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一方、その頃のコンラートは。
「ヴィヴィアン…いえ、ブライトン伯爵夫人のご夫君は、どのような方なのですか?私は、お会いした事がなくて」
ランドリック侯爵達と、情報交換を終えたコンラートは、雑談の中でふと思い出したような顔で尋ねた。
「あぁ、トビアス・ブライトン伯爵か。彼は、王宮の流通部門で、長官補佐をしている男だよ。仕事はなかなか有能と聞くが…奥方への態度は頂けないな」
「ランドリック侯爵も、そう思われますか」
ランドリック侯爵は、恋愛結婚至上主義のリンデンバーグ貴族の中でも、愛妻家として名高い。
その前提を踏まえた上でのコンラートの質問だった。
「ブライトン家は、没落寸前まで家が傾いておったのだ。それを、奥方の実家の援助で持ち直した。例え、夫婦としての燃えるような愛がなくとも、最低限の感謝はせねばならぬのに、伯は、寧ろ、奥方を敵視しているようでな。見せつけるように、愛人を社交に伴っている。また、愛人となっている男爵令嬢も、誰のお陰で今の生活が出来ているのか、理解しておらんようだ。行く先々で、正妻気取り。最新のドレスに高価な宝石を、これ見よがしに見せびらかしているのだが…はて、そのドレスや宝石は、誰が賄ったものか」
愛妻家、そして、正義漢。
憤慨した様子のランドリック侯爵に、頷いて同意を示すコンラート。
「言い方は下世話なものになりますが…敵視する程に隔意があるのならば、離縁して解放して差し上げればいいのではありませんか」
「持ち直したとは言え、贅沢が出来るのは奥方の実家からの援助によるものだ。それに、離縁は奥方の実家も許さんだろう。伯との縁で、商売に便宜を図られているようだからな」
「…では、彼女は苦しめられたままなのですね」
視線を伏せるコンラートを、痛ましそうにランドリック侯爵は眺め、唸るように声を上げた。
コンラートは、家名を伏せて夜会に参加しているが、他の貴族の懐に何も持たずに潜り込んでいるわけではない。
最後の戦争から二百年が経つとは言え、誰彼となく心を許していい程、貴族の世界は清廉なものではないのだ。
ランドリック侯爵にコンラートを紹介したのは、近衛騎士団副団長であるレイモンド・キャナリー公爵令息。
謹厳実直の代名詞である彼に、「詳細はまだ明かせないが、身元は私が保証します」と言われれば、ランドリック侯爵に拒否する理由はなかった。
ランドリック侯爵がコンラートを受け入れているからこそ、他の貴族もコンラートと親しくているのだから、彼の責任は重大だ。
だが、コンラートの素性は、社交界の重鎮であるランドリック侯爵をしても、確証は持てない。
恐らくは、と推測の立つものはあるけれど、その推測が正しいのならば、安易にヴィヴィアンを勧めるわけにもいかなかった。
実家は、成り上がりの男爵家。
そして、彼女は、お飾りとは言え、伯爵夫人の座にある。
何をとっても、コンラートの相手として相応しい、とは決して言えない。
恋愛結婚至上主義であろうと、そこにはやはり、厳然としたルールが存在しているからだ。
「…確かに、ブライトン夫人は社交界の秘花と呼ばれるに相応しい美しいご婦人だが、美しいご婦人ならば、他にもいるのではないかね」
探るようなランドリック侯爵の言葉に、コンラートは曖昧な笑みを返す。
コンラートは、ヴィヴィアンが、自分の容姿を実際よりも低く見積もっている事に、気づいていた。
リンデンバーグの女性は、夫や恋人に褒められる経験が多い為、自己肯定感が高い。
これは、恋愛結婚を推奨している国ならではだろう、と、長くサーラに滞在していたコンラートは思う。
ヴィヴィアンは、リンデンバーグでは珍しい癖のない真っ直ぐの銀髪と、赤よりも一段明るい珊瑚色の切れ長の瞳、そして、薔薇色の小さな唇を持っている。
珍しい色合いが目を惹くのは事実だが、彼女ならば、何色を持っていようが、異性、同性を問わず、注目を浴びるだろう。
確かに、傾国と呼ばれる程の絶世の美女ではないものの、外向きの微笑を浮かべている時のヴィヴィアンは、よく出来た人形にしか見えない程に、整った顔立ちをしているのだから。
だが、ヴィヴィアンは、自分が「美しい」と言われるのは、高級化粧品で顔を作り込み、最先端のドレスを纏っているからで、実際には中の上か、精々、上の下程度、と信じ込んでいるようだ。
そのせいで、どれだけ、コンラートが彼女を褒めそやそうと、全てお世辞として、にこやかに流されてしまう。
どんな女性も、コンラートが褒めれば頬を染めて喜んでくれると言うのに、こんな経験は、これまでなかった。
賛辞を受け入れられない理由が、夫から虐げられている故なのだとすれば、それは悲しい。
「ランドリック侯爵。確かに、最初に私が彼女に気づいたのは、その美しさが目に留まったからです。けれど、言葉を交わすうちに、彼女の苦しみを知るうちに…」
コンラートは、苦く笑う。
「…判って、おります。彼女は、夫ある身。私が何をしても、困らせてしまう。ですから、こうして、偶然、夜会で巡り会う時だけ。その時だけ、苦しんでいる彼女に、一人ではないのだと、告げる事を許して欲しい…」
苦悩に満ちた彼の声と表情に、周囲の男性陣は、共感するように深く頷く。
何しろ、皆、恋愛脳。
長身で広い肩幅を持ち、ぴんと伸びた背筋、黒髪翠瞳の美丈夫であるコンラートと、彼曰く『月の女神』の銀髪紅瞳、メリハリの付いた女性らしい体のヴィヴィアンが共にいる姿は、一幅の絵画のようで目に麗しいと思っている。
夜会と言う時間もあって、夜の神と月の女神の逢瀬のようだ。
「…安心なされ。卿は、ブライトン夫人に好意は示せども、愛を希っているわけではない。万が一、ブライトン伯が言いがかりをつけて来たとしても、わしが二人の間に過ちのない事を証言しよう」
彼が、正体不明の『コンラート』であるうちは、応援してやりたい。
ランドリック侯爵は思わず、暗黙のルールから目を背けた。
「有難う、ございます…えぇ、もう暫くは、この想いを大事にしたいのです…願わくば、彼女の幸せを見守りたい…」
コンラートは、恋の成就を願ってはいない。
ただ、ヴィヴィアンの幸福を望んでいるだけ…。
この世の全ての美女を手に入れられそうな美丈夫であるコンラートの純愛に、男達は息を飲んだ。
何と言う事だろう。
コンラートの苦し気に寄せられた眉に、うっすらと涙を浮かべる男性が、一人ではなく複数いる。
彼等は、報われない、けれど、想わずにはいられないコンラートの気持ちを、相手の姿を己の妻や恋人で想像して推し量り、涙している。
――…勿論、これもまた、コンラートとヴィヴィアンの思惑通り、である。
「お話は、ここまででもよろしいですか?少しでも、彼女の傍に、いたくて」
「あぁ、勿論だ!」
「ヴィヴィアン…いえ、ブライトン伯爵夫人のご夫君は、どのような方なのですか?私は、お会いした事がなくて」
ランドリック侯爵達と、情報交換を終えたコンラートは、雑談の中でふと思い出したような顔で尋ねた。
「あぁ、トビアス・ブライトン伯爵か。彼は、王宮の流通部門で、長官補佐をしている男だよ。仕事はなかなか有能と聞くが…奥方への態度は頂けないな」
「ランドリック侯爵も、そう思われますか」
ランドリック侯爵は、恋愛結婚至上主義のリンデンバーグ貴族の中でも、愛妻家として名高い。
その前提を踏まえた上でのコンラートの質問だった。
「ブライトン家は、没落寸前まで家が傾いておったのだ。それを、奥方の実家の援助で持ち直した。例え、夫婦としての燃えるような愛がなくとも、最低限の感謝はせねばならぬのに、伯は、寧ろ、奥方を敵視しているようでな。見せつけるように、愛人を社交に伴っている。また、愛人となっている男爵令嬢も、誰のお陰で今の生活が出来ているのか、理解しておらんようだ。行く先々で、正妻気取り。最新のドレスに高価な宝石を、これ見よがしに見せびらかしているのだが…はて、そのドレスや宝石は、誰が賄ったものか」
愛妻家、そして、正義漢。
憤慨した様子のランドリック侯爵に、頷いて同意を示すコンラート。
「言い方は下世話なものになりますが…敵視する程に隔意があるのならば、離縁して解放して差し上げればいいのではありませんか」
「持ち直したとは言え、贅沢が出来るのは奥方の実家からの援助によるものだ。それに、離縁は奥方の実家も許さんだろう。伯との縁で、商売に便宜を図られているようだからな」
「…では、彼女は苦しめられたままなのですね」
視線を伏せるコンラートを、痛ましそうにランドリック侯爵は眺め、唸るように声を上げた。
コンラートは、家名を伏せて夜会に参加しているが、他の貴族の懐に何も持たずに潜り込んでいるわけではない。
最後の戦争から二百年が経つとは言え、誰彼となく心を許していい程、貴族の世界は清廉なものではないのだ。
ランドリック侯爵にコンラートを紹介したのは、近衛騎士団副団長であるレイモンド・キャナリー公爵令息。
謹厳実直の代名詞である彼に、「詳細はまだ明かせないが、身元は私が保証します」と言われれば、ランドリック侯爵に拒否する理由はなかった。
ランドリック侯爵がコンラートを受け入れているからこそ、他の貴族もコンラートと親しくているのだから、彼の責任は重大だ。
だが、コンラートの素性は、社交界の重鎮であるランドリック侯爵をしても、確証は持てない。
恐らくは、と推測の立つものはあるけれど、その推測が正しいのならば、安易にヴィヴィアンを勧めるわけにもいかなかった。
実家は、成り上がりの男爵家。
そして、彼女は、お飾りとは言え、伯爵夫人の座にある。
何をとっても、コンラートの相手として相応しい、とは決して言えない。
恋愛結婚至上主義であろうと、そこにはやはり、厳然としたルールが存在しているからだ。
「…確かに、ブライトン夫人は社交界の秘花と呼ばれるに相応しい美しいご婦人だが、美しいご婦人ならば、他にもいるのではないかね」
探るようなランドリック侯爵の言葉に、コンラートは曖昧な笑みを返す。
コンラートは、ヴィヴィアンが、自分の容姿を実際よりも低く見積もっている事に、気づいていた。
リンデンバーグの女性は、夫や恋人に褒められる経験が多い為、自己肯定感が高い。
これは、恋愛結婚を推奨している国ならではだろう、と、長くサーラに滞在していたコンラートは思う。
ヴィヴィアンは、リンデンバーグでは珍しい癖のない真っ直ぐの銀髪と、赤よりも一段明るい珊瑚色の切れ長の瞳、そして、薔薇色の小さな唇を持っている。
珍しい色合いが目を惹くのは事実だが、彼女ならば、何色を持っていようが、異性、同性を問わず、注目を浴びるだろう。
確かに、傾国と呼ばれる程の絶世の美女ではないものの、外向きの微笑を浮かべている時のヴィヴィアンは、よく出来た人形にしか見えない程に、整った顔立ちをしているのだから。
だが、ヴィヴィアンは、自分が「美しい」と言われるのは、高級化粧品で顔を作り込み、最先端のドレスを纏っているからで、実際には中の上か、精々、上の下程度、と信じ込んでいるようだ。
そのせいで、どれだけ、コンラートが彼女を褒めそやそうと、全てお世辞として、にこやかに流されてしまう。
どんな女性も、コンラートが褒めれば頬を染めて喜んでくれると言うのに、こんな経験は、これまでなかった。
賛辞を受け入れられない理由が、夫から虐げられている故なのだとすれば、それは悲しい。
「ランドリック侯爵。確かに、最初に私が彼女に気づいたのは、その美しさが目に留まったからです。けれど、言葉を交わすうちに、彼女の苦しみを知るうちに…」
コンラートは、苦く笑う。
「…判って、おります。彼女は、夫ある身。私が何をしても、困らせてしまう。ですから、こうして、偶然、夜会で巡り会う時だけ。その時だけ、苦しんでいる彼女に、一人ではないのだと、告げる事を許して欲しい…」
苦悩に満ちた彼の声と表情に、周囲の男性陣は、共感するように深く頷く。
何しろ、皆、恋愛脳。
長身で広い肩幅を持ち、ぴんと伸びた背筋、黒髪翠瞳の美丈夫であるコンラートと、彼曰く『月の女神』の銀髪紅瞳、メリハリの付いた女性らしい体のヴィヴィアンが共にいる姿は、一幅の絵画のようで目に麗しいと思っている。
夜会と言う時間もあって、夜の神と月の女神の逢瀬のようだ。
「…安心なされ。卿は、ブライトン夫人に好意は示せども、愛を希っているわけではない。万が一、ブライトン伯が言いがかりをつけて来たとしても、わしが二人の間に過ちのない事を証言しよう」
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「有難う、ございます…えぇ、もう暫くは、この想いを大事にしたいのです…願わくば、彼女の幸せを見守りたい…」
コンラートは、恋の成就を願ってはいない。
ただ、ヴィヴィアンの幸福を望んでいるだけ…。
この世の全ての美女を手に入れられそうな美丈夫であるコンラートの純愛に、男達は息を飲んだ。
何と言う事だろう。
コンラートの苦し気に寄せられた眉に、うっすらと涙を浮かべる男性が、一人ではなく複数いる。
彼等は、報われない、けれど、想わずにはいられないコンラートの気持ちを、相手の姿を己の妻や恋人で想像して推し量り、涙している。
――…勿論、これもまた、コンラートとヴィヴィアンの思惑通り、である。
「お話は、ここまででもよろしいですか?少しでも、彼女の傍に、いたくて」
「あぁ、勿論だ!」
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