地味悪役令嬢、破滅回避のために全力で透明になります

黒瀬ユカ

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真実が暴かれたその翌週。  

王都は、静寂の終わりとともに、不穏なざわめきに包まれていた。

王宮の玉座からは、制度再編の予告が告げられ、  
聖女ミリアンヌは拘束、王太子レオポルトは追放。  
透明だった証人は、名を持つ証言者となった。

だが、真実はいつも、すべてを納得させるものではない。

「神を貶めるな! 聖女様は我らの光だ!」  
「魔女に惑わされた偽証だ! 消えろ、断罪の裏切り者!」

王都広場を中心に、聖女制度の擁護を掲げる民衆が集まり始めた。  
中には宗派を名乗る者も混じり、暴徒化した一部は学院の正門に押し寄せ、  
投石や罵声が繰り返される。

王都旧公文書館前では、改革派と反対派が激突し、  
「神託を否定するな!」「断罪はもう要らない!」と、  
祈りと叫びが入り混じる混乱が起こる。

まるで、透明だった真実が表に出たことで、  
社会全体が自らの“信じていたもの”に牙をむかれたかのようだった。



その混乱を、アニカは高所の窓から静かに見つめていた。

「……これは、わたくしが引き起こしたこと」

リゼットが心配そうに声をかける。

「お嬢様のせいでは――」

「いいえ。沈黙を破った者には、語る責任があるのです。  
沈黙に守られていた頃には見えなかった、この“感情の奔流”も。
わたくしが見なければならないもの」

アニカは再び筆を執る。

《沈黙と透明は、逃げるための手段ではありませんでした。  
それは、真実を見つけるための在り方でした。  
そして今、私は、その真実を語る責任があります》

声明文は、王都の掲示板にて公開される予定だった。  
だが、それは単なる言葉ではなかった。

透明から顕在へと歩を進めた少女が、  
自らの姿で世界と向き合う“決意の灯”だった。

民衆の怒りが収まらぬ中、  
アニカの声明は、次なる波紋を呼ぶことになる。

沈黙の末に掴んだ真実は、  
語られねば、また誰かの手にねじ曲げられてしまう。

だからこそ、  
今度は“言葉”で、彼女は立ち向かう。
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