地味悪役令嬢、破滅回避のために全力で透明になります

黒瀬ユカ

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王国歴代の審問官たちが立ち会う中、  
国家最高法廷の石造りの円壇に、静寂が降り立つ。

その中央、宙を貫くように伸びる天井の魔力結晶――  
長らく“光柱”を失っていたその場所に、  
ひとすじの光が、静かに戻ってきた。

透明な魔力の記録。  
断罪制度の構造的な虚偽。  
香による感情誘導と、誓約による思想統制。  

それらすべてが、正当な証拠として認定される瞬間だった。

「断罪制度は、法の名において“違憲”と認定する」

審判官の言葉と同時に、  
結晶がまばゆい閃光を放ち――  
“真理の光柱”が法廷を貫いた。

その光に包まれながら、元宰相グローバルとその一派が  
魔法の鎖に縛られ、ひとり、またひとりと  
広場の台座に引き出されてゆく。

民はその姿を見上げていた。  
嘘と沈黙の構造を築いた者たちが、  
ついに“誰の目にも明らかに裁かれる”時が訪れたのだ。



皇帝クラウスが、法廷上方のバルコニーに姿を現す。  
その表情は沈痛にして、静かなる誓いを湛えていた。

「この法廷にて示された真実をもって、  
断罪制度および魂拘束刑を、ただちに廃止とする」

「沈黙を罪とする法を、  
今この瞬間より、わが王国から永久に取り除く」

広場中に魔力通信を通じて響き渡ったその声は、  
王権の名によって、最も古く、最も重い罪を断ち切った。



記録映写の魔法水晶の前、アニカは立ち止まり、  
そっと呟く。

「沈黙を断罪する時代は、終わったのです」

あらゆる制度の上に立っていた“沈黙”という暴力が、  
この日、ついに“見える光”と“透明な記録”によって覆された。

そしてそれは、アニカがずっと記し続けてきた。
誰にも見えなかった“透明な真実”の、  
最終的な勝利の瞬間だった。
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