獣人辺境伯と精霊に祝福された王女

緋田鞠

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「邪魔をする」
 ヴィンセントは、彼には低い戸口を器用に潜り抜けて、勝手知ったる様子でマチルダの家に入った。
「聞いてたよりも、お早いお帰りだね」
 マチルダは、外の騒ぎに気づいていたのか、ヴィンセントの姿を見ても、驚く様子もない。
 テーブルの上には、既に五人分の昼食が用意されている。
 急な来客だったが、成長期のウィルヘルムの為に、いつも、大量の食事を作っているから余裕があったのだろう。
「ハルムの雫を有難う。お陰で、全員が回復した」
「礼なら、シャーロットに言っとくれ。あたしだけじゃ、見つからなかった」
「シャーロットの事も。貴女が保護してくれていて、本当に助かった。感謝する」
 宝石を集め終え、馬の手綱を木に繋いだロビンとウィルヘルムが室内に入ってくると、マチルダは無言で席を勧めた。
 ヴィンセントが、当然のようにシャーロットを抱いたまま、椅子に座ろうとするのに、シャーロットが抵抗する。
「…ヴィンセント様。私はもう、怪我もしておりませんし、一人で大丈夫です。先程は…久し振りにお顔が見られたのでつい甘えてしまいましたが…余り、甘やかさないで下さいませ」
「しかし…漸く、お会い出来たのに」
「大丈夫です、ここにおりますから」
 眉を寄せて情けない顔を見せるヴィンセントに、シャーロットが微笑みかけると、名残惜しそうに隣の椅子に彼女を下ろす。
「…ロビン、何だい、このおっきな赤ん坊は。ずっと、この調子なのかい」
「悪化してるな。離れ離れになったのが、相当辛かったらしい」
 ヴィンセントは、片時もシャーロットから視線を離さない。
 シャーロットもまた、にこにこと嬉しそうにヴィンセントの顔を見つめている。
「何だかねぇ…あたしが聞いてた話と、大分様子が違うみたいなんだが?」
「お嬢様がどんな話をしていたかは知らんが、悪化しているとは言え、ヴィンスは概ね、こんな感じだった。あぁ、そうだ!ヴィンス、どうして、ここにお嬢様がいると判ったんだ?」
 ロビンの言葉に、ヴィンセントは不思議そうに首を傾げた。
「どうして、か…敢えて言うのなら、勘、だな。領主館に戻って、シャーロットがいない事に気づいて、何処にいるのか、と周囲を見回した時に、気になった方角に馬を走らせただけだ」
「そんなのありかよ…」
 頭を抱えるロビンに、ふと、真面目な顔になったヴィンセントが尋ねる。
「寧ろ、お前こそ、何故、ここが判った?」
「ヘンリクに聞いたんだよ」
「ヘンリクに?」
「お嬢様が領主館を出た後、ヘンリクは密かに捜索してたらしい。で、マチルダが保護した事を確認して、ここなら大丈夫だ、と判断したようだな」
「ヘンリクさんは、私がここにいるのをご存知だったのですか?!」
 シャーロットが驚いて尋ねると、ロビンは頷いた。
 であるならば、シャーロットは、領主館の使用人から見捨てられていたわけではないと言う事か。
 いや、迎えはなかったのだから、そう言い切るわけにもいかないのか。
「シャーロット」
 ヴィンセントの瞳に、悔恨の表情が浮かんでいるのを見て、シャーロットは彼に微笑みかける。
「ノーハンで、お待ちしておりましたよ」
 ヴィンセントが謝罪する前にそう言うと、彼は唇を噛んだ。
「…領主館は、それ程に居心地の悪い場所でしたか」
「ヴィンセント様は、何をご存知ですか?」
「私は、何も知りません。カーシャから、今朝方、領主館に帰還しました。そこで、シャーロットがいない事に気づいて…後は、ただひたすら、馬を走らせただけです」
 ロビンを振り向くと、彼もまた、頷く。
「その通りです。ヴィンスは、領主館に着くなり、『シャーロットがいない!』と叫んで…そのまま、馬で駆け去ってしまったもので。出迎えに出ていないだけなのでは、と、ヘンリクに確認した所、お嬢様が領主館から去って、二ヶ月が経ってると言う。…眩暈がしました。ヴィンスの荒れようを想像して。ですが、ヘンリクが、マチルダに保護されているから問題ない。寧ろ、領主館よりも安全だろう、と。その言葉を聞いた段階で、ヴィンスに行き先を告げるべく追い掛けたのですが…追いつきませんでした」
 溜息を吐いて、止められなくてすみません、と謝罪するロビンに、シャーロットは緩く首を横に振った。
「…では、私が何故、領主館にいなかったかについては、ヘンリクさんから、説明を受けていないのですね?」
「えぇ。…何が、あったのですか、シャーロット」
 ヴィンセントの真摯な視線に、シャーロットもまた、正面から向き合う。
 そして、カティア達と上手く馴染めなかった事を語った。
「では、カティア、イヴリン、バーリーと、ティルカの花畑にピクニックに向かったのが、領主館を出た最後の日なのですね?」
「はい。カティアさんは、昼食をハンスさんに頼むと話していました。実際、お昼には野菜がたくさん入ったサンドウィッチを用意してくれていたのですが、それを一口頂いた所で、意識を失ってしまって…。気づいたら夕方で、アテムとの隧道の前に、王都から持参したトランクと共に、倒れておりました」
「…それで」
「アテムに戻るつもりはありませんでしたから、取り敢えず、領主館に戻ろうと、歩いてみたのです。ですが、夜も更けて、道が判らなくなり、疲れもあって眠ってしまいました。私としては、ただ眠っただけのつもりだったのですが、実際には高熱を出していて、そこを、マチルダさんに助けて頂いたのです」
 マチルダに助けられてからはずっと、ここで、手伝いをしている、と聞いたヴィンセントは、黙ったまま、シャーロットの話を聞いているマチルダに、改めて礼を言う。
「マチルダ。本当に、何と感謝すればいいのか」
「…今思えば、あれも精霊の導きだったんだろうね。この子の周りだけ、光ってたから」
 マチルダは、礼に関しては何も言わずに、当時の状況だけを語った。
「旅の疲れやら、気苦労やら、色んな要因が絡んでたんだと思うけどね。シャーロットは五日間、高熱で意識が朦朧としてたのさ。…あたしは、確かに人族が嫌いだ。だけどね、弱ってるもんを放り出す程、冷たくもなれない」
 ヘンリクがシャーロットを見つけたのは、その間の話なのだろう、と、ロビンが説明を加える。
「俺も、何でお嬢様が領主館から去ったのかまで、聞く時間がないまま、出て来たから…詳しい話は、戻らないと判らないが」
 ヴィンセントは難しい顔をして、黙り込んだ。
 彼にとっては、気心の知れた使用人達の筈だ。
 シャーロットの話だけ聞いても、信じ難いだろう。
 それでいい、とシャーロットは思う。
 彼と使用人の間に溝を作るのは、シャーロットの本意ではない。
 ただ、カティア達…人族であるだけで、シャーロットを嫌う彼等と、話し合いがしたいだけだ。
 話し合った上で、人族だからではなく、シャーロット個人が嫌いだと言うのならば、それは仕方がない。
 無理矢理、従えと言うのは横暴だ。
「貴女は、ノーハンで過ごす事が辛くて、自主的に領主館を去ったわけではないのですね」
「勿論です。何とか、ヴィンセント様のお戻りまで、領主館での滞在を続けたかったのですが…叶いませんでした。実際の所、私にも、何が起きたのかは判りません。サンドウィッチに何かが仕込まれていたのかもしれませんし、獣人族には害がないけれど、人族には害のある野菜が偶然含まれていたのかもしれません。突然、昏倒した私を見て、焦った結果、隧道に置いていったのかもしれません。それこそ、カティアさん達に尋ねてみないと」
「ですが…彼等と顔を合わすのは、辛くはありませんか」
「いいえ。ヘンリクさんは、私がヴィンセント様の婚約者である事を、正式には伝えておりません。けれど、ジェラルドさんの言葉を漏れ聞いた方から、一部の使用人に話が伝わっているようでした。素性の説明のない自称婚約者の人族の娘に、不信感を持つのは当然の事です」
 それでも躊躇う様子のヴィンセントに、シャーロットは微笑みかける。
「花畑に行った時、私は、カティアさん達とお話をするつもりだったのです。話をして、私と言う個人を知って頂ければ、一歩進めるのではないかと考えて。…実際には、話す時間を作る事が出来ませんでしたから、その機会がまたあれば、嬉しいです。勿論、マチルダさんに救われて、今の私が元気だから、出来る事ですが」
 ヴィンセントは、静かに頷いた。
「…やはり、シャーロットは聡明ですね。そして、とても冷静です」
「時間を置いたからですわ。それに、マチルダさんにもウィルにも、とてもよくして頂きましたから」
「…ウィルヘルムの事を、呼び捨てにしてらっしゃるのですね」
「兄さん…そんな目で見ないでよ。兄さんの婚約者だなんて、知らなかったんだから」
 え、と、ヴィンセントはショックを受けた顔で、シャーロットの顔を見る。
「…私の名を出すのは、お嫌でしたか?てっきり、バーナディス家の婚約者だからこそ、マチルダが保護したのだと…」
「いいえ、まさか!ですが…あの…」
 躊躇うシャーロットに、マチルダが呆れた顔を隠すでもなく、ヴィンセントに声を掛けた。
「随分と頭に血が上ってるね。婚約者である事を受け入れられずに領主館を追い出された娘が、堂々とあんたの花嫁だと名乗れるとでも思ってんのかい?」
「それは…」
「心配しなくても、シャーロットの頭ん中は、あんたの事で常に一杯だったよ」
 耳まで真っ赤になったシャーロットの顔を見て、漸く、安心したようにヴィンセントは息を吐く。
「…すみません、貴女の事になると、冷静ではいられなくて」
「これが、手管じゃなくて本気な辺り、性質が悪い…」
 ロビンの呆れたような声に、ウィルヘルムが苦笑する。
「確かに兄さんは、これまで、浮いた話の一つもなかったですからね」
 本人の耳に聞こえるように言っている辺り、隠す気もないのだが、二人の会話を聞いて、ヴィンセントが不貞腐れたように答えた。
「だから、これまでは仕事が多忙だったのだと言っただろう」
「今も、忙しいんだけどな」
 ぼそりとロビンが言うと、ヴィンセントは開き直る。
「シャーロットを見つけたからな。忙しい等と言っていられない」
 シャーロットの心の底に澱のように溜まっていた不安が、溶けていく。
 ヴィンセントの中に、北の塔に閉じ込められていたシャーロットを不憫に思い、同情する気持ちがあるのは確かだろう。
 十五年前に彼の父親が交わした約束への義務感があるのも、確かだろう。
 政略的に有意義でない婚姻である事を、シャーロットは誰よりも理解している。
 ヴィンセントは、はっきりと言葉にしてくれたわけではないが、彼の中でシャーロットが特別な相手であると思うのは、自惚れではない筈だ。
 ヴィンセントは、折に触れてシャーロットを抱き上げる。
 それは、幼子に対する触れ合いに見える一方で、シャーロットを婚約者として甘やかしているようにも見える。
 シャーロットが一方的にヴィンセントを恋い慕っているのではないのならば、彼がシャーロットに特別な好意を持ってくれているのならば、ここから、お互いを理解していく事が出来る筈だ。
「嬉しいです、ヴィンセント様」
 シャーロットが満面の笑みで告げると、ヴィンセントは一瞬、惚けたように彼女の笑みに見惚れた後、破顔した。
「良かったな、ヴィンス。お嬢様がノーハンにまだ残って下さっていて」
「あぁ」
 しみじみと噛み締めるヴィンセントとロビンのやり取りを見ながら、シャーロットは、忘れかけていた事を思い出す。
 ウィルヘルムを年の離れた弟だと紹介されたが、彼は同母弟なのか、それとも異母弟なのか。
 いや、ウィルヘルムが祖母と呼ぶマチルダを、ヴィンセントは名で呼ぶと言う事は、恐らく、マチルダはウィルヘルムの実母の母なのだ。
 と言う事は、マチルダの娘が、前バーナディス辺境伯の番――人族の辺境伯夫人と、先代辺境伯の隣を争った人物か。
 人族を嫌う筈だ、と、シャーロットは納得する。
「…シャーロット?」
 何度か、声を掛けられていたらしい。
 心配そうなヴィンセントに、何でもない、と首を横に振る。
「領主館がお嫌でないのでしたら、昼食を頂いたら、領主館に帰りましょう」
 薬草の採取は、問題ないのか。
 問うようにマチルダを見ると、大袈裟に肩を竦められる。
「ま、普段はウィルと二人でやってる事だからね。大丈夫だ。それに、あんたをこれ以上引き留めると、大暴れされそうだからねぇ」
 誰が、とは言わないが、人一倍体の大きな人物の事であろう事は、明白だ。
「本当に、あんたがいてくれて助かったよ。また、手伝いに来ておくれね」
「はい。こちらこそ、本当にお世話になりました」
「…長い付き合いになるんだ。第二の家とでも思っとくれ」
「有難うございます」
 シャーロットが瞳を潤ませたのを見て、王都を発った時よりふっくらとしてきた頬を、ヴィンセントの大きな手が優しく撫でた。




 昼食後、食休みを取ってから、ヴィンセントとシャーロット、ロビンの三人は、領主館に帰還する事となった。
 シャーロットは、荷物をまとめ、滞在していた部屋を、大急ぎで掃除する。
 王都からノーハンに出発する時も、準備の猶予なく、慌ただしい出発となったが、それが決して嫌ではないのは、同行するのがヴィンセントだからだ。
 頭の隅に、今後への不安はある。
 だが、ヴィンセントが隣にいる、と思うと、その不安すら霞む位の幸福感が湧いてきて、難しい事を悩み続ける事が出来ない。
「シャーロット、荷物はこれで全部ですか?」
「はい」
 シャーロットが、王都からノーハンに持ち込んだのは小さなトランク二つ。
 マチルダの家に滞在中、薬草摘みの為に何着か服を仕立てたものの――必要な生地は、マチルダが手伝い賃だと言って提供してくれた――鞄を増やす程の量ではない。
「では、こちらは、ロビンの馬に乗せますね。シャーロットは、私と共に行きましょう」
「よろしくお願い致します」
 見送りは、マチルダと少し呆れたような顔のウィルヘルムがしてくれた。
「シャーロット。もう少ししたら、夏季休暇も終わるし、そしたら、俺も学校に戻る。学校は、領主館の傍なんだ。もしも、兄さんに何かされたら、俺に言えよ」
「ウィルヘルム。シャーロットを困らせるような事を、する筈がないだろう?」
「…それが信用出来ないんだよ。実際、兄さんは、右も左も判らないシャーロットを、領主館に一人で置いてけぼりにしたんだろ。そのせいで何が起きたのか、もっと話を聞いてやれよ。こんなに脆くて弱い人族の娘を嫁にするんなら、ちゃんと守ってくれ」
 いつになく、厳しいウィルヘルムの口調に、ヴィンセントは何か言い返そうとして何も言えないまま、難しい顔をして黙り込む。
「…そうだな、お前の言う通りだ」
「浮かれてばかりじゃいられねぇのは、兄さんだって判ってるだろ。シャーロットを守る権利があるのは、兄さんだけなんだぞ」
「あぁ、そうだな」
「シャーロットが傷つくような事があったら、例え兄さんでも、許さねぇからな」
「判った」
 ヴィンセントは神妙な顔で頷くと、にこ、と笑って、ウィルヘルムの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
 ウィルヘルムも長身だが、それよりなお、ヴィンセントの方が背が高い。
「子供だ子供だと思っていたが…いつの間にか、こんなに大きくなっていたんだな」
「ちょ、何すんだ…!」
「お前も、もう直ぐ成人か。あの鼻たれ小僧が大きくなって…嬉しいような寂しいような…」
「喜んでやんなよ」
 じっと黙っていたマチルダが口を挟むと、ヴィンセントは、笑って頷いた。
「あぁ、そうだな。喜ばしい事だ」
「ウィルはね、シャーロットが来て、成長した。やっぱり、環境の変化が成長には必要なのかねぇ」
 癖のある黒髪が、乱暴にかき混ぜられた事でくしゃくしゃになった事に、口を尖らせて抗議するウィルヘルムの顔を見ながら、ヴィンセントは少しだけ、複雑な表情を見せる。
「そうだな…」



「じゃあ、俺は先に行ってる」
 マチルダの家を発って直ぐ、ロビンはシャーロットのトランクを馬の背にくくりつけたまま、駆け足で領主館へと去って行った。
 馬に乗るのが初めてのシャーロットは、手綱を握るヴィンセントの前に、横向きに座った状態で、並足でのんびりと街道を進んでいる。
 ヴィンセントの馬に乗せていた鞍は一人乗り用だった為、外して二人で乗れるようにしていた。
 裸馬でも問題のないヴィンセントはともかく、肉付きも筋肉も少ないシャーロットの体の負担を考えて、綿の入ったクッションをくくっている。
 大柄なヴィンセントに加えて、シャーロットまで乗ってしまうと、馬が耐えられるのか心配になるが、そもそも、大柄な獣人族の乗る馬は、人族が乗る馬とは品種が違い、足が強いのだそうだ。
 夏の日差しを遮る為、シャーロットはボンネットを被っているので、直ぐ傍に座っているヴィンセントの顔も見えない。
 ただ、左腕に触れる彼の熱を、感じているだけだ。
 ヴィンセントは、シャーロットの負担にならないよう、馬上の揺れが少なくなるように気を付けているのだが、それが却って、眠りを誘う。
「シャーロット?疲れましたか?」
「いいえ…あの、少し、眠いだけで」
 くす、と、ヴィンセントの小さな笑い声が聞こえる。
「薬師の朝は早いですからね。お昼寝して下さっても、構いませんよ。大丈夫、しっかりと抱き締めていますから」
「ですが…折角、お会い出来たのに」
「話は幾らでも、後で出来ます」
 そう言うと、ヴィンセントは手綱から右手を離し、シャーロットの頭をそっと、自分の胸に凭せ掛けた。
「貴女が甘えて下さるのは、私だけでしょう?」
「…えぇ」
「役得ですね」
 ふふ、と笑う声に、シャーロットは、眠気に抗い切れず、そっと目を閉じる。
 ヴィンセントの両腕に囲われたこの場所は、世界で一番、安心出来る場所だ。
「…シャーロット。もう、くまさんは必要ありませんか…?」
 眠りに落ちる直前、ヴィンセントに問われて、シャーロットは夢見心地で答える。
「ヴィンセント様が…くまさんでしょう…?」
 ふわふわと幼い口調で返すシャーロットに、ヴィンセントは息を飲んだ。
 彼女は何処まで、何を、知っているのかと恐れながら。
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