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5-1.初舞台
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連日、バイトが終わると公園でヨルと稽古をした。
冷たい風に晒されながら、人目を気にして稽古するなんてもう耐えられないと思っていたが、意外と平気だった。
むしろ、この稽古を楽しみにしている自分がいる。
漫才は初めてな上、養成所すら通ったことのないヨルに稽古をつけてやるのは大変だった。が、飲み込みは早い。
ネタにOKを出すと、ヨルは耳と尻尾を揺らして薄く笑う。
勢いで誘ったものの相性が悪かったらどうしようかと思ったが、その心配はなさそうだ。
初舞台は、ヨルと出会ったYYシアターにした。俺もキューブで何度も立った舞台だ。
所謂地下ライブと言われるこのライブは無法地帯だ。フリーの芸人や、事務所に黙って舞台に立つ芸人も多い。
エントリーしに行くと、支配人のおやじが目を丸くした。
「椎名、引退したんじゃなかったのか? てっきり地元に帰ったのかと思ったぞ」
「気が変わって、今日からこいつと出ることにしたんで」
ヨルがペコリと頭を下げた。支配人が唖然としてるので、「先行ってろ」とヨルを楽屋に向かわせる。
2人になった途端、支配人が顔を近づけてきた。
「あの子、獣人だぞ」
「知ってるよ。ハイエナなんだろ」
「人獣コンビは厳しいぞ~。『猿まわし』以来、人獣コンビが一気に増えてそのまま消えてったのを俺は何組も見てる」
人間と獣人のコンビは、人獣コンビと呼ばれている。
『猿まわし』は、お笑い業界初の人獣コンビだった。人と猿の獣人のコンビ。
俺はその頃まだ芸人になってなかったが、大ブレイクを果たした2人の影響で人獣コンビがやたらと増えたことは業界では有名だ。
でも、第2の猿まわしになれた人獣コンビは誰もいなかった。
今では人獣コンビどころか、獣人の芸人自体ほとんどいない。
俺らにとって、これは好都合だ。猿まわし以来の人獣コンビとして、ブレイクするチャンス。
「まだ正式に組んだわけじゃないんだろう? 客の反応を見て決めるんでも遅くないぞ」
「ウケなきゃいいと思ってるんだろ」
「まさか。うちに出てくれる人気コンビが増えるのは有難いことだ」
要は結果を出せばいい。
今日のライブは最後に客席投票がある、そこで1位になれば支配人もうちの事務所も納得するだろう。
「おい、ちょっと」
楽屋に行きかけると、支配人に呼び止められた。
「エントリー料、2000円」
「ああ、はい……」
若手の地下ライブにギャラなど出ない。こっちがエントリー料を支払って舞台に立たせてもらう。
キューブではギャラを貰えるようになっていたから忘れていた。ゼロからのスタートだと再認識させられた。
冷たい風に晒されながら、人目を気にして稽古するなんてもう耐えられないと思っていたが、意外と平気だった。
むしろ、この稽古を楽しみにしている自分がいる。
漫才は初めてな上、養成所すら通ったことのないヨルに稽古をつけてやるのは大変だった。が、飲み込みは早い。
ネタにOKを出すと、ヨルは耳と尻尾を揺らして薄く笑う。
勢いで誘ったものの相性が悪かったらどうしようかと思ったが、その心配はなさそうだ。
初舞台は、ヨルと出会ったYYシアターにした。俺もキューブで何度も立った舞台だ。
所謂地下ライブと言われるこのライブは無法地帯だ。フリーの芸人や、事務所に黙って舞台に立つ芸人も多い。
エントリーしに行くと、支配人のおやじが目を丸くした。
「椎名、引退したんじゃなかったのか? てっきり地元に帰ったのかと思ったぞ」
「気が変わって、今日からこいつと出ることにしたんで」
ヨルがペコリと頭を下げた。支配人が唖然としてるので、「先行ってろ」とヨルを楽屋に向かわせる。
2人になった途端、支配人が顔を近づけてきた。
「あの子、獣人だぞ」
「知ってるよ。ハイエナなんだろ」
「人獣コンビは厳しいぞ~。『猿まわし』以来、人獣コンビが一気に増えてそのまま消えてったのを俺は何組も見てる」
人間と獣人のコンビは、人獣コンビと呼ばれている。
『猿まわし』は、お笑い業界初の人獣コンビだった。人と猿の獣人のコンビ。
俺はその頃まだ芸人になってなかったが、大ブレイクを果たした2人の影響で人獣コンビがやたらと増えたことは業界では有名だ。
でも、第2の猿まわしになれた人獣コンビは誰もいなかった。
今では人獣コンビどころか、獣人の芸人自体ほとんどいない。
俺らにとって、これは好都合だ。猿まわし以来の人獣コンビとして、ブレイクするチャンス。
「まだ正式に組んだわけじゃないんだろう? 客の反応を見て決めるんでも遅くないぞ」
「ウケなきゃいいと思ってるんだろ」
「まさか。うちに出てくれる人気コンビが増えるのは有難いことだ」
要は結果を出せばいい。
今日のライブは最後に客席投票がある、そこで1位になれば支配人もうちの事務所も納得するだろう。
「おい、ちょっと」
楽屋に行きかけると、支配人に呼び止められた。
「エントリー料、2000円」
「ああ、はい……」
若手の地下ライブにギャラなど出ない。こっちがエントリー料を支払って舞台に立たせてもらう。
キューブではギャラを貰えるようになっていたから忘れていた。ゼロからのスタートだと再認識させられた。
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