獣人辺境伯と精霊に祝福された王女

緋田鞠

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***

 一日が経過しても、カティアとの距離を縮めるきっかけが掴めない。
 到着した日の夕食、一晩経って朝食、といずれも運んできたのはカティアだったが、彼女は表情一つ変える事はない。
 内心でどんなにシャーロットに不満を持っていても、それを表には出さないようにしているようだ。
 領主館の食事は、王宮で供された料理よりも、素材の味を生かした素朴な料理が多く、温かい状態で提供されるのもあって、シャーロットの口に良く合った。
 だが、そもそも少食のシャーロットだ。
 食が細いから、と、量を減らして貰うように頼んだものの、それでも食べ残してしまう。
 申し訳ないと思いながら、お腹がはち切れんばかりに苦しくなって残した皿を、カティアがちらりと見て、ぼそ、と零す。
「…獣人族の食事なんて、喉を通らないって事…?」
 カティアは、獣人族よりも聴覚の劣る人族の耳には聞こえていないと思っているだろう。
 だが、精霊達は、そんな小さな呟きすらも、シャーロットに届けてしまう。
 獣人族は、平均的に人族よりも体格がいいので、それに比例して健啖家だ。
 だから、シャーロットに提供されている食事は、一般的な獣人族の食事量の十分の一程度しかない。
 それでも、食べきれないのだから、カティアのように考えるのは、仕方がないのかもしれない。
 人族の中にあっても、極端な少食であるシャーロットの事を、理解して欲しいと言うのも我儘なのだろう。
 だが、そのような勘違いをされるのは、シャーロットの本意ではない。
「美味しく頂きました。恵みに感謝致します」
 だから、せめて、と、食事に感謝する。
「…ごめんなさい。美味しいので、随分と食が進むようになったのですけれど…残してしまって、申し訳ないです」
 カティアに謝罪すると、彼女は無表情のまま、皿を下げた。
「ヴィンセント様は、私の体を心配して、ノーハンにお招き下さったのです。自然の中で体を動かして、新鮮な野菜を見たら、もっと食べられるようになって、もっと健やかになれるのではないか、と仰って。本当ですね。これまでは、二口程しか食事が出来ませんでしたけれど、食事量を増やす事が出来ました」
 言い訳がましいだろうか、と思いつつも、何とか、カティアの悪印象を軽減したくて言葉を続ける。
 カティアは、
「左様でございますか」
とだけ言って、部屋を辞した。
 シャーロットは一人、部屋に残され、手持無沙汰なまま、持参した刺繍を始める事にする。
 捻挫していた足首は、もう殆ど違和感がないが、ここで無理をして悪化させては迷惑を掛ける。
 ただでさえ、体力も筋力もない体だ。
 万全の体調になってから、少しずつ運動を始めたい。
 少しずつ、夏の気配が濃くなってきて、窓を開けなければ熱気が籠る。
 シャーロットが窓を開けると、カティアの憤った声が聞こえて来た。
「聞いてよ。あの女、また、昼食残したのよ。ハンスが毎回毎回、どうすれば食べてくれるのか、って頭抱えてんの判ってんのかしら。しかも、しかもよ、御屋形様の事、名前で呼んだのよ!!何様のつもりよ!」
「嘘?!何それ、やっぱり婚約者気取りって事?」
「ありえないんだけど!」
「あ、そうだ。洗濯場で言ってたんだけどさ、あの女のワンピース、見た感じは普通の町娘みたいじゃない?ところが、使われてる生地が最高級の綿だったんだって。私らじゃ、一生手が届かなそうな。…本当は、やっぱり何処かの貴族の娘なんじゃないの?だから、食事がお口に合わないんでしょうよ」
「…ねぇ、それってさ、御屋形様が、人間の貴族に、無理矢理娘を押し付けられた、って事じゃない…?」
「ありえる」
「おかしいと思ったのよ。だって、御屋形様が結婚しないのは、つがいを待ってるからでしょ?」
「そういう噂だよね。少なくとも、先代様が番に出会った年までは、待つんじゃないか、って話」
「先代様が番に出会ったのは、三十三の時でしょ?御屋形様が今、三十だから、あと三年は結婚しない筈」
「だからこそ、私らは皆、待ってるわけで、ねぇ?」
「人間なんて、番の事、理解出来ないんだから。お互いに不干渉でいいじゃない」
 つがい。
 初めて聞く言葉に、シャーロットは戸惑った。
 いや、意味ならば判る。
 主に動物の、夫婦となるペアの事だろう。
 だが、そこには人間の想像する「夫婦」とは異なる意味合いが込められているように聞こえる。
「御屋形様は貴族だから、人間の社会とも上手くやらなきゃいけなくて、大変だよね…押し付けられた女でも、断れないって事でしょ」
「…もうさぁ、ここは、私らが御屋形様の為に動くべきじゃないの?」
「え、どうやって」
「御屋形様が自分から、人間と結婚するわけないじゃん。でも、断れないから仕方なく連れて来たって事でしょ?だったら、あの女が自分から出て行くように、仕向けたらいいんだよ。ノーハンで歓迎なんかされっこないって判れば、人間様の世界にお戻りになるでしょうよ」
 ふん、と鼻で笑うのを聞いて、シャーロットは青褪めた。
 ヴィンセントが、確かに言っていた。
 シャーロットは、祝福された姫だからこそ拒まれるのではなく、そもそも人族だから、拒まれているのだ。
 どれだけシャーロットが、ヴィンセントに望まれた、と話した所で、誰が、それを信じてくれると言うのだろう。
 シャーロット自身が、未だに何故なのかと疑問に思っている位なのだから。
 彼女達と歩み寄る為の、最初の釦から掛け違ってしまっている。
 ヴィンセントは、ノーハンで帰りを待っていてくれ、と言っていた。
 だから、シャーロットはここで、彼の帰りを待っていたい。
 けれど、領主館に住まう獣人族達の多くは――全員とは思いたくない――、それを、望んでいない。
「まだ…一日しか経ってないわ…」
 そう、小さく口に出してみるが、時間を置けば置く程、誤った印象が固定化してしまう恐れもある。
 どうにかして、シャーロットに他意はない事、飽くまでヴィンセントの意思を尊重する立場である事を、認識して貰いたい。
 彼は、シャーロットを妻に望む、と言ったけれど、その妻に求めているものについては話してくれなかった。
 異種族間の結婚に対して複雑な思いを抱えていると言うヴィンセントが、シャーロットを本当の意味での妻にする事は出来ない、と言うのであれば、名目上の妻でもいい。
 ハビエルが王位に居る間、ノーハンを守護する武力を人族から引き出す為に、シャーロットがヴィンセントの隣に立つ必要があると言うのであれば、そうする。
 綺麗事なのかもしれないが、シャーロットにはヴィンセントの気持ちを最優先する事位しか、自分に出来る事を思いつかない。
 ましてや、ヴィンセントが後継者を望むと言うのならば、その役割は自分には果たせないのだから、飾りとして扱われても仕方がないのだ。
 最優先は、ヴィンセントの気持ち。
 そう伝えたくとも、ヘンリクがヴィンセントの婚約者として紹介していない以上、シャーロットから話を切り出す事も出来ない。
 ただの客人と言う立場のシャーロットには、何故、ヴィンセントの婚約者になっているのか、その事を自分がどう思っているのか、それを伝える機会すらないのだ。
 取っ掛かりが掴めないまま、カティアと打ち解ける事が出来ないでいる。
 カティアは、食事を運び、洗顔や清拭の湯を運ぶ事はしてくれるが、手伝いをシャーロットが断ったからか、用事を済ませると直ぐに部屋を辞してしまう。
 私的な会話を交わして、シャーロットの気持ちを知って貰う事が出来ない。
 昼食の時だって、何とか警戒心を解けないものかとシャーロットなりに頑張ってみたが、会話の接ぎ穂を見失ってしまった。
「部屋から、出てみようかしら…」
 ヘンリクからは、領主館の敷地内であれば、好きにしてくれていい、と言われている。
 彼は、獣人族らしく身分に頓着しないし、そもそもシャーロットの本来の身分も知らないから、護衛の必要性等、考えもしないのだろう。
 足首を気にして、暫く部屋に籠っているつもりだったけれど、カティアと仲良くなるきっかけが掴めないのならば、他の獣人族と接してみるのはどうだろうか。
 シャーロットは一つ頷いて、手にしていた刺繍用の生地を片付けると、与えられた部屋から初めて出てみた。
 まずは、厨房に足を運んでみる。
 カティアは、「ハンスが頭を抱えていた」と話していた。
 ハンスは、シャーロットと会った事がない。普通に、人族の客人向けの食事を用意したつもりが、残される事に悩んでいるのだろう。
 シャーロットの貧弱な体を見れば、少食であると言う言葉が、言い訳ではないと判って貰えないだろうか。
「あの…」
 誰に会う事もなく一階に降りると、屋敷の奥に向かって厨房を探し、漸く、目的地を見つけた。
 そっと入口から顔を覗かせて声を掛けると、白い前掛けをした人物が振り返る。
「何だい…あれ?」
 枯草のような白茶けた髪からは、焦げ茶色の垂れた長い耳が覗いている。
 ぴくぴくと動く様子は、彼の警戒心を示しているのだろうか。
「初めまして、シャーロットと申します。この厨房を任されている方ですか?」
 シャーロットが名乗ると、彼は、こくり、と頷いた。
「え、えぇ…ハンスです」
「ハンスさんと仰るのですね。お食事のお礼に参りました。ノーハンの新鮮なお野菜がたくさん使われていて、とても美味しいです。…私は、この通り、体も小さく、これまで余り多くを食べる事が出来ずにいたのですが、ハンスさんのお食事は、少しでもたくさん頂きたいと思っています」
 にこやかに続けると、ハンスは戸惑ったように視線を彷徨わせる。
「あの…お口に合わない、わけではないのですか」
「とんでもない!お食事の時間がとても楽しいんですよ。ですが…本当に申し訳ないのだけれど、量を食べられないせいで、残してしまって…お気を悪くなさいましたよね」
 シャーロットが眉を顰めて申し訳なさそうな顔をすると、ハンスは慌てて、両手を振った。
「い、いや!そりゃ、人によって、食べる量が全然違うのは当たり前ですし!獣人族だって、氏族によって全然、盛り付けが違うんです」
「そうなのですか?」
「えぇ、だから、相手の氏族に合わせて、最初から盛り付ける量を変えるんですが…その、人族のお方に料理を作るのに慣れてないもんで、何か粗相があったのではないか、と」
「ごめんなさい、ご心配をお掛けしましたね。私は、実家でも毎食、二口分位しか食事を取れていなかったので…」
「二口…?!」
「そうなのです。ノーハンに伺う道中、ロビンさん達が作って下さるスープが美味しくて、少しずつ食べられる量が増えて来たと思うのですけれど、まだまだ少ないですよね。…ヴィンセント様も、もう少し、食べる量を増やしていこう、と」
 ヴィンセントの名が出た事で、ハンスは、それまで僅かに逸らしていた視線を、シャーロットに初めて向けた。
「御屋形様が、ですか」
「はい。きちんと体を動かして、お腹を空かせて、ノーハンの新鮮な野菜を食べるようになれば、きっともっと、体力がつく、と仰っていました」
 緊張感の漂っていた顔から力が抜けて、くす、と、ハンスが笑う。
「御屋形様らしいや。あの方は、御世話焼きですからね」
「やはり、そうなのですか?」
 ハンスの反応を見て、シャーロットが婚約者と言う話は、一部の使用人にしか広まっていないのだろう、と推測したシャーロットは、もう少し、ハンスと会話を続けようと試みる。
「ヴィンセント様は、お優しいですものね。道中でも、気を配って頂きました」
「自分より弱い者全てを、守ろうとなさるお方ですからねぇ」
 うんうん、とハンスが頷くのに合わせて、垂れた耳が揺れた。
 細く長い耳は、一見すると兎なのだが、ハンスは兎族なのだろうか。
 直接、氏族名を尋ねる事は失礼に当たるのではないか、と、シャーロットは問う事はせずにいる。
「…まぁ、だから、カーシャにいらっしゃるのが心配なんですが…」
 小さく付け加えられた言葉に、シャーロットは、言葉の意味を理解して、顔色を変えた。
「それって…」
「あぁ、いや、申し訳ない、大した話じゃないです」
 ハンスは、気まずそうに話を切り上げる。
「すみません、そろそろ、夕飯の仕込みが」
「長居してしまって申し訳ありません。お夕食も、楽しみにしておりますね」
 シャーロットは厨房を後にすると、ホッと安堵の溜息を吐く。
 少なくとも、カティアから向けられているような敵意は感じない。
 この屋敷の使用人の一部だけでも、シャーロットの気持ちを理解してくれるようになれば、ヴィンセントが戻って来るまで滞在する事は可能だろう。
 第一歩を踏み出せた気がして、少し、自信がつく。
 いずれ、ヴィンセントを隣で支えようと考えるのであれば、ここから始めていかなくては。



 翌日の朝食は、ハンスが気を遣ったのか、これまで以上に量を減らしてくれたお陰で、初めて完食する事が出来た。
 美味しい食事なのに残さなくてはならない罪悪感から解放され、シャーロットは安心する。
 やはり、きちんと自分の言葉で会話をする事が大事なのだ。
 朝食後、今度は、洗濯場に行ってみる事にした。
 シャーロットは、「洗濯」と言う言葉の意味は理解しているが、どのように行っているのかは知らない。
 ヘンリクに、洗濯場を見学してもいいか許可を得て、場所を教えて貰う。
 屋敷の裏庭に水場があり、その周囲で、女達が布を広げていた。
 たらいに満たした水の中で、じゃぶじゃぶと布を洗濯板にこすり合わせながら、石鹸の泡を立てて汚れを落としていく。
「おはようございます」
 シャーロットが声を掛けると、三人いる女達が、胡乱気に視線を寄越した。
 いずれも、三十代から四十代、シャーロットと同じ年頃の娘がいても不思議はないように見える。
「初めまして、シャーロットと申します。あの…私に、洗濯を教えて頂けませんか?」
「…人族のお嬢様が、洗濯を?何でまた」
「生活に必要な事だから、です。これまで、経験がないものですから、教えて頂けたら嬉しいのですが」
 昨日、ハンスがシャーロットに向けた視線よりも棘が含まれているように見えるのは、シャーロットが貴族の娘だと思っているからなのだろうか。
「…ま、それがご希望なら、どうぞ?」
 三人の中で最も年長な女が、自分の使っていたたらいを指し示す。
「そんな難しいもんじゃないですよ。石鹸の泡を立てて、布を板に擦り合わせながら、汚れを落としてくんです。力任せにゴシゴシやっちまうと布を傷めるし、かと言って優しくし過ぎると汚れが落ちない。その加減は、やってかないと分かんないでしょうけど」
 視線に比して親切に教えてくれるのは、彼女が元々は世話焼きだからなのだろう。
 まずは、これからやってみたら、と、シャーロットはハンカチを渡された。
 カーラが刺繍を刺してくれたシャーロット自身の物だ。
 自分のハンカチであれば、万が一、何か間違えたとしても、大丈夫だろう。
 ワンピースの裾をたくし上げて、たらいの前に座り込んだシャーロットは、見様見真似でハンカチを擦り合わせる。
 しかし、ちゃぽちゃぽと水が揺れるだけで、石鹸の泡は立たない。
「もう少し、力を入れても大丈夫ですよ」
 言われるままに力を込めてみるが、シャーロットの非力な腕では、水の抵抗も相俟ってゆらゆらと水面を揺らすだけだ。
 額に汗を掻きながら、覚束ない手つきで懸命にハンカチに向き合うシャーロットに、洗濯場の女達は、からからと明るい笑い声を上げた。
「お嬢様は非力だねぇ。そんなじゃ、いつまで経っても洗濯が終わりゃしない」
「洗濯用の石鹸は、入浴用より固いんだ。しっかりと擦らないと、泡が立たないよ」
「あぁ、ほら、そこに染みがあるだろ?そこを抓んで念入りに擦ってごらんな」
 視線と言葉から棘が抜けて、シャーロットはホッとして額の汗を拭う。
「ご覧の、通り、非力、ですので…お邪魔、して、申し訳ない、です…」
 息が上がって切れ切れと言葉を発するシャーロットを、女達は面白そうに眺めている。
「人族の娘さんってのは、皆、こんなに非力なのかい?」
「いえ…私は、特に、力がない、のです。食事も、余り、食べられなくて、ハンスさんにも、ご心配を、掛けてしまいました」
 少しずつ、息が整ってきたシャーロットは、ふぅ、と一つ深く呼吸した。
「…ヴィンセント様は、余りにも半人前な私をご覧になって、ご心配なさったのです。だからこそ、ノーハンにお招き下さったのですわ。ノーハンの自然の中で、もっと運動して、お腹を空かせて、食事量を増やして、体力をつけて、体重を増やしなさい、と仰いました」
 体重を増やす、と言う言葉で、女達は顔を見合わせて、堪えきれないように吹き出す。
「御屋形様らしいねぇ」
「だけど、年頃の娘さんに体重を増やせ、って…全く野暮だよぉ」
 袖捲りして、筋肉で引き締まった腕を惜しげもなく見せている女達は笑いながら、シャーロットの肩をぽんぽんと叩いた。
「あたしらはねぇ、皆、豚族なんだ」
 髪が落ちないようにする為だろう、色鮮やかなスカーフを頭に巻いている女達の耳は見えないが、彼らは氏族に誇りを持っているから、氏族名で嘘を言う事はない、とジェラルドに聞いている。
「豚族は、綺麗好き。筋肉質で、力も強い。洗濯は天職だと思ってるよ。だから、このお屋敷での仕事も好きなんだ。…お嬢様、あんたが何で洗濯場に来たのかは、判ってるつもりだよ。若い娘らは、あんたが御屋形様の客人と聞いて、ピリピリしてるからね」
 シャーロットは、ドキリとして、彼女の顔を見返した。
 年の功と言うものなのだろうか、何も隠せる気がしない。
「御屋形様が、何を考えてるかだなんて、あたしらにも判りゃしない。もっと穏便に招く事は出来なかったのかね、とも思ってる。表立って、あんたを庇ってやる事は出来ないけど、少なくとも、あんたがあの子らの言うような性悪じゃないって事は判ったから、安心しな」
「有難うございます…あの、また、お仕事の様子を見に来てもいいですか」
 お手伝いするのは、却ってお邪魔になりそうなので、見るだけ…と言ったら、女達は笑って受け入れてくれた。
「あぁ、自己紹介が遅れたね。あたしがタシャ、こっちがメリ、で、一番若いのがテアだ」
「タシャさん、メリさん、テアさん、お仕事のお邪魔を致しました。とてもいい経験をさせて頂きました」
 長い間、しゃがんでいたので、立ち上がる時にふらついたシャーロットを、隣にいたタシャが咄嗟に支えてくれる。
「あぁ、ほんとだ、ちょっと体重増やした方がいいわ」
 悪戯っぽく言われた言葉に、シャーロットは笑った。
 領主館に来て初めて、憂いなく笑えた気がした。
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