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***
十五年振りに、こんなにも大勢の人を見た。
息苦しい位に広間を埋め尽くす、人、人、人の姿に、シャーロットはくらりと眩暈を感じる。
鮮やかな色彩の波が、目の前に押し寄せて来るようだ。
(ダメ…こんな所で、倒れては)
今日だけ。今だけ。
その約束なのだから、たかだか一時間位の間、しゃんと背筋を伸ばして立っていなくては。
けれど、普段、歩く事はおろか、立つ事すら希なシャーロットの細い足は、着慣れない衣装も相まって、自身の体を支えるのですら辛い。
普段は、軽さを重視した装飾など一切ない綿のワンピースしか着ていない身に、きらきらと輝く小粒の宝石で美々しく飾り立てられた淡緑の絹のドレスは、鎧のようにずっしりと重かった。
仕立て職人が実際に採寸したものではないからか、シャーロットの瘦せ細った体が、ドレスの中で泳いでいる。
顔の両横の髪を編み上げ、残りは背中に垂らしてある巻き毛は、薄い背中を守るには心許ない。
(怖い…)
小声で交わされている会話も、人数が多ければどよめきとなる。
静かな環境で暮らしているシャーロットは、その音に耐えられず、逃げ場を探して視線を彷徨わせた。
誰も、自分の事など、見ていない。
そう思い込もうとしても、人々の好奇の視線が、針のように柔い肌を刺してくる。
分厚いヴェール越しでも、その視線は痛い程で、思わず、シャーロットは視線を下げてしまう。
唯一、頼りになるカーラは、この広間の中まで入れる身分ではなく、一人きりで、この時間を耐えるしかなかった。
着飾った貴族の紳士淑女の姿は、自分の姿さえこの場になければ美しいと感じるだろうに、シャーロットには、それらを鑑賞する余裕もない。
その時だった。
ふと、清涼な風が流れた気がして、シャーロットは誘われるように視線を上げて驚いた。
誰も彼もが鮮やかな衣装を纏い、色の洪水となっていた大広間に立っている筈が、視界が一瞬にして、白と黒の二色に転じていた。
戸惑って周囲を見渡すと、人波の中、一か所だけ、色づいて見える場所がある。
すい、と視線が吸い寄せられた先に、真っ黒な衣装を纏った驚く程に長身の男性が立っていた。
黒のジャケットに黒のトラウザーズ、首元に飾られたスカーフまで黒で、唯一、ドレスシャツのみが白。
緩く波打った髪も黒で、頭頂部から耳元を包むように、ゆったりと黒い布が巻かれている。
白黒の世界の中で、黒一色の衣装が鮮やかに見えるとは、どう言う事なのだろう。
不思議に思って首を傾げるシャーロットと、男性の目が、合った。
どくん。
全身が、心臓になったのかと思った。
体が震える程の衝撃に戸惑いながらも、シャーロットの目は、男性から離れない。
彼は、驚いたように一瞬、目を大きく見開いた後、大勢の人の間を縫うようにして、大股でシャーロットの元へとやってくる。
シャーロットは、彼が自分の前で片膝をつくのを、ぼんやりと眺めていた。
「ご気分が、悪いようですね」
彼が膝を折ったのは、自分と視線を合わせる為だ、と気づく。
それ位、間近で見た彼は、背が高かった。
小柄なシャーロットとは、頭二つ半近く、違うのではないだろうか。
きっと、連れもエスコートもいないシャーロットを見掛けて、何処かの子供が迷子になってしまったのだと、心配してくれたのだろう。
ヴェール越しで見えない筈なのに、しっかりと視線が合う事に、シャーロットは困惑する。
「あ、の…」
情けない位、声が掠れていた。
カーラ以外の人と言葉を交わす経験等、もう何年もない。
「あぁ、無理をなさらず。ここは少し、空気が悪い」
縦長の瞳孔を持つ黄褐色の瞳が、シャーロットに優しく微笑んだ。
鼈甲のように深く、それでいて澄んだ瞳は、シャーロットの視線を吸い寄せて離さない。
改めて見てみると、男性は、とても整った顔立ちをしていた。
意思の強そうな凛々しい眉に、涼やかな瞳、高く通った鼻梁。
削げたように鋭い頬と、がっちりした顎の男らしい容貌なのに、柔らかな笑みを浮かべている少し厚めの唇の為か、人を寄せ付けない冷たさはない。
緩く波打つ黒髪は肩先を撫でる位の長さだが、頭に巻かれたスカーフが、背中までの長さかのように錯覚させる。
肩幅は広く、服の上からでも引き締まった筋肉が見て取れた。
その時。
先程まで、彼の声しか聞こえなかった耳に、周囲の驚いたようなざわめきが突然流れ込んできて、シャーロットはハッとした。
彼のように立派な大人の男性を、いつまでも自分の前に跪かせておくなど、許されるわけもない。
「ご心配、有難うございます。どうぞ、わたくしの事など、お気になさらず。お立ち下さいませ」
掠れた途切れ途切れの小さな声だったけれど、彼は聞き取ってくれたようだ。
だが、困ったように眉を顰めたものの、立ち上がる気配はない。
「しかし。お顔の色が悪いではありませんか」
「それは…」
自分でも、顔色が悪くなっているだろう自覚はある。
空気が薄い気がするし、耳鳴りもするし、足ももう、限界だ。
だが何故、ヴェールを掛けたシャーロットの顔色に気づいたのだろうか。
シャーロットは、その違和感に気づける程、初対面の相手との会話に慣れていなかった。
「…何故…」
「あの娘は…」
途切れ途切れに聞こえる、周囲の人々の声。
自分達が広間の人々の視線を一手に浴びている事に、シャーロットは怖気づいて震える。
ヴェールで顔を隠した子供のように小柄で痩せたシャーロットの前に、人一倍長身で立派な体躯の男性が膝をついているのだ。
耳目を集めないわけがない。
それは理解出来るけれど、注目を浴びるのは、本意ではない。
ひっそりと、出席したと言う事実だけ作って、役目を果たすつもりだったのに。
「あぁ、失礼。名乗っておりませんでしたね。私は、ナラン国との境界に接するノーハン領をお預かりしておりますヴィンセント・バーナディスと申します」
この国、マハト王国では、例え事前に相手の名を知っていても、本人に直接名を許されるまでは、その名で呼び掛ける事が出来ない。
自己紹介は、自分の名を相手に預ける事…相手を信頼すると言う意味と同義になるのだ。
名を知っている事が重要な意味を持つ国だからこその礼儀なのだが、シャーロットはこの場で、自分の名を明かしてくれたヴィンセントに対して、明かす事の出来る名を持っていなかった。
「辺境伯が…」
「…獣人の…」
耳鳴りの合間に切れ切れと聞こえる声で、ノーハン領が獣人族の治める領地である事を思い出す。
バーナディスと言えば、辺境伯の名だった筈だ。
侯爵と等しい身分の彼に膝をつかせている事に、シャーロットは改めて青褪めた。
公爵家は王族に連なる家である為、侯爵家と辺境伯家は、実質、この国の貴族で最も高位の家となる。
「娘!御屋形様がお声掛けなさったと言うのに、名乗る事も出来ないのかっ」
苛立った声を背後から掛けられて、シャーロットはびくりと肩を竦める。
「ロビン。そのような大声を出しては、怯えてしまわれるだろう」
ヴィンセントが厳しい声で嗜めるものの、ロビンと呼ばれた男は、荒らげた声を隠そうともしない。
「いいえ、御屋形様。我らが獣人族である故に、このような態度を取っているのでしたら、心得違いを正さねばなりません。御屋形様は今、ナランとの国境に目を光らせておらねばなりませんのに、無理矢理体を空けて今宵の宴に参加なさっているのですよ。我らがノーハンにいる理由を理解出来ていないようでは、マハトの民として問題でございましょう」
ロビンの声は、シャーロットと言うよりも、広間の貴族全員に聞かせようとしているように、大きかった。
いや、実際に、貴族達に思い知らせたかったのだろう。
――…マハト王国には、人族と、獣人族が住んでいる。
だが、王都に住む獣人族は稀で、ましてや王宮に伺候するものなど、いない。
彼らの多くは、獣人族の領地であるノーハン領で生活していた。
ノーハン領は、現在でこそ、マハト王国の一領地となっているが、そもそも、獣人族が治めていた土地だ。
北の国ナランが、豊かなマハト王国の国土を狙うようになって久しい。
国土防衛の為、何代も前のマハト国王が当時の獣人族の長に同盟を持ちかけた事が、ノーハンのマハト編入のきっかけになっている。
獣人族は、純血の人族よりも体力があり、膂力に優る戦士が多い。
だが、彼らは平和主義で、自ら領土拡大を狙って外に出て行く事はない。
そんな彼らに、ナランとの砦になって貰う事と引き換えに、獣人族にはなかった知識と技術の提供を行う事にしたかつてのマハト国王は、現在では賢王と呼ばれている。
マハト編入時に、当時の獣人族の長に与えられたマハト王国での地位が、辺境伯だった。
他に持つ者のない位は、彼の土地の重要性を表している。
しかし、同盟の筈がマハト傘下に組み込まれた事からも判るように、獣人族が皆、与えられた役割に納得しているわけではない。
特にここ数年、マハト王国の後継者争いに付け入る形で、代替わりしたナラン国王が、マハト攻略の足掛かりとしてノーハンの地に触手を伸ばし、度々、国境を侵しているのだ。
獣人族は自らの領地を護る為に戦っているが、それは同時に、国境線を守っていると言う事でもある。
それにも拘らず、王都の貴族がその重要性を理解せず、増援を送る事もなければ、今現在、国境を挟んでナラン兵と睨み合っている最中なのに、平和そのものの顔で着飾って宴に興じているのを、腹立たしく見ているのだろう。
状況を正確に理解している貴族達が、気後れした顔で、ロビンから目を反らす。
「~~~娘!お前が、きちんと辺境伯にご挨拶しないから…っ」
気まずさを、ヴィンセントと対面しているシャーロットに押し付けたかったのだろう。
派手な衣服を身に纏い、ぶよぶよと弛んだ腹を揺らした中年の男性貴族が、シャーロットの肩に手を伸ばす。
咄嗟にヴィンセントが間に割り込もうとしたものの、間に合わない。
軽く触れられただけだったが、外部からの力に、立っているのに限界だったシャーロットは、容易にふらついた。
「あ…っ」
慌てて足に力を入れて踏ん張ったシャーロットは、慣れない靴、重い衣装にたたらを踏む。
何とか倒れずに済んだが、足首をぐきりとひねってしまった。
「いた…っ」
小さい呻き声が、ヴィンセントに聞こえたのだろう。
彼は、眉を顰めて、シャーロットに腕を伸ばした。
「どうぞ、お手を」
「いえ、ですが…」
ズキズキと、足首が痛みを訴えて来るが、差し出された手を取る事は出来ない。
痛めていない足に体重を掛けて、何とか立ち続けようとしたシャーロットの体が、限界を越えて、ふらりと傾ぐ。
「失礼」
ヴィンセントは、素早くシャーロットの体を支えると、彼女の体を左腕に乗せるようにして、抱き上げた。
膝をついていた彼が、突然、片腕に少女を抱いて立ち上がったのだ。
広間のざわめきが大きくなる。
シャーロットは、不意に高くなった視界に眩暈を覚え、思わずヴィンセントの肩に縋りつきそうになったが、慌てて両手を胸の前で組んだ。
不用意に他人に触れては、何が起きるか判らない。
「…大丈夫ですよ。私達獣人族に、祝福は与えられません」
小さく耳元で囁かれたヴィンセントの声に、シャーロットは驚いて、彼を振り返った。
思いがけずに近くにある彼の整った顔に、頬を染める。
「どうして…」
「御名をお呼びする事は出来ませんが、貴女が何方かは、存じ上げております。おみ足がお辛いでしょう、お体に触れる失礼をお許し下さい。高い場所でご不安でしょうから、どうぞ、私の肩に手をお掛け下さい」
前半は小声で、後半は周囲にも聞こえるようにやや大きめの声で。
おずおずと、シャーロットは片手をヴィンセントのよく鍛えられた肩に掛けた。
ヴィンセントは、子供を抱きかかえるように、シャーロットをそのがっしりとした左腕に座らせている。
小柄なシャーロットの体重など、全く感じていないようで、彼の体に力は入っていない。
シャーロットは少し落ち着いて、周囲を見渡した。
ヴィンセントと同じく、黒一色の衣装に黒いスカーフを頭飾りにしているのは、彼に付き従ってきた獣人族だろう。
その数、三人。
周囲の貴族よりも、全員が頭一つは大きく、立派な体格をしていた。
獣人族は、人族とほぼ同じ容姿を持つが、目と耳、それに尾だけ、その祖となる獣の特性を引き継いでいる。
人族に、祖となった獣を知られる事を嫌う彼らは、人族の治める地にいる間、耳と尾を隠す服装をしていた。
頭のスカーフは、ヴィンセントのように無造作に巻き付けている者がいる一方で、襞を丁寧に寄せて複雑な飾り結びにする等、装飾としての意味合いを持たせている獣人族もいるようだ。
腰の後ろにたっぷりと生地を取った上着を着ているのは、尾の形状を判りにくくする為だろう。
一方、人族の貴族は、皆が皆、戦時である事を忘れているかのように、贅を尽くした豪奢な衣装を纏っていた。
先程のロビンの言葉を思い出して、シャーロットは複雑な思いを抱く。
これでは確かに、獣人族が不満を抱いても致し方なく思える。
「シャーロット!」
その時だった。
広間の人垣が割れ、慌てた様子の老齢の男性が、左足を軽く引きずるようにしながら、ヴィンセントの元に駆け寄ってくる。
「バーナディス辺境伯、これは一体…!」
「陛下」
落ち着いた声音で応えて、ヴィンセントは優雅に礼を取った。
腕の上にはシャーロットを乗せたままだが、体勢の不安定さは感じられない。
「姫君が足首を痛めてしまわれた為、僭越ながら、お体のご負担を軽くして頂こうと考えまして」
慇懃な口調ながら、優雅なヴィンセントの物腰からは、国王に対面する気負いのようなものは感じられない。
「足を…?シャーロット、大丈夫か?!」
随分と高い位置にあるシャーロットの顔を見上げる顔には、心配以上の何かが滲んでいる。
そう、脅え、が。
「…ご心配をお掛け致します、陛下」
シャーロットは、久し振りに見た父の顔を感慨深く眺めた。
父の顔をこれ程間近で見るのは、何年振りだろうか。
頭髪は真っ白になり、肌にも皺が随分と増えた。
もう六十を越している筈だから、当然なのだろうが、その年齢以上の老いを感じて、シャーロットは胸が痛くなった。
父が年齢以上に老いて見えるのは、自分の与えた心労に因る所が少なくない筈なのだから。
一方、心の半分で、父と直接言葉を交わす機会が出来た事に安堵していた。
これで義務を果たす事は出来ただろうか、と、ホッと胸を撫で下ろす。
父に、この宴に参加したと認めて貰えなければ、義務を果たした事にはならなかっただろう。
「…シャーロット姫…?」
「祝福の…」
ざわざわと、周囲の貴族達の声が聞こえる。
先程、シャーロットの肩を突いた男性貴族が、青褪めた顔で、慌てて自分の指先を確認するのが視界の端に映る。
知らずに『祝福の姫』に触れた己の身に、『祝福』が与えられたのではないかと、不安になったのだろう。
彼以外の貴族も、怖気づいたように一歩、シャーロットから離れる。それでいて、視線はシャーロットに向かっている。
好奇心に満ちた不躾な視線に、びくりと身を竦ませたシャーロットに気づいたのか、ヴィンセントが国王に向かい、改めて口を開いた。
「陛下。姫君を医務室にお連れしてもよろしいでしょうか」
「あ、あぁ、そうだな。そうしてくれるか、バーナディス辺境伯。皆の者、待たせたな。宴はこれからだ。成人を迎えた者達を祝い、存分に楽しんで欲しい」
国王の宣言に、楽団の演奏が華やかなものへと変わった。
人々の視線は未だ、ヴィンセントとシャーロットに向いていたが、一部の貴族が率先してダンスを始める事で、本来の宴の形へと戻りつつある。
「参りましょうか」
ヴィンセントはそう言うと、シャーロットを抱えたまま、広間の外に向かって歩き出した。
その背後を、ロビンを始め、獣人族が足音も立てずについてくる。
「…バーナディス辺境伯様は、どうして、わたくしの事をご存知だったのでしょう」
広間を出て大扉が閉まると、一気に静かになった。
知らず知らずに詰めていた息を、ほぅ、と吐き出したシャーロットが、ヴィンセントに抱えられたまま、おずおずと問い掛ける。
「どうして…そうですね、姫君は、我々獣人族が、人族の地では耳を隠す理由をご存知ですか」
問いに問いで返されて、シャーロットは首を傾げた。
「昔、人族と獣人族が争っていた時代に、人族が氏族の弱点を狙った事が理由と本で読んだ事があります」
氏族。
この場合は、祖となる獣によって分類された獣人族の血族を指す。
獣人族、と、一まとめにして呼んでいるが、獣人族の中にはそれぞれ、祖となる獣による違いがあるのだ。
「そうです。氏族名を知られる事は、どうしても抗いようのない祖の弱点を知られる事と同じ。人族の方々は、我々が耳と尾を隠していれば、氏族に気づきませんからね。祖を知られぬ為に、隠しているのです。ですが、どう隠そうと、我々獣人族同士ならば、関係ないのですよ」
「何故ですか…?」
「我々は、人族よりも鼻がいいのです。初対面の獣人族がどう変装していても、匂いで相手の氏族が判ります」
「…わたくしの事も、匂いで判ったと言う事ですか?」
「姫君は、聡明でいらっしゃる」
ヴィンセントの鼈甲色の瞳が、柔らかく細められる。
だが、シャーロットはその答えに戸惑った。
「ですが…わたくしはずっと、表に出ておりません」
「えぇ、そのようですね。…十五年前のあの日、私もあの場にいたのですよ」
十五年前のあの日。
そう聞いて、シャーロットの顔が強張る。
「繰り返しになりますが、我々獣人族に、祝福は与えられません」
だから、不安に思う事はない。
言葉にされずとも、ヴィンセントの気遣いが伝わって、シャーロットは唇を噛む。
黙り込んだシャーロットを気遣ってか、ヴィンセントはそのまま、医務室へと彼女を連れて行ったのだった。
十五年振りに、こんなにも大勢の人を見た。
息苦しい位に広間を埋め尽くす、人、人、人の姿に、シャーロットはくらりと眩暈を感じる。
鮮やかな色彩の波が、目の前に押し寄せて来るようだ。
(ダメ…こんな所で、倒れては)
今日だけ。今だけ。
その約束なのだから、たかだか一時間位の間、しゃんと背筋を伸ばして立っていなくては。
けれど、普段、歩く事はおろか、立つ事すら希なシャーロットの細い足は、着慣れない衣装も相まって、自身の体を支えるのですら辛い。
普段は、軽さを重視した装飾など一切ない綿のワンピースしか着ていない身に、きらきらと輝く小粒の宝石で美々しく飾り立てられた淡緑の絹のドレスは、鎧のようにずっしりと重かった。
仕立て職人が実際に採寸したものではないからか、シャーロットの瘦せ細った体が、ドレスの中で泳いでいる。
顔の両横の髪を編み上げ、残りは背中に垂らしてある巻き毛は、薄い背中を守るには心許ない。
(怖い…)
小声で交わされている会話も、人数が多ければどよめきとなる。
静かな環境で暮らしているシャーロットは、その音に耐えられず、逃げ場を探して視線を彷徨わせた。
誰も、自分の事など、見ていない。
そう思い込もうとしても、人々の好奇の視線が、針のように柔い肌を刺してくる。
分厚いヴェール越しでも、その視線は痛い程で、思わず、シャーロットは視線を下げてしまう。
唯一、頼りになるカーラは、この広間の中まで入れる身分ではなく、一人きりで、この時間を耐えるしかなかった。
着飾った貴族の紳士淑女の姿は、自分の姿さえこの場になければ美しいと感じるだろうに、シャーロットには、それらを鑑賞する余裕もない。
その時だった。
ふと、清涼な風が流れた気がして、シャーロットは誘われるように視線を上げて驚いた。
誰も彼もが鮮やかな衣装を纏い、色の洪水となっていた大広間に立っている筈が、視界が一瞬にして、白と黒の二色に転じていた。
戸惑って周囲を見渡すと、人波の中、一か所だけ、色づいて見える場所がある。
すい、と視線が吸い寄せられた先に、真っ黒な衣装を纏った驚く程に長身の男性が立っていた。
黒のジャケットに黒のトラウザーズ、首元に飾られたスカーフまで黒で、唯一、ドレスシャツのみが白。
緩く波打った髪も黒で、頭頂部から耳元を包むように、ゆったりと黒い布が巻かれている。
白黒の世界の中で、黒一色の衣装が鮮やかに見えるとは、どう言う事なのだろう。
不思議に思って首を傾げるシャーロットと、男性の目が、合った。
どくん。
全身が、心臓になったのかと思った。
体が震える程の衝撃に戸惑いながらも、シャーロットの目は、男性から離れない。
彼は、驚いたように一瞬、目を大きく見開いた後、大勢の人の間を縫うようにして、大股でシャーロットの元へとやってくる。
シャーロットは、彼が自分の前で片膝をつくのを、ぼんやりと眺めていた。
「ご気分が、悪いようですね」
彼が膝を折ったのは、自分と視線を合わせる為だ、と気づく。
それ位、間近で見た彼は、背が高かった。
小柄なシャーロットとは、頭二つ半近く、違うのではないだろうか。
きっと、連れもエスコートもいないシャーロットを見掛けて、何処かの子供が迷子になってしまったのだと、心配してくれたのだろう。
ヴェール越しで見えない筈なのに、しっかりと視線が合う事に、シャーロットは困惑する。
「あ、の…」
情けない位、声が掠れていた。
カーラ以外の人と言葉を交わす経験等、もう何年もない。
「あぁ、無理をなさらず。ここは少し、空気が悪い」
縦長の瞳孔を持つ黄褐色の瞳が、シャーロットに優しく微笑んだ。
鼈甲のように深く、それでいて澄んだ瞳は、シャーロットの視線を吸い寄せて離さない。
改めて見てみると、男性は、とても整った顔立ちをしていた。
意思の強そうな凛々しい眉に、涼やかな瞳、高く通った鼻梁。
削げたように鋭い頬と、がっちりした顎の男らしい容貌なのに、柔らかな笑みを浮かべている少し厚めの唇の為か、人を寄せ付けない冷たさはない。
緩く波打つ黒髪は肩先を撫でる位の長さだが、頭に巻かれたスカーフが、背中までの長さかのように錯覚させる。
肩幅は広く、服の上からでも引き締まった筋肉が見て取れた。
その時。
先程まで、彼の声しか聞こえなかった耳に、周囲の驚いたようなざわめきが突然流れ込んできて、シャーロットはハッとした。
彼のように立派な大人の男性を、いつまでも自分の前に跪かせておくなど、許されるわけもない。
「ご心配、有難うございます。どうぞ、わたくしの事など、お気になさらず。お立ち下さいませ」
掠れた途切れ途切れの小さな声だったけれど、彼は聞き取ってくれたようだ。
だが、困ったように眉を顰めたものの、立ち上がる気配はない。
「しかし。お顔の色が悪いではありませんか」
「それは…」
自分でも、顔色が悪くなっているだろう自覚はある。
空気が薄い気がするし、耳鳴りもするし、足ももう、限界だ。
だが何故、ヴェールを掛けたシャーロットの顔色に気づいたのだろうか。
シャーロットは、その違和感に気づける程、初対面の相手との会話に慣れていなかった。
「…何故…」
「あの娘は…」
途切れ途切れに聞こえる、周囲の人々の声。
自分達が広間の人々の視線を一手に浴びている事に、シャーロットは怖気づいて震える。
ヴェールで顔を隠した子供のように小柄で痩せたシャーロットの前に、人一倍長身で立派な体躯の男性が膝をついているのだ。
耳目を集めないわけがない。
それは理解出来るけれど、注目を浴びるのは、本意ではない。
ひっそりと、出席したと言う事実だけ作って、役目を果たすつもりだったのに。
「あぁ、失礼。名乗っておりませんでしたね。私は、ナラン国との境界に接するノーハン領をお預かりしておりますヴィンセント・バーナディスと申します」
この国、マハト王国では、例え事前に相手の名を知っていても、本人に直接名を許されるまでは、その名で呼び掛ける事が出来ない。
自己紹介は、自分の名を相手に預ける事…相手を信頼すると言う意味と同義になるのだ。
名を知っている事が重要な意味を持つ国だからこその礼儀なのだが、シャーロットはこの場で、自分の名を明かしてくれたヴィンセントに対して、明かす事の出来る名を持っていなかった。
「辺境伯が…」
「…獣人の…」
耳鳴りの合間に切れ切れと聞こえる声で、ノーハン領が獣人族の治める領地である事を思い出す。
バーナディスと言えば、辺境伯の名だった筈だ。
侯爵と等しい身分の彼に膝をつかせている事に、シャーロットは改めて青褪めた。
公爵家は王族に連なる家である為、侯爵家と辺境伯家は、実質、この国の貴族で最も高位の家となる。
「娘!御屋形様がお声掛けなさったと言うのに、名乗る事も出来ないのかっ」
苛立った声を背後から掛けられて、シャーロットはびくりと肩を竦める。
「ロビン。そのような大声を出しては、怯えてしまわれるだろう」
ヴィンセントが厳しい声で嗜めるものの、ロビンと呼ばれた男は、荒らげた声を隠そうともしない。
「いいえ、御屋形様。我らが獣人族である故に、このような態度を取っているのでしたら、心得違いを正さねばなりません。御屋形様は今、ナランとの国境に目を光らせておらねばなりませんのに、無理矢理体を空けて今宵の宴に参加なさっているのですよ。我らがノーハンにいる理由を理解出来ていないようでは、マハトの民として問題でございましょう」
ロビンの声は、シャーロットと言うよりも、広間の貴族全員に聞かせようとしているように、大きかった。
いや、実際に、貴族達に思い知らせたかったのだろう。
――…マハト王国には、人族と、獣人族が住んでいる。
だが、王都に住む獣人族は稀で、ましてや王宮に伺候するものなど、いない。
彼らの多くは、獣人族の領地であるノーハン領で生活していた。
ノーハン領は、現在でこそ、マハト王国の一領地となっているが、そもそも、獣人族が治めていた土地だ。
北の国ナランが、豊かなマハト王国の国土を狙うようになって久しい。
国土防衛の為、何代も前のマハト国王が当時の獣人族の長に同盟を持ちかけた事が、ノーハンのマハト編入のきっかけになっている。
獣人族は、純血の人族よりも体力があり、膂力に優る戦士が多い。
だが、彼らは平和主義で、自ら領土拡大を狙って外に出て行く事はない。
そんな彼らに、ナランとの砦になって貰う事と引き換えに、獣人族にはなかった知識と技術の提供を行う事にしたかつてのマハト国王は、現在では賢王と呼ばれている。
マハト編入時に、当時の獣人族の長に与えられたマハト王国での地位が、辺境伯だった。
他に持つ者のない位は、彼の土地の重要性を表している。
しかし、同盟の筈がマハト傘下に組み込まれた事からも判るように、獣人族が皆、与えられた役割に納得しているわけではない。
特にここ数年、マハト王国の後継者争いに付け入る形で、代替わりしたナラン国王が、マハト攻略の足掛かりとしてノーハンの地に触手を伸ばし、度々、国境を侵しているのだ。
獣人族は自らの領地を護る為に戦っているが、それは同時に、国境線を守っていると言う事でもある。
それにも拘らず、王都の貴族がその重要性を理解せず、増援を送る事もなければ、今現在、国境を挟んでナラン兵と睨み合っている最中なのに、平和そのものの顔で着飾って宴に興じているのを、腹立たしく見ているのだろう。
状況を正確に理解している貴族達が、気後れした顔で、ロビンから目を反らす。
「~~~娘!お前が、きちんと辺境伯にご挨拶しないから…っ」
気まずさを、ヴィンセントと対面しているシャーロットに押し付けたかったのだろう。
派手な衣服を身に纏い、ぶよぶよと弛んだ腹を揺らした中年の男性貴族が、シャーロットの肩に手を伸ばす。
咄嗟にヴィンセントが間に割り込もうとしたものの、間に合わない。
軽く触れられただけだったが、外部からの力に、立っているのに限界だったシャーロットは、容易にふらついた。
「あ…っ」
慌てて足に力を入れて踏ん張ったシャーロットは、慣れない靴、重い衣装にたたらを踏む。
何とか倒れずに済んだが、足首をぐきりとひねってしまった。
「いた…っ」
小さい呻き声が、ヴィンセントに聞こえたのだろう。
彼は、眉を顰めて、シャーロットに腕を伸ばした。
「どうぞ、お手を」
「いえ、ですが…」
ズキズキと、足首が痛みを訴えて来るが、差し出された手を取る事は出来ない。
痛めていない足に体重を掛けて、何とか立ち続けようとしたシャーロットの体が、限界を越えて、ふらりと傾ぐ。
「失礼」
ヴィンセントは、素早くシャーロットの体を支えると、彼女の体を左腕に乗せるようにして、抱き上げた。
膝をついていた彼が、突然、片腕に少女を抱いて立ち上がったのだ。
広間のざわめきが大きくなる。
シャーロットは、不意に高くなった視界に眩暈を覚え、思わずヴィンセントの肩に縋りつきそうになったが、慌てて両手を胸の前で組んだ。
不用意に他人に触れては、何が起きるか判らない。
「…大丈夫ですよ。私達獣人族に、祝福は与えられません」
小さく耳元で囁かれたヴィンセントの声に、シャーロットは驚いて、彼を振り返った。
思いがけずに近くにある彼の整った顔に、頬を染める。
「どうして…」
「御名をお呼びする事は出来ませんが、貴女が何方かは、存じ上げております。おみ足がお辛いでしょう、お体に触れる失礼をお許し下さい。高い場所でご不安でしょうから、どうぞ、私の肩に手をお掛け下さい」
前半は小声で、後半は周囲にも聞こえるようにやや大きめの声で。
おずおずと、シャーロットは片手をヴィンセントのよく鍛えられた肩に掛けた。
ヴィンセントは、子供を抱きかかえるように、シャーロットをそのがっしりとした左腕に座らせている。
小柄なシャーロットの体重など、全く感じていないようで、彼の体に力は入っていない。
シャーロットは少し落ち着いて、周囲を見渡した。
ヴィンセントと同じく、黒一色の衣装に黒いスカーフを頭飾りにしているのは、彼に付き従ってきた獣人族だろう。
その数、三人。
周囲の貴族よりも、全員が頭一つは大きく、立派な体格をしていた。
獣人族は、人族とほぼ同じ容姿を持つが、目と耳、それに尾だけ、その祖となる獣の特性を引き継いでいる。
人族に、祖となった獣を知られる事を嫌う彼らは、人族の治める地にいる間、耳と尾を隠す服装をしていた。
頭のスカーフは、ヴィンセントのように無造作に巻き付けている者がいる一方で、襞を丁寧に寄せて複雑な飾り結びにする等、装飾としての意味合いを持たせている獣人族もいるようだ。
腰の後ろにたっぷりと生地を取った上着を着ているのは、尾の形状を判りにくくする為だろう。
一方、人族の貴族は、皆が皆、戦時である事を忘れているかのように、贅を尽くした豪奢な衣装を纏っていた。
先程のロビンの言葉を思い出して、シャーロットは複雑な思いを抱く。
これでは確かに、獣人族が不満を抱いても致し方なく思える。
「シャーロット!」
その時だった。
広間の人垣が割れ、慌てた様子の老齢の男性が、左足を軽く引きずるようにしながら、ヴィンセントの元に駆け寄ってくる。
「バーナディス辺境伯、これは一体…!」
「陛下」
落ち着いた声音で応えて、ヴィンセントは優雅に礼を取った。
腕の上にはシャーロットを乗せたままだが、体勢の不安定さは感じられない。
「姫君が足首を痛めてしまわれた為、僭越ながら、お体のご負担を軽くして頂こうと考えまして」
慇懃な口調ながら、優雅なヴィンセントの物腰からは、国王に対面する気負いのようなものは感じられない。
「足を…?シャーロット、大丈夫か?!」
随分と高い位置にあるシャーロットの顔を見上げる顔には、心配以上の何かが滲んでいる。
そう、脅え、が。
「…ご心配をお掛け致します、陛下」
シャーロットは、久し振りに見た父の顔を感慨深く眺めた。
父の顔をこれ程間近で見るのは、何年振りだろうか。
頭髪は真っ白になり、肌にも皺が随分と増えた。
もう六十を越している筈だから、当然なのだろうが、その年齢以上の老いを感じて、シャーロットは胸が痛くなった。
父が年齢以上に老いて見えるのは、自分の与えた心労に因る所が少なくない筈なのだから。
一方、心の半分で、父と直接言葉を交わす機会が出来た事に安堵していた。
これで義務を果たす事は出来ただろうか、と、ホッと胸を撫で下ろす。
父に、この宴に参加したと認めて貰えなければ、義務を果たした事にはならなかっただろう。
「…シャーロット姫…?」
「祝福の…」
ざわざわと、周囲の貴族達の声が聞こえる。
先程、シャーロットの肩を突いた男性貴族が、青褪めた顔で、慌てて自分の指先を確認するのが視界の端に映る。
知らずに『祝福の姫』に触れた己の身に、『祝福』が与えられたのではないかと、不安になったのだろう。
彼以外の貴族も、怖気づいたように一歩、シャーロットから離れる。それでいて、視線はシャーロットに向かっている。
好奇心に満ちた不躾な視線に、びくりと身を竦ませたシャーロットに気づいたのか、ヴィンセントが国王に向かい、改めて口を開いた。
「陛下。姫君を医務室にお連れしてもよろしいでしょうか」
「あ、あぁ、そうだな。そうしてくれるか、バーナディス辺境伯。皆の者、待たせたな。宴はこれからだ。成人を迎えた者達を祝い、存分に楽しんで欲しい」
国王の宣言に、楽団の演奏が華やかなものへと変わった。
人々の視線は未だ、ヴィンセントとシャーロットに向いていたが、一部の貴族が率先してダンスを始める事で、本来の宴の形へと戻りつつある。
「参りましょうか」
ヴィンセントはそう言うと、シャーロットを抱えたまま、広間の外に向かって歩き出した。
その背後を、ロビンを始め、獣人族が足音も立てずについてくる。
「…バーナディス辺境伯様は、どうして、わたくしの事をご存知だったのでしょう」
広間を出て大扉が閉まると、一気に静かになった。
知らず知らずに詰めていた息を、ほぅ、と吐き出したシャーロットが、ヴィンセントに抱えられたまま、おずおずと問い掛ける。
「どうして…そうですね、姫君は、我々獣人族が、人族の地では耳を隠す理由をご存知ですか」
問いに問いで返されて、シャーロットは首を傾げた。
「昔、人族と獣人族が争っていた時代に、人族が氏族の弱点を狙った事が理由と本で読んだ事があります」
氏族。
この場合は、祖となる獣によって分類された獣人族の血族を指す。
獣人族、と、一まとめにして呼んでいるが、獣人族の中にはそれぞれ、祖となる獣による違いがあるのだ。
「そうです。氏族名を知られる事は、どうしても抗いようのない祖の弱点を知られる事と同じ。人族の方々は、我々が耳と尾を隠していれば、氏族に気づきませんからね。祖を知られぬ為に、隠しているのです。ですが、どう隠そうと、我々獣人族同士ならば、関係ないのですよ」
「何故ですか…?」
「我々は、人族よりも鼻がいいのです。初対面の獣人族がどう変装していても、匂いで相手の氏族が判ります」
「…わたくしの事も、匂いで判ったと言う事ですか?」
「姫君は、聡明でいらっしゃる」
ヴィンセントの鼈甲色の瞳が、柔らかく細められる。
だが、シャーロットはその答えに戸惑った。
「ですが…わたくしはずっと、表に出ておりません」
「えぇ、そのようですね。…十五年前のあの日、私もあの場にいたのですよ」
十五年前のあの日。
そう聞いて、シャーロットの顔が強張る。
「繰り返しになりますが、我々獣人族に、祝福は与えられません」
だから、不安に思う事はない。
言葉にされずとも、ヴィンセントの気遣いが伝わって、シャーロットは唇を噛む。
黙り込んだシャーロットを気遣ってか、ヴィンセントはそのまま、医務室へと彼女を連れて行ったのだった。
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