エーデルワイス〜戦後記憶を失った少女が自分とは何者か探しに行く物語〜

さかな

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それでも父は(3話)

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「だから、君の名前はローザじゃない。2年間騙していて本当に申し訳なかった。君の名前を私は知らないんだ。」

「じゃあ私はどこで記憶を失っていたんですか?どこで拾ったんですか?私は誰なんですか?」

「本当に申し訳ない。君について知っていることはただ一つ。君は海辺に横たわっていたんだ。あまりに綺麗だったから近寄ったんだ。娘にも近い年齢にも思えたから。瞳の色も同じで娘にできなかったことを君にしてあげたかったんだ。」

「そうですか。」

「本当にすまかった!私の茶番につき合わせてしまったんだ。この2年と言う時間は一生をかけても取り返せない。私は絶対に許されないようなことした。本当にすまない。」

「許します。」

「え?」

「私はルキウスさんを許します。私は本来親からの愛を受けれなかったんですから。私はローザさんとして生きていけてこの2年間は本当に幸せだったんです。私がローザさんではないことを知らない方が良かったのかもしれません。」

「本当に幸せだったかい?」

「本当に幸せでした。」

「それならよかった。これからはどうするんだ。」

「私は名前を探しに行きます。」

「え?」

「もう私の出生地はわかっています。ルキウスさんも気づいていますよね。」

「ダーバルデット。」

「はい。もともとダーバルデットとヴァルミッチは二つの島で一つの国だったのが内部分裂。2つの国に分かれた後は文明も別の道を辿るようになり、話す言葉は同じでも違う文字になりました。」

「だから君はダーバルデットからあの戦争をきっかけにヴァルミッチに辿り着いたんだ。これは言わせて欲しいが君ががダーバルデットの人間なのは知らなかった。」

「わかっています。けど、私は敵国の人間です。兵隊だったルキウスさんは私のことをどう思っているのですか?」

「すまんが、もう一つ黙っていることがある。」


「なんですか?もう何を言われても大丈夫です。」

「まぁこれは後で言う。ご飯が冷めてしまうから食べてしまおう。きっとこれがここで君と食べる最後の晩御飯だ。楽しく過ごしたい。っといったら傲慢だな。すまない。」

「そんなに思い詰めないでくださいお父さん。」

「今なんて?」

「ルキウスさんは私のお父さんなのは変わりないのです。血のつながりが親子だとは私は思いません。なのでずっと私たちは親子です。もし、私が私の名前を知った時ローザさんではなく私を娘として扱ってくれますか?」

「もちろんだ。」

「それでは食べましょうお父さん。せっかくの美味しいご飯なのですから。」

ルキウスさんはローザさんにできなかったことを私にしてくれた。だから私はローザさんができなかったことをルキウスさんにしなきゃいけませんね。出発は1週間先にしよう。
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