立場が弱かったグリーン公爵令嬢を守ったビビア達を賞賛する声もあった。騎士の立場の向上、騎士を憧れられる存在にしようと努めてきたビビアだが、この事件で武の一族が(中でもビビアが)注目され一目置かれるようになった。
明日は卒業式、そして卒業パーティだ。僕はベッドの中で何回目かの寝返りを打つ。
ピンクウサギは相変わらずフレーミイ王子に纏わりついている。グリーン公爵令嬢はもうそれを咎める事はしない。ピンクウサギが何をしても彼女が婚約者候補である事は変わらないし、グリーン公爵令嬢は卒業生代表でもあるのだから、卒業パーティはフレーミイ王子がエスコートされるのだろう。僕はもう一つ寝返りを打つ。
そんなことよりも、姉上の明日のドレスだ!なんだか憂鬱な卒業パーティだけれど姉上のドレス姿だけは楽しみにしている。僕はアルにあわせて制服だけど姉上は僕の色に併せて、紺と銀のドレスを仕立てたって聞いている。もちろん姉上は何を着ても絶対に似合うと思うけれど僕の色にあわせてくれたというのがすっごく嬉しい。
姉上はリリの名前も知らないし 王子の事なんて何とも思っていないから何事も起こらないはずだ。よし大丈夫。僕は自分に言い聞かせて目を閉じた。
一度立ち止まって、ルディに挨拶してから執務室ヘ向かう。再び足取りが速くなる。執務室の前に着くのと同時にノックもしないのにドアが開いた、足音が大きかっただろうか?
「おかえり!ザベス、ビイ」
「ただいま帰りました、お父様」
「ただいま帰りました、父上」
「アルフレッド殿下の御使いから二人を送る旨の連絡があったよ。何があったのかな?ティールームへ行こうか?エディ、トリアも呼んでくれるかい?」
いつの間にか僕達の後ろに居たエディに父上が命じる。歩きながら姉上が待ちきれないとばかりに話し始める。
「お父様 学園祭の後夜祭で大変なコトがありましたの。フレーミイ王子にピンクウサギが 突然抱き着いたのですって」
「落ち着いてザベス、ピンクウサギ?フレーミイ王子はペットを連れているのかい?」
「少しは似ていますけど、そんなに可愛い物ではありませんわ」
「うん?ウサギは可愛いと思うけど?」
父上が首を傾げる。
ティールームではもう母上が待っていた。もちろん、お茶も入っているし、軽食も用意されている。
「おかえりなさい。ビイ、ザベス。後夜祭は楽しかった?」
「ただいま帰りました 母上」
「ただいま帰りました お母さま」
挨拶の後で、僕達四人は同じタイミングでカップを持って一口飲み、同時にソーサーにカップを戻したから 面白くて笑ってしまい、クスリと笑うそのタイミングまで一緒で また笑った。
「それでザベス、ピンクウサギって何だい?」
「ピンクウサギっていうのは、ピンクの髪の今年の一年生の女生徒ですわ」
「ねえザベス、私にもわかるように最初から話してちょうだい」
「はいお母様。これは聞いた話なのですが、昼間のダンスホースにフレーミイ王子が遅れていらっした理由ですけれど……」
姉上は今馬車で聞いた話や、後夜祭で見聞きした話を父上と母上に話し、最後まで聞いた二人は呆れたような溜息をついた。
学園祭の後、フレーミイ王子とリリそしてキャサリン嬢とビビア達武の一族の退出劇は学園中で話題になった。孤児院出身の男爵令嬢と王族の恋!ともてはやし憧れる生徒もいれば、男爵令嬢の分際で生意気だと非難する生徒、男爵令嬢云々よりもまずはマナーの問題と嘆く生徒もいる、王子が公衆の面前で婚約者候補を嗜めたことを王族らしくないという声や王族以前に男性としてどうなのかという生徒、それから、立場が弱かったグリーン公爵令嬢を守ったビビア達を賞賛する声もあった。騎士の立場の向上、騎士を憧れられる存在にしようと努めてきたビビアだが、この事件で武の一族が(中でもビビアが)注目され一目置かれるようになった。
明日は卒業式、そして卒業パーティだ。僕はベッドの中で何回目かの寝返りを打つ。
ピンクウサギは相変わらずフレーミイ王子に纏わりついている。グリーン公爵令嬢はもうそれを咎める事はしない。ピンクウサギが何をしても彼女が婚約者候補である事は変わらないし、グリーン公爵令嬢は卒業生代表でもあるのだから、卒業パーティはフレーミイ王子がエスコートされるのだろう。僕はもう一つ寝返りを打つ。
そんなことよりも、姉上の明日のドレスだ!なんだか憂鬱な卒業パーティだけれど姉上のドレス姿だけは楽しみにしている。僕はアルにあわせて制服だけど姉上は僕の色に併せて、紺と銀のドレスを仕立てたって聞いている。もちろん姉上は何を着ても絶対に似合うと思うけれど僕の色にあわせてくれたというのがすっごく嬉しい。
姉上はリリの名前も知らないし 王子の事なんて何とも思っていないから何事も起こらないはずだ。よし大丈夫。僕は自分に言い聞かせて目を閉じた。
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